2001年度 採集記(茨城県 カミキリ編 -3-)

発生時期

今年の春は例年に比較し暖かくなるタイミングが早いような気がするが、北関東におけるカミキリ発生との関連はどうであろうか?

例年より早い場合はとっくに発生しており、また、例年どおりであるならば、そろそろ発生時期に入るはずである。

もちろん、平地と高標高地では差があるだろうが、気温の上昇が遅れているとも思えないため、今日辺りからぽつぽつ採れ始めてほしいところである。

ここ何回かは下見を中心にしたとはいえ、ボーズラッシュはさすがに悲しい。

今回も県内ではトップクラスの多種産地へ行く予定だが、過去の記録通り採集できるかどうか心配である。

さあ、ゼロ行進のストップはなるや?、それともならざるや?



2001.04.24 (Tue)

茨城県 某所

   天気:曇りのち雨
   気温:20.1 度
   湿度:41 %
   風力:2(軽風)
茨城産カミキリ、そろそろシーズンイン?編

● 天候はいまいち...

今日の天気は曇りであり、カミキリを狙うにはあまりうれしくない。しかも、午後から雨が降るとの予報である。ということで、早めに勝負をかけねばならない。

そんなことを思いながらポイントを目指す。

今回のポイントは、カエデ類が多数存在することを事前に確認済みであり、けっこう期待しているのだ。

ポイントのやや手前にて、白い花が咲き乱れている光景を目にしたため車を停めた。

地面にはこのような薄紫色の花がたくさん見られる。

けっこう壮観だ。


さて、これがその白い花。

ウツギの仲間かもしれない。

いたるところでモモブトカミキリモドキが乱舞している。

じ〜〜っと花を観察してみたが、外道ばかりであり、カミキリの姿はないようである。

花の間で交尾中のハムシの仲間。

念のためスイーピングを数回試みたが、やはりカミキリの気配はない。

ここを見切り、先を急ぐ。


● まずはカエデ

さて、カエデ類が群生するエリアが近づいてきた。

ここからは速度を落とし、注意深く開花の状況をルッキングしていく。

が、走っている車からそんなことが判るはずもなく、適当に降りてカエデの観察を開始した。

カエデはたくさんあり、赤紫の花が一面咲き誇っている。

様々なムシがぶんぶんと飛び交い、雰囲気は申し分ない。

これは何か採れるかも知れない。

まずは網を出さず、ルッキングを入念に行なう。

なるべくカミキリの生態写真を撮影したいからだ。

と、次の瞬間、カエデの葉上に褐色をした細長い甲虫がとまっているのを見つけた!!

触角からは一目で「カミキリ」であることが判った。おそらく今までに採集したことのない種類である。

そ〜〜っと、デジカメを近づけ撮影を試みる。しかし、危険を察知したのかすぐに葉の裏側へ隠れてしまう。指で葉の上まで誘導するが、今にも飛びそうな勢いだ。

これはやばい、逃がしてしまっては元も子もない。

というわけで、生態写真はあっさり諦める。

これは「シナノクロフカミキリ」。

日本全国に分布する普通種だが、エリアによっては黒化度が異なるらしい。
[ Asaperda agapanthina agapanthina BATES, 1873 ]

さて、難なく1頭採集し得たところで、カエデの開花状態を改めて見てみる。


手の届く範囲はこんな感じで、いくらかは開いている。

ところが、上の方は遠目に見ても満開状態であり、無数のムシが乱舞している。

さすがに生態写真は撮れないので、網でスイーピングする。
10個所ほど掬ったところで、網をたぐり寄せ中を覗いてみた。

うわ〜〜〜。

どへぇ〜〜っていうほど、いろんなムシが入っている。

大半はハチ、アブ、ハエ、ガガンボなど外道ばかり。

しかし、よく見てみるとカミキリらしい甲虫も混じっているようだ。

っしゃ〜、これはカミキリでしょう。

帰宅後の鑑定では「ヒナルリハナカミキリ」。

大量発生しており、ざっと20〜30は網に入っている。
[ Dinoptera minuta (GEBLER, 1832) ]

同じく大発生の「キバネニセハムシハナカミキリ」。

非常に長い名前だが、れっきとしたカミキリである。

それぞれ標本用に4〜5頭ずつ確保し、あとはすべてリリースした。
[ Lemula decipiens BATES, 1884 ]


● 標高を上げる

適当に見切りをつけ、標高を上げる方向へ移動する。

この先の渓谷沿いにもカエデが多数あるため、要所要所で車を停めてルッキングを行なっていく。

しかしながら、標高を上げれば上げるほどカエデは蕾状態...。

開花まではいまだ時間がかかりそうである。

当然、ムシもあまり飛んでいない。

スイーピングしてみても、アリぐらいしか入らない...。


この通り、まだサクラが咲いているので、この辺りは季節の進みが遅いようだ。

ただ、カエデが大量にあることが確認できたため、時期をずらせばきっと面白いことになるだろう。
ここで踵(きびす)を返し、再び先ほどのポイントへ戻ることにした。

そこでもう少し頑張ってみよう。

ポイントへ戻りカエデをよく見ていくと、赤紫のメタリックに身を包んだ小さな甲虫を発見した。

これは「ファウストハマチョッキリ」というオトシブミの仲間である。

う〜〜む、美しい色彩だ。

[ Byctiscus fausti SHARP ]

じ〜〜っと、チョッキリに見蕩れていると、ポツ、ポツと眼鏡に水滴がはねた。

ああああ、雨が降り出してしまった。

なんてこったい...。

しばらく様子を見ようと車の中で待ってみたが、傘が必要なほど雨は強まり、結局、ここで終了ということにした。

残念だが、この天候でカミキリは厳しいだろう....。


● エピローグ

ようやく、カミキリのゼロ行進からは脱出できた。

あれだけのカエデが手の届く道沿いにあるのだから、私にもヒゲナガコバネカミキリが採れそうな気がする。

やはり、しばらく通うべきなのは今日のポイントであろう。

とにかく高標高地の開花が待ち遠しい。


★★ 採集成績 ★★

ヒナルリハナカミキリ  5 exs.
[ Dinoptera minuta (GEBLER, 1832) ]

キバネニセハムシハナカミキリ  4 exs.
[ Lemula decipiens BATES, 1884 ]

シナノクロフカミキリ  1 ex.
[ Asaperda agapanthina agapanthina BATES, 1873 ]

ファウストハマチョッキリ  2 exs.
[ Byctiscus fausti SHARP ]


記載日:2001.04.24
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