2001年度 採集記(北関東〜福島県 カミキリ編)

往年のカミキリ屋の軌跡を辿って

今回の採集行はかなりの移動距離を伴う。

と言うのも、かつてのカミキリ屋達が日参した名ポイントを、単独かつたったの2日間で見て回る予定を立てているからだ。

具体的には、ギガンティア(オニホソコバネカミキリ)で有名な「群馬県利根郡」から隠れた名ポイント「栃木県塩谷郡」へ、そして時間があれば「福島県南会津郡」へも足を伸ばそうというまさに無謀なものだ。

一方で、この時期は上信越方面のコルリ新芽採集という選択肢もあったのだが、考えた末に今季だけは涙を飲んでカミキリ一本でいくことに決めた。

どうしても、この時期に上記のカミキリポイントを見ておきたいのである。

というわけで、まずは群馬県へ向け出発するとしよう。



2001.06.09 (Sat) 〜
2001.06.10 (Sun)

   群馬県 利根郡
   栃木県 塩谷郡
   福島県 南会津郡

   天気:晴れのち雨
   気温:12.3 〜 26.8 度
   湿度:42 〜 68 %
   風力:2〜4
北関東〜福島産カミキリ、カミキリ行脚&武者修行編

● 関越自動車道からアプローチ

早朝の4時に目を覚まし、準備もそぞろに愛車に乗り込む。

うっすらと朝日が周囲を照らし始める中、一路、関越自動車道を目指した。

ポイントへのアプローチに関しては先週から十分に確認し、林道の通行止めなどがあっても大丈夫なように2〜3の巡行ルートを考えてある。

さて、群馬県では有名な土場の確認と、ギガンティアが飛来しそうな「クワ」の老木を探すことが2大目標である。

この週末の天気は、運のいいことに梅雨の晴れ間が見られるらしい。なんともありがたいことだ。

がらがらの高速道をストレスなく走り抜け、最寄りのICを降りる。

そして、下道を長々と走り続け、やっとのことでポイント付近までたどり着くことができた。

ちょっと疲れたので、側道脇に車を停め周囲を散策する。

雨は降っていないものの、一面に霧が立ち込め、気温も12度と低い...。

う〜〜ん、今日は大丈夫なんだろうか?


● 有名スキー場方面へ

ポイント付近の霧に一抹の不安を抱きながら、予定通りのルートを進んでいく。

まずは某有名スキー場方面へハンドルを切る。

すると、先へ行くにつれて霧が晴れ、徐々に青空も見えてきた。

道路沿いには時折、ウツギの白い花がみられる。

大半は蕾なのだが、陽当たりの良い斜面のものは満開なようだ。

早速、網を取り出しスイープしてみる。

さくっとセスジヒメハナカミキリ(*)が2頭。

他には、フタオビノミハナカミキリ(**)が4〜5頭得られた。

他県にて既採集の種であるが、幸先は良いようである。
[ Pidonia amentata amentata (BATES, 1884) ]*
[ Pidonia puziloi (SOLSKY, 1873) ]**

この道路は沢に沿っており、けっこうヤナギも多く見られる。

クワガタ採集にもよさそうである。

結局、スキー場まで行きついたものの、目ぼしい成果はなし。

一端引き返し、別のルートをとってみることにした。


● 材置き場

分岐点から右方向へ少々入ったところに「材置き場」を発見。

主に針葉樹材が置いてある小規模な製材所だ。

従業員の方がいたので、ちょっとご挨拶。

虫採りであることを告げると「最近はムシも減ったね〜」とのコメント。以前はムシも虫屋も多かったそうだ。

扱う材に関しても、最近は特に「スギ」が増えているらしい。

材について幾つか聞いてみると、快く教えていただけた。これが「アカマツ」、これが「カラマツ」、そしてこれが「ケヤキ」。

ふ〜〜む、勉強になる。

そして、自分の鑑別力が正しいことも確認できた。

話をしながら材を観察していると、5mほど向こうのカラマツ材上に動く影を発見。

「ひゅっ」と長い触角が2本、カミキリだ!

おおおおっ、材の端から飛び立ってしまいそうだ。すかさず手を伸ばす。

絶妙なタイミングでキャッチに成功。

ヒゲナガモモブトカミキリ(ヒゲナガモモブトカミキリ)だ。

初採集種であり、うれしい。
[ Acanthocinus griseus griseus (FABRICIUS, 1884) ]

その後、20分ぐらいルッキングを続けたが追加個体はなし。

製材所を後にした。


● クワの老木

要所要所にて地元の人にいろいろと聞き込みをし、クワの大木に関する情報を集める。

大方のコメントでは「知らない...」、「ほとんど伐採されちゃったねぇ」というものが多い。

う〜〜ん、やはりこの付近は「過去のポイント」になってしまったのだろうか...。

駄目元で細い道へも入っていくが、クワの老木は見つからない。

仕方なく大きな移動をかけようと思ってある道へ出た瞬間...。

うおおおおっ!!

なんと、クワの大木が3〜4本そびえ立っているではないか。

急ブレーキを踏んだため、後続の車に思いっきりパッシングされたが、それどころではない。

車を飛び降り、クワの元へ足早に歩み寄る。

うわ〜〜、立派なクワである。ギガンティアが飛んできてもまったくおかしくない。

いいポイントを発見したものだ。今回の目標のひとつをクリアできた。

ん!、枝に何かいる。

網で掬ってみると、ヘリグロベニカミキリであった。

後日、相棒から聞いたのだが、同じくクワで採集したことがあるとのこと。

でも、ギガンティアだったら思わず「気絶」するところだった...。
[ Purpuricenus spectabilis MOTSCHULSKY, 1866 ]

実際、この時期はまだギガンティアには早いと思われ、ここで「張り込む」つもりもない。

というわけで、付近を歩いて散策することにした。他にもクワの老木があるかもしれない。


● オニグルミ

道沿いに生える植物を観察しながら歩いていると、ちょうど目の高さの葉に「カミキリ」が飛来した。

網を下に添えて落っことす。

むむむ、未採集種だ。

図鑑による鑑定の結果、ヨツキボシカミキリ。

黒地に黄色のラインが美しい。
[ Epiglenea comes comes BATES, 1884 ]

しかし、この植物はなんだ?

しばし幹や葉を入念に見ていると、またまた「カミキリ」がいた。

っしゃ〜〜!!

今度は一発で分かった。

オニグルミノキモンカミキリ。

めっちゃ綺麗だ!!

これ採りたかったんだよなぁ。
[ Menesia flavotecta HEYDEN, 1886 ]


こいつを採ったことで自動的に樹種が判明した。

そのまんま「オニグルミ」である。

真ん中の「実」が、いわゆる「クルミ」ということになる。

ちなみに、ヨツキボシカミキリの方は「オニグルミ」よりも「ヌルデ」に優先して飛来するらしい。

その後の観察により、この2種は「葉の裏」にとまっている場合が多いことが分かった。

ふと時計を見ると、すでに11時前である。

この辺で大きな移動をすることにしよう。


● 有名な土場

とりあえずは、栃木県へもすぐに入れるよう標高を上げる方向へ車を走らせる。

その途中で、昔はかなりのカミキリが採れたと言われる有名な土場へ寄ってみた。

う〜〜ん....。

ここは完璧に「過去のポイント」と化してしまったようである。

一応、申し訳程度に置いてある材を見てみたが、ゴマフカミキリのみ...。
さっさと見切りをつけ、高標高地のピドニア(ヒメハナカミキリ属)を狙い一気に標高を上げることにした。

待ってろよ〜、ピドニア。

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