2001年度 採集記(茨城県 カミキリ編 -16-)

シーズン中に行けなかった林道

春前に下見をしておきながら、時間がないなどの理由により、シーズン中ロクに採集へ行けなかった林道がいくつかある。

今回はそのうちの1本の林道へ行き、植生の再確認をしてこようと思う。

先週と同様に、何か新しい発見があればいいのだが...。



2001.09.25 (Tue)

茨城県 某所

   天気:快晴
   気温:24.5 度
   湿度:52 %
   風力:2(軽風)
茨城産カミキリ、ちょっとだけ下見編

● 秋晴れ!

本日は目が覚めるような快晴だ。

見渡すかぎりの青空であり、こういうのを「天高く馬肥ゆる秋」と言うのかもしれない。

素晴らしい晴天の中、ポイントへ向け順調にドライブを続ける。

その途中、燃料計が限りなく「E」に近づいてきたため、スタンドに寄る。

ガソリンを入れている最中、小さな黒い甲虫が私の視線を横切るように飛んでいく。

うおおお、なんだろう?

コンクリートの壁にとまったので、そこまで速足で行ってみると...。

うひょひょ、顔にダニ満載の「エンマムシ」であった。

こいつらもちゃんと飛ぶんだ。
期待外れの獲物を放置し、再度ポイントを目指す。


● ケヤキ

ポイントの直前に比較的太い「ケヤキ」が数本生えていたため、チェックを入れる。

樹齢は判断できないが、なかなか立派だ。

ケヤキはアカジマトラカミキリのホストとしても知られており、一応、見ておかねばならない樹種と決めている。

が、ぱっと見は何もいない...。


これは、さらに太いケヤキ。


足下に落ちている枯れ枝を観察してみると、何やら小さな孔がいくつも開いている。


おそらく、何らかの甲虫の「羽脱孔」だろう。

カミキリムシかどうかは不明...。

近くに放置されているソダも見てみたが、結局何も採集できぬままこの場を後にする。


● 到着

県道をしばらく走り、ようやく目的の林道入口へ到着した。

林道をグイグイ上っていくと、前方にとてつもない「大木」が見えてきた。

縄がかけられており、まさに「御神木」。

多分、スダジイだと思う。

この林道へは過去2回に渡って来ているため、この木の存在は知っていたのだが、これほど間近に見たのは初めてであり、その迫力には圧倒される。

木の大半は朽ちており、周囲には寄生蜂のような体の細長いハチが飛び回っている。

スダジイはベーツヒラタカミキリのホストでもあるため、来季は彼らの活動期(6〜9月)にチェックしてみよう。

ちなみに、ベーツヒラタカミキリは南方系のカミキリで、夜行性の原始的な種類である。茨城県内の記録では県南部や海岸沿いに多い。日中は樹洞や脱出孔の中に潜んでいるが、夜間には樹表を徘徊し、灯火にも飛来するそうだ。

とりあえず、今回はざっと見るだけにしておいた。

さらに先へ進む。

ここの植生は、基本的にこのようなスギやヒノキを中心とした植林が目立つ。


そして、エリアによっては落葉樹の2次林がそれなりの規模で広がっている。

まあ、茨城県にありがちな植生背景である。

ただ、この林道はスネケブカヒロコバネカミキリや、ベーツヤサカミキリといった関東では珍しい(ベーツヒラタと同じく)南方系のカミキリが採集された地でもあり、見た目の植生だけでは判断しきれない面を持っているのも確かだ。

より一層植物の知識を蓄え、来季に備える必要があるだろう。

しばらく行くと、ちょっとした小道を見つけたので、入ってみることにした。

ここは、細い広葉樹が中心の2次林であり、時折、マツ類が生えているといった環境だ。

林道をほぼ登りきったところで、大径のアカマツを2本見つけた。


これはそのうちの1本。

大人が2人以上いないと、とても抱えきれないほどの太さである。

アカマツといえば、ノトリナ(ケブカヒラタカミキリ)であるが、この木にはいるだろうか?

早速、ノトリナを探すべく樹皮を観察する。

かなりの太さがあるため、その表面積は広く、とても探し甲斐がある。

立つ位置を微妙にずらしながら樹表を下から上へと眺めていると、かろうじて手の届く範囲に1頭、非常にノトリナと似た甲虫が徘徊しているのを発見した。

しかし、あっという間に樹皮の下に潜り込んでしまったため、正体を突き止めるには至らなかった。残念...。

おそらくノトリナと思うが、敢えて深追いはせずもう1本のアカマツを見てみることにした。

そのアカマツはさらに樹幹が太く、それはそれは貫録のあるアカマツだ。

ただ、不運にも近くに蜂の巣があったため、今回は敢え無くルッキングを断念した...。

上を目指し、さらに小道を登る。

この道の頂点にあったハルニレ。

ハルニレはニセヤツボシカミキリを始め、これまた各種のカミキリムシが好む樹種であり、私的には要チェックな木である。

ここには何本か生えているようだ。

ということで、この小道を引き返して車へ戻る。


● 果樹園

時計を見ると、もうすぐタイムアップという時間だ。あとはざっと見るだけにしておこう。

小高い峠を越え、下り道となる。

すると民家が見えてきて、その周囲には様々な作物を育てる畑がいくつかある。

大きな実を付けた木なので、気になって確認してみると...。

なんと、キウイフルーツであった。

こんな山間の林道脇で栽培しているとは...。

ちょっと驚いてしまった。

ちなみに、キウイフルーツは中国原産のオニマタタビが原種となっており、それがニュージーランドに渡って本種に品種改良されたそうだ。

当然、マタタビの仲間(マタタビ科、マタタビ属)ということになる。

さあ、そろそろこの林道を後にしなければならない。

適当な場所でUターンして帰路をとる。

林道の入り口付近にあった放置されたクワ畑。

手入れされている気配はなく、ぼうぼうと細いクワが密集して生えている。

中に入ることはまず不可能だ...。


そして、これは林道を離れた後、県道沿いで見つけたブドウ畑。

そこそこの規模がある。

もしかしたら、来季はブドウトラカミキリもいけるかもしれない。

ただ、どのブドウもいまいちであり、人間からしたらあまり美味しそうではなかった...。


● エピローグ

カミキリムシの採集は、植物を識ることが必須と言われるが、その道はなかなか長く険しいものと実感する。

とにかく、今は1本でも多くの植物を観察し、同定できる目を養うことが先決であろう。

「継続は力なり」、この言葉を信じて今後も地道に頑張りたい。


★★ 採集成績 ★★

ボ〜ズ


記載日:2001.09.25
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