2001年度 採集記(茨城県 カミキリ編 -12-)

気分転換

茨城県にはブナ林が何ヶ所かあるのだが、ここ数カ月はその中の1ポイントばかり攻めていた。

毎回、同じポイントを攻め続けるのも少々飽きてしまったため、本日は別のブナ林へ足を運ぶことにする。

今回は特に採りたいターゲットが決まっているわけではない。とりあえず「ノリウツギの状態」や「材に飛来するカミキリの様子」を実際に確認し、今までのポイントと比較できればOK、という軽い気持ちでの出撃だ。

それでは、ふらっと出発するとしよう。



2001.08.07 (Tue)

茨城県 某所

   天気:曇り一時雨
   気温:16.2 度
   湿度:77 %
   風力:1(微風)
茨城産カミキリ、夏のブナ林編(3)
たった一人の「ネオ・ネキダリス狂騒曲」 第5章

● うそっ!!

いつもどおり、12時に職場を後にする。

出発時、茨城県海沿い平野部の気温は24度、天候は曇りである。ベストな状態とは言えないものの嘆くほどでもない。

どんよりと厚い雲に覆われる中、ポイントへの道を突き進む。

標高が上がるに連れ、1度、2度と徐々に気温のカウントダウンが始まった。

まあ、大丈夫だろう。

本日訪れるポイントは標高が高いため、平野部よりも気温がそれなりに下がると予想していたが、まず20度を切ることはないだろうと、勝手にタカをくくっていたのである。

ところが、100メートル標高が上がるごとに1度、教科書通りの割合で気温が下がってくる。窓を開けて走っていたのだが、すでに肌寒く、少々不安になってきた。

もうすぐブナ林というところで、ふと温度計に目をやると...。

うそっ!!

うそでしょう〜?

なんと16度。

平野部との気温差は、ざっと8度だ。
今は本当に8月上旬なのか?

そして、さらに進んでいくと、おもむろに霧が出現し雨も降ってきた。

ま〜〜じ?

これじゃあカミキリは厳しい。

どうしよう?
しばらくノロノロ運転をしながら考えた末、結局、引き返すことなくこのままポイントを見ることに決めた。

せっかくここまで来ておいて、何も得ずに帰るのもシャクである。

カミキリなんぞ採れなくてもいい。

、、、、というのは嘘...。

とりあえず、花の開花状況は最低限確認できるわけで、昨年の状況と比較してみたい。

なにしろ今季の関東地方は「空梅雨」「連日の猛暑」など、明らかに異常気象であり、例年に比べ季節の進みが速いのか?、遅いのか?、それとも変わらないのか?、それらをこの目で見てこようと思うのだ。


● ノリウツギ

ポイントへ到着し、かつて散々往来した林道へ入る。

すると、直ぐにノリウツギが見えてきた。

早速、車を降りて確認してみる。

う〜〜ん、終わっている...。

次のノリウツギも、そしてそのまた次も...。

ぜ〜〜んぶ、終了モードだ。

昨年、このポイントにおけるノリウツギの終了を確認したのが「8/30」であったから、今年は「23日」も早いことになる。

ある程度想像はしていたが、それにしてもここまで早く終わっているとは思わなかった。

なんか、一気に「秋」へ突入してしまったような雰囲気だ。

こりゃまいった。


● 白い花

予想外の事実に驚きながら、さらに奥へと入っていく。

ん!、モヤの向こうに白い花が見えるぞ。

おおおっ!

これはリョウブ(?)、まだ8分咲きである。

ふ〜〜む、これなら来週もいけそうだ。


後日ちゃんと同定するため、「花」の写真を撮っておこう。


これは「葉」。

他にもこの花はあちこちで見られ、どれも来週まで持ってくれそうなので安心した。

よかった〜。

条件が良ければ、何かが採れるだろう。


● ルッキング

その後もず〜〜っと林道を車で流し、ライオンバスのように道沿いを車に乗りながらルッキングする。

しかしながら、どこまで行っても「白い花」あるいは「その他の花」はさきほどの種類と、終わりかけたシシウド以外にないようである。

これ以上進んでも大差なしと判断し、ここでUターン、来た道を引き返すことに。

さて、ここまででだいたいの状況は掴めた。復路は見落としがないかチェックするのと、駄目元で採集なんぞを試みてみようと思う。

この超悪条件(低気温、雨、霧)の中、カミキリが採れる可能性は限りなく薄いと思うが、「万が一」採れたらもうけ物だ。

ゆっくり走りながら、林縁の枯れ枝、ひこばえ、葉裏などを見られるだけ見ていく。

う〜〜ん、やっぱり何もいないか。

やつらは一体どこで雨をしのいでいるのだろうか?

本当に人目につかなくなる。

トンボはすぐ見つかるんだけど...。

そうそう、トンボって英語で「ドラゴンフライ」って言うんだよね。

米軍戦闘ヘリの無線用コールサインなんかにも使われたりしてカッコイイ。

日本語で「こちらトンボ」なんてカッコ悪いけど。

などとブツブツ言っていると....。

あれ?

わ〜〜お、「万が一」がいた。


一瞬、コブヤハズカミキリかと思ったが、ビロウドカミキリであった。

とりあえず採れてよかった。

そして、こいつは既採集種かつ標本もいくつかあるので、そのままリリースした。

[ Acalolepta fraudatrix fraudatrix (BATES, 1873) ]

さらに戻る方向へ車を走らせると、林道が大きくカーブするところで「ブナの立ち枯れ」が数本そびえ立っているのが見えた。

せっかくだから、これも一応見ておこう。

ただ、びっしょり濡れた笹ヤブを漕がねばならないため、雨嫌いの私にはちょっと酷な下見である。

少々気が重いが、長靴に履き替えヤブへ身を投じる。

ほほぉ〜、なかなか良い立ち枯れだ。


これも良い。

いつかこれらの立ち枯れで「茨城産ネキダリス」を採集してみたいものである。

う〜〜ん、夢が膨らんだ。

っしゃ、ブナの立ち枯れも見つけたし、カミキリも見れたし、今日はこの辺で終わりにしよう。

というわけで、一気に下山したのであった。

帰り際、雨が止んだので県道沿いの材置き場をちょっとだけ見てみた。

発見したカミキリを載せておく。

ナガゴマフカミキリ。

[ Mesosa longipennis BATES, 1873 ]

カタシロゴマフカミキリ。

いずれも採集せず。

[ Mesosa hirsuta hirsuta BATES, 1884 ]


● エピローグ

結局、来週の下見になってしまった。

しかし今回訪れたお陰で、このエリアの季節の進みが昨年よりも約3週間早いことがわかった。

もちろん、厳密にはノリウツギの開花状況だけで判断できるものではないのかもしれないが、かと言ってそれほど大きな差もないだろう。

いずれにせよ、今回は「採集」ができず残念であった...。

また来週頑張ろう。


★★ 採集成績 ★★

ボ〜ズ


記載日:2001.08.07
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