2001年度 採集記(茨城県 カミキリ編 -11-)

茨城県の「ネキダリス」

日本産のネキダリスは、現在までに11種が確認されていることは前回も述べた。

このうち、茨城県には現時点で次に挙げる2種の生息が判明している。

1)オオホソコバネカミキリ   [ Necydalis solida BATES, 1884 ]
2)ヒゲシロホソコバネカミキリ [ Necydalis odai HAYASHI, 1951 ]

記録によれば、この2種はいずれも県内のブナ林にて採集されたものらしい。

カミキリムシ不毛地帯と言われる茨城県に2種のネキダリスが生息しているとは、なんとも心強いデータである。と言っても、ど素人の私に採れるかどうかの保証はまったくないわけなのだが...。

いずれにせよ、それを確かめた先人達の情熱には本当に頭が下がる思いであり、素直に敬意を表したい。

ということで、今回もネキダリスを求め、いつものポイントへ足を運ぶことにする。



2001.07.10 (Tue)

茨城県 某所

   天気:晴れ
   気温:27.6 度
   湿度:67 %
   風力:3(軟風)
茨城産カミキリ、夏のブナ林編(2)
たった一人の「ネオ・ネキダリス狂騒曲」 第2章

● 日照り続き

いつもの道を黙々と進む。

今日は暑いものの、カラッとした蒸さない暑さであり比較的過ごしやすい。しかしながら、夏の日差しが容赦なく地面を照りつけるため、信号待ちすると、下から「むわっ」とした熱風が吹き上がってくる。

いくら私が「雨嫌い」だからと言っても、ここまで雨が降らないと「ムシ屋」としてちょっと心配だ。

そんな気候を反映してか、道路沿いの植物は「しんなり」して元気がない。

まさに「日照り続き」といったところである。


● ネムノキ

先週も紹介したが、ネムノキのポイントでまた寄り道してみた。

今日は満開である。

が、相変わらずムシの姿は微塵もない...。

というわけで、とっとと移動する。


● ケヤキ材

そして、いつも寄っている「ケヤキの伐採木」のポイントで再び車を停める。

ざ〜〜っと見てみると、何頭かのキスジトラカミキリエグリトラカミキリがせわしく走り回っている。

他は、ケヤキナガタマムシといったところ。

いつものメンバーしかいない...。


● むむむ

もう1ヶ所、寄り道する。

ここは比較的新しい広葉樹の薪があり、その近所にそこそこ大きなクワが数本生えている場所だ。

まかり間違って、トラフカミキリ(当該地で記録なし)やオニホソコバネカミキリ(茨城県で記録なし)が採れないかと無駄足を覚悟で毎回寄っているのである。

まずは薪を見回る。

むむむむ...。

下草の葉裏にナガゴマフカミキリ。

そ〜〜〜っと葉を裏返すも微動だにしない。

なんと、弁慶のようにこのままの姿勢で死んでいた...。

むむむむむ...。

肝心の薪には、 大量発生したエグリトラカミキリのみ...。

[ Chlorophorus japonicus (CHEVROLAT, 1863) ]

ん?

ああああ....。

エグリトラカミキリが交尾したままクモの巣に引っ掛かっている。

むむむむ...。

弱肉強食の世界だ。

ここでクワの方へ行ってみる。

民家の軒先で放し飼いにされている犬に思いっきり吠えられながらルッキングを開始する。

しかし、どの幹も、どの枝も、どの葉も、「し〜〜ん」と静まり返っており、ムシの欠片も見つからない。

う〜〜ん、虚しい...。

仕方なくここを撤退し、先へ進むことにした。


● かろうじて... 

ここまで、ロクな成果が得られていない。

ほんの1ヶ月前なら、もうちょっと採れていたところなのだが...。

どう考えても、この「暑さ」が原因だろう。どこもかしこも「カラカラ」に乾いてしまっている。

徐々にブナ林へ近づいてきたが、一縷の望みにかけて道沿いの「白い花」を見てみることにする。

これはツル植物に咲いていた白い花。

まったく甲虫の気配なし...。


沢沿いに生えるセリ科の植物。

おそらく「シシウド」だろう。

これまた全滅...。

う〜〜ん、本来ならこれらの花にカミキリムシが「ぶわ〜〜っ」と群がっていてもおかしくないはずなのに。

前回も訪れたポイント。

先週より開花は進んでいるが...。

おおっ、何か小さな黒いムシがいるぞ。

ふ〜〜む、主にハナノミが中心だが多少ムシはいるようだ。

後日、ニワナナカマド(樹種)と判明

とりあえず、「しゃあげんさん」用にハナノミとカメノコテントウを確保する。

さらに上の花、下の花と視線を流す。

そして、やっとトラカミキリの仲間を発見。花から花へ飛び回っており、かなりすばしっこい。

なんとかゲットするも、エグリトラカミキリ...。

こりゃ駄目だと、ため息をついた瞬間、黒いハナカミキリが花に頭を突っ込んでいる光景が目に入った。

反射的に右手が伸びる。

ミヤマクロハナカミキリであった。

かなりすれた個体で左前肢がない。

う〜〜ん、しょぼい。

[ Anoploderomorpha excavata (BATES,1884) ]

というわけで、道中のポイントは完全に見切り、ブナ林へ直行する。

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