2001年度 採集記(北関東〜福島県 カミキリ編)
2001.06.09 (Sat) 〜
2001.06.10 (Sun)

   群馬県 利根郡
   栃木県 塩谷郡
   福島県 南会津郡

   天気:晴れのち雨
   気温:12.3 〜 26.8 度
   湿度:42 〜 68 %
   風力:2〜4
● 南会津へ

気の遠くなるような距離を走破し、なんとか夕飯に間に合う時間に「フロンティア」へ到着することができた。

さあ、「焼肉!、焼肉!」と意気も揚々にドアを開けると、「おおお〜ぅ」と手を振る御仁が。

ああ、池修さんだ。

この週末はお仲間の3人と南会津へ採集に来られたそうである。まさかお会いできるとは思わなかった。

ご好意により、同じテーブルに相席させていただけることになった。

早速、ジョッキ麦にて乾杯。美味い焼肉を皆でつまむことに。

池修さんと一緒に来られたのは、おやじさん、ねきさん、がっこさんというカミキリ関係では名の通った方々である。

なかでも、おやじさんは日本のカミキリ界をリードされてきた大ベテランとのことだ。

そんな方々と同席できるとは幸せである。

その後の話は非常に長くなるので今回は詳しく書かないが、とにかく色々とカミキリの話をお聞きすることができ、大変刺激になった。

結局、明日の午前中は採集に同行させていただくことに決まった。

このようなチャンスは滅多にあるものではないので、心してご教授を受けようと思う。

また、急なお願いにもかかわらず、今晩はフロンティアに泊まることもOKしていただけた。これは本当に助かった。

ありがとうございました。 >フロンティアさん

というわけで、本日の採集品を展足した後、貪るように深い眠りについた。


● いい天気!

6時半に目が覚めカーテンをめくってみると、運のいいことに雨は降っていない。

これからの採集にわくわくしながら、ママさんの美味しい朝食に舌鼓を打つ。こんな素晴らしい朝食が600円なんて、まったく信じられないほど良心的だ。

ごちそうさまでした!

さて、眩しいほどの朝日が差し込むなか、5人で最初のポイントへ向け出発した。

まずは、カラフトヒゲナガカミキリとヒメシラオビカミキリの採集を教えていただけるとのことだ。

ポイントへ到着し、おやじさんから長年使い込んだ「ビーティングネット」を貸していただく。がっこさんから、ビーティングのやり方を直接教わり、見様見まねで私も挑戦してみる。

上記の2種を狙うには、カラマツ伐採後の枝を叩くらしい。

写真が年季の入った「ビーティングネット」と「叩き棒」。

ネットを下に敷いて、枝をコンコンと叩くのである。
遠くからおやじさんもアドバイスしてくれる。

そのとおり叩いていると...。

ぽろっと、ネットの上にカミキリが転がり落ちてきた。

これがカラフトヒゲナガカミキリ。

一見ゴマフカミキリにも似ているが、触角が明らかに長くスマートである。

けっこう恰好良い。

[ Monochamus saltuarius (GEBLER, 1830) ]

ということで、あっけなく未採集種のゲットが叶った。

このポイントは散々通っている場所だが、こんな採り方があるとはまったく知らなかった。

一瞬にして合計6頭も採ることができた。

一方のヒメシラオビカミキリは個体数が少ないらしく、私はボーズを喰らってしまった。

しかしながら、一度採り方を覚えてしまえば、同様な場所で応用がきくため採るのも時間の問題だろうと思われる。

ビーティングが一段落したので、材のルッキングを開始する。

おっ!

広葉樹材にチャイロホソヒラタカミキリを発見。

普通種なのだが、今まで縁がなかっただけにやっと採れてよかった。
[ Phymatodes testaceus (LINNAEUS, 1758) ]

小一時間散策したが、なかなか新たなカミキリが飛来しないため、次なるポイントへ移動する。


● 訪花性カミキリ

今度は林道脇に生える「白い花」に集まる訪花性カミキリを狙う。

これが「白い花」。

この時間、気温はぐ〜〜んと急上昇し、汗ばむほどである。

まずは花のひとつひとつを観察していく。
後日、「カンボク(ガマズミ科)」と判明。

あたり一面に、むせ返るような甘い花の香りが充満している。

うわ〜〜、すごいことになっているぞ。

花という花にムシが群がり、ひっきりなしにカミキリが飛来している。まさに「大爆発状態」である。

以下に代表的な飛来種を列挙する。

まずはシラケトラカミキリ。

こいつらは大発生中。
[ Clytus melaenus BATES, 1884 ]

同じく大量発生のツヤケシハナカミキリ。

基本的には黒いカミキリだが、肩に赤い紋があるものから、上翅全体が赤いものまで様々なバリエーションがある種とのこと。
[ Anastrangalia scotodes scotodes (BATES, 1873) ]

この時期、やや珍しいところではトウキョウトラカミキリ(通常はもっと早い時期)。

「逆錨(いかり)型」の紋様が特徴的だ。
[ Chlorophorus yedoensis (KANO, 1933) ]

そして、キンケトラカミキリ。

ビビッドな黄色地に黒い紋線が、美しいコントラストを作り出している。
[ Clytus auripilis BATES, 1884 ]

あと、目立った種では、ホンドアオバホソハナカミキリセスジヒメハナカミキリエグリトラカミキリなどなどである。

とにかくすごい状態であった。

各自、思い思いの採集を堪能したのち、さらに林道の奥へと進む。


● 再び栃木へ

林道の要所要所でおやじさんからレクチャーを受けつつ前進を続ける。

そんななか、遠くの方から雷鳴が聞こえてきた。

う〜〜ん、これは一雨降りそうな予感である。

とりあえず、「栃木のカラマツカミキリ」を狙いに、私が昨日採集したポイントまで急行することになった。

と言うのも、カラマツカミキリは「今後採れなくなる可能性の高いカミキリ」なのだそうだ。そんなことさえ私は知らなかったのだ...。知らないというのは本当に恐ろしい。

長い長い林道を走り続け、やっとのことで栃木県へ入る。

ところが、途中から雨が落ちてきて、あっという間に大雨になってしまった。

ああああ、ジ・エンドか...。

いずれにしても、ポイントを教えてあげられればせめてものお礼になるだろうと、とにかくアクセルを踏み続けた。

雨は強く降ったり弱まったり、強弱を繰り返す。その度「大丈夫そうだ」、「あああ、駄目だ」と一喜一憂する自分に苦笑する。

そして、とうとう再び「そのポイント」へ辿り着いた。

すると、すでに採集者(カミキリ屋)の姿が...。

池修さんが車から飛び降り小走りに走っていく。どうやら知り合い同士のようだ。なんだ、そういうことだったのか。その方もかなり有名な人らしい。

それはそうと、私は偶然発見したポイントなのだが、すでにここをカラマツカミキリのポイントととして知っているのだから恐れ入る。さすがだ。

今日の状態を聞いてみると、あまり頭数は得られていないらしい。

結局、私が昨日に引き続きもう1頭、そして別の方がもう1頭採って獲物はすっかり影を潜めてしまったようだ。

そうこうしているうち、直ぐ近くで雷鳴が轟き、数分のうちに大粒の雨が落ちてきた。

そして、一瞬にしてバケツをひっくり返したような大雨となってしまった。

もう今日はさすがに厳しいだろう。

ちょうど私も帰還する時間を迎えてしまったため、ここでカミキリ屋の皆さんと別れ、今回のカミキリ行脚&武者修行を終えることにした。

帰り道、雨は一層強さを増し、バケツどころか琵琶湖をひっくり返したような状態に...。

最後の最後で凄まじい天候に見舞われたが、それに決して負けないほど本当に楽しい2日間であった。


● エピローグ

あまりに色々なことがあり、書ききれなかったエピソードも多い。

前半の採集では単独で今までの成果を試すことができたし、後半の合同採集ではベテランの方々から様々なことを教えていただき大変勉強になった。

とにもかくにも、最近稀にみる充実しきった採集行であったと自信をもって言える。

まだまだ書きたいことはたくさんあるが、それらはそのうち随所で紹介していきたいと思う。

そして最後に、池修さん、おやじさん、ねきさん、がっこさん、ありがとうございました。

帰りは寄れずにごめんなさい。 >フロンティアさん


★★ 採集成績 ★★

【群馬県】

フタオビノミハナカミキリ  13 exs.
[ Pidonia puziloi (SOLSKY, 1873) ]

セスジヒメハナカミキリ  6 exs.
[ Pidonia amentata amentata (BATES, 1884) ]

ヒナルリハナカミキリ  6 exs.
[ Dinoptera minuta (GEBLER, 1832) ]

キスジトラカミキリ  3 exs.
[ Cyrtoclytus caproides caproides (BATES, 1873) ]

ニセヨコモンヒメハナカミキリ  3 exs.
[ Pidonia simillima OHBAYASHI et HAYASHI, 1960 ]

オニグルミノキモンカミキリ  2 exs.
[ Menesia flavotecta HEYDEN, 1886 ]

チチブニセリンゴカミキリ  2 exs.
[ Niponostenostola niponensis niponensis PIC, 1901 ]

ゴマフカミキリ  2 exs.
[ Mesosa myops myops DALMAN, 1817 ]

ヘリグロベニカミキリ  2 exs.
[ Purpuricenus spectabilis MOTSCHULSKY, 1866 ]

ヨツキボシカミキリ  2 exs.
[ Epiglenea comes comes BATES, 1884 ]

オヤマヒメハナカミキリ  1 ex.
[ Pidonia oyamae (OYAMA,1908) ]

キバネニセハムシハナカミキリ  1 ex.
[ Lemula decipiens BATES, 1884 ]

シロトラカミキリ  1 ex.
[ Paraclytus excultus BATES, 1884 ]

ヒゲナガモモブトカミキリ  1 ex.
[ Acanthocinus griseus griseus (FABRICIUS, 1884) ]

ヒメスギカミキリ 1 ex.
[ Palaeocallidium rufipenne (MOTSCHULSKY, 1860) ]

ヘリグロチビコブカミキリ  1 ex.
[ Miccolamia Isomiccolamia takakuwai HASEGAWA et N.OBAYASHI, 2001 ]

ブービエヒメハナカミキリ  1 ex.
[ Pidonia bouvieri PIC, 1901 ]

ホソガタヒメハナカミキリ  1 ex.
[ Pidonia semiobscura PIC, 1901 ]

ミドリカミキリ  1 ex.
[ Chloridolum viride (THOMSON, 1864) ]

【栃木県】

カラマツカミキリ  3 exs.
[ Tetropium morishimaorum KUSAMA et TAKAKUWA,1980 ]

シロトラカミキリ  1 ex.
[ Paraclytus excultus BATES, 1884 ]

ホンドハイイロハナカミキリ  1 ex.
[ Rhagium femorale N.OBAYASHI, 1994 ]

【福島県】

ツヤケシハナカミキリ  9 exs.
[ Anastrangalia scotodes scotodes (BATES, 1873) ]

シラケトラカミキリ  7 exs.
[ Clytus melaenus BATES, 1884 ]

カラフトヒゲナガカミキリ  6 exs.
[ Monochamus saltuarius (GEBLER, 1830) ]

ホンドアオバホソハナカミキリ  3 exs.
[ Strangalomorpha tenuis aenescens BATES, 1884 ]

ハネビロハナカミキリ  2 exs.
[ Leptura latipennis (MATSUSHITA, 1933) ]

カラカネハナカミキリ  1 ex.
[ Gaurotes doris BATES, 1884 ]

キンケトラカミキリ  1 ex.
[ Clytus auripilis BATES, 1884 ]

セスジヒメハナカミキリ  1 ex.
[ Pidonia amentata amentata (BATES, 1884) ]

チャイロホソヒラタカミキリ  1 ex.
[ Phymatodes testaceus (LINNAEUS, 1758) ]

トウキョウトラカミキリ  1 ex.
[ Chlorophorus yedoensis (KANO, 1933) ]

フトオビカンボウトラカミキリ  1 ex.
[ Hayashiclytus acutivittis inscriptus (BATES, 1884) ]

他、タマムシ、ツチハンミョウ、ゾウムシなど雑甲虫数種


記載日:2001.06.12
追記日:2002.02.09(再同定)
追記日:2002.02.10(新分類に準拠)
追記日:2002.06.06
(誤同定を訂正:ヨコモンヒメハナカミキリ→オヤマヒメハナカミキリ♀)
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