2001年度 採集記(福島県 カミキリ編 -1-)
2001.05.20 (Sun)

福島県 南会津郡

   天気:晴れ
   気温:25.5 度
   湿度:38 %
   風力:2(軽風)
● 集材場

車の中で昼食を取りながら、目的の「集材場」へ向かう。

新緑に彩られた山々を眺めながら、大自然の雰囲気を存分に味わう。

窓から車内へ吹き込む風が本当に清々しい。

しばらくのドライブの後、最初のポイントへ到着した。

早速、材を見ていくと、いたいた。

これはホンドハイイロハナカミキリ(ニセハイイロハナカミキリ)。

前出のハイイロハナカミキリと非常に類似したカミキリである。

[ Rhagium femorale N.OBAYASHI, 1994 ]
※ 2002.02.09 新分類に準拠

同じく針葉樹の材に飛来することが多い。

図鑑によれば、両者の簡単な鑑別点として、ハイイロハナの方が全体的に黒っぽく、黄色の紋とのコントラストが強い。

一方、ホンドハイイロハナの方は、全体的にグレーの色調であり、コントラストは淡い傾向があるとのことだ。

2種を並べてみると、その差が比較的判りやすいと思う。

ただ、1種しか採れなかった場合は、なかなか難しいかもしれない。

ここでは、こいつのみしか得られず、次のポイントへ移動する。

さほど離れていないため、10分ほどで到着した。

材へ向かって歩いていくと、材の木口に黒いムシを発見。

オオマルクビヒラタカミキリというカミキリらしい。

極めて地味な種類である。

掴むと柔らかい...。

[ Asemum striatum (LINNAEUS, 1758) ]

う〜〜ん、今日は本当に暑い。

痛いぐらいの陽射しが肌を刺す。

一気に日焼けしてしまいそうだ。

お次は、アトモンサビカミキリ。

これまた地味な種類だ。

う〜〜ん、ぱっとしたのがいない...。

[ Pterolophia granulata (MOTSCHULSKY, 1866) ]


おおっ!

写真ではうまく表現できなかったが、パープルメタリックの小さなカミキリである。

クビアカハナカミキリというカミキリだ。

[ Gaurotes atripennis MATSUSHITA, 1933 ]

とりあえずは一安心。

というわけで、またまた移動する。

今度の場所も同様な集材所だが、あまり新しい材は置いていないようである。

カミキリはいるだろうか?

おおっ!、おおおっ!!

っしゃ〜。

これはマツシタトラカミキリという華麗な種類。

珍品というわけでもないのだが、私の好きなカミキリの一つである。

[ Anaglyptus matsushitai HAYASHI, 1955 ]

でも、普通は訪花しているところを採集されることが多い種であり、伐採木に飛来するのは珍しいかもしれない。

残念ながら、樹種は広葉樹という以外、判定できなかった。

そうそう、どこの材置き場もそうなのだが、今日はとにかくヒメスギカミキリが多い。

それはもう、おびただしい数である。

通常はスギの材上を忙しなく歩き回っている種類なのに、本日は針葉樹・広葉樹にかかわり無く、終いには私の服にまで、どこにでもみられる。

遠目には他のカミキリにも見えるため、紛らわしいことこの上ない...。

ここでの目ぼしい種類はマツシタトラ1種のみであり、さらに次のポイントへ移動する。

車で県道を流していると、道端に伐採した枝を積み上げてあったため、車を停めた。

タマムシがいるかもしれない。

近くへ歩み寄って見てみると、細い枝が多いため樹種は判らない。

ふと腰の高さに目線をやると、赤い中型のムシが歩いているのを発見した。

ベニボタルかな?

捕らえてみてびっくり。

ヘリグロベニカミキリであった。

上翅尾側にある一対の黒い斑紋が簡易同定のポイントだ。

今まで小さなカミキリばかり見ていたので、異様に大きく感じる。

[ Purpuricenus spectabilis MOTSCHULSKY, 1866 ]

思わぬ獲物が得られたところで、いよいよ本日の最終目的地である集材場へ行くとしよう。


● ラストスパート

さすがに疲れてきたが、このポイントを素通りして帰るわけにはいかない。

ここは今までで、最も規模の大きい集材場なのだ。

材がたくさんあってどこから見ていこうか迷うが、とりあえずブナ材からみていくことにした。

うわ〜〜。

シロトラカミキリが大量発生しているようだ。

あちこちで目に付く。

交尾しているペアはあまり動かないので写真を撮りやすい。

[ Paraclytus excultus BATES, 1884 ]

広い場所なので、広く浅くざ〜〜っと材の表面を見ながら歩いて回る。

う〜〜ん、一見してゴマフカミキリ、オオマルクビヒラタカミキリなどしかいない。相変わらずシロトラカミキリは多い...。

時間的にも4時前であり、ちょっとタイミングを逸してしまった感がある。

こりゃまいった、けっこう期待していたのに...。

諦め半分で2巡、3巡と同じルートを見ていると...。

ブナ材の木口に大きなカミキリが止まっていた!

うおおっ!

こんなカミキリ見たことないぞ。

その場では同定できなかったのだが、稀な種類の可能性が高い。

相棒に自慢気に見せると、スギカミキリじゃないかという。

なるほど、たしかにこの黄色い紋は見覚えがある。

でも、こんなに大きなカミキリだったっけ?

まあ、同定は帰ってからのお楽しみということにして、そろそろ終了モードだ。

相棒もすっかりやつれた顔をしている。

よし、帰ろう!

今日は思う存分やったし、思い残すこともない。

8カ月ぶりに南会津の採集を堪能し尽くし、家路についたのであった。

PS:そうそう、最後のカミキリは相棒の言う通りスギカミキリで正解。

ブナ材で採れたとは言っても、直ぐ隣にスギの材木が山積みにされていたため、そこから飛んできたのだろう。

通常、樹皮の下に隠れたりしているため、材上ではあまり見られないそうだ。

[ Semanotus japonicus (LACORDAIRE, 1869) ]


● エピローグ

さすがは南会津。

いつもやっている茨城での採集が一気に吹き飛んでしまうほど、濃密かつバラエティに富んだ採集をすることができた。

「昆虫採集のメッカ」と言われるのも納得がいく。

カミキリあり、コルリあり、本当にどっぷりと虫採りを楽しんだ1日であった。

なにはともあれ、お疲れさま。 >相棒


★★ 採集成績 ★★

シロトラカミキリ  14 exs.
[ Paraclytus excultus BATES, 1884 ]

ハイイロハナカミキリ  7 exs.
[ Rhagium japonicum BATES, 1884 ]

ホンドハイイロハナカミキリ  3 exs.
[ Rhagium femorale N.OBAYASHI, 1994 ]

ゴマフカミキリ  2 exs.
[ Mesosa myops myops DALMAN, 1817 ]

アトモンサビカミキリ  1 ex.
[ Pterolophia granulata (MOTSCHULSKY, 1866) ]

オオマルクビヒラタカミキリ  1 ex.
[ Asemum striatum (LINNAEUS, 1758) ]

スギカミキリ  1 ex.
[ Semanotus japonicus (LACORDAIRE, 1869) ]

クビアカハナカミキリ  1 ex.
[ Pterolophia granulata (MOTSCHULSKY, 1866) ]

フトオビカンボウトラカミキリ  1 ex.
[ Hayashiclytus acutivittis inscriptus (BATES, 1884) ]

ヘリグロベニカミキリ  1 ex.
[ Purpuricenus spectabilis MOTSCHULSKY, 1866 ]

マツシタトラカミキリ  1 ex.
[ Anaglyptus matsushitai HAYASHI, 1955 ]

コルリクワガタ(原名亜種) 15♂♂ 4♀♀

他、ゾウムシなど雑甲虫数種


記載日:2001.05.21
追記日:2002.02.09(新分類に準拠)
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