2001年度 採集記(茨城県 カミキリ編 -5-)

雨...

私は「雨男」なのだろうか?

何故か、私が採集へ行く日に限って気象条件が悪い(気がする)。

ここ数日間、すこぶる天気が良く今日も期待していただけに非常にショックである。

まあ、絶好の採集日和というのも、1年のうち、そうあるものでもないのだろうが、そういう日にはとんと縁がない...。

如何ともしがたいが、採集へ行ける日も限られているため、覚悟するしかない。

それでは、降水確率70%という予報の中、意を決して出かけるとしよう。



2001.05.08 (Tue)

茨城県 某所

   天気:雨
   気温:16.3 度
   湿度:58 %
   風力:2(軽風)
茨城産カミキリ、カエデ大爆発@だけど雨...編

● ああああ

冒頭でも書いたが、今日の天気予報は雨。

それも、茨城県においては、私が採集をする「貴重な午後」から降るそうである。

なんとタイミングの悪い天気なのだろうか...。

正直、今日の採集はあきらめようと思っていたのだが、雨の日でもカミキリが採れるかどうかを知りたいため、ずぶ濡れ覚悟で行くことに決めた。生来の雨嫌いな私にとっては大英断に近い。

まったく「アホ」の一言だが、素人故の愚行と大目に見てもらいたい。

さて、予報通り午前中はどんよりと曇っており、今にも雨が降りだしそうな空模様である。

ニュースによれば、沖縄は早くも梅雨入りしたそうで、その梅雨前線が本州方面にもせり出してきているらしい。

何も今日せり出してこなくてもよかろうに...。

う〜〜む、グチっぽくなってきたので、さっさと出発しよう。


● 早期決戦

なるべくなら雨が降る前に採集を開始したい。

そのため、今日は見るカエデポイントを1ヶ所に絞り、そこへ直行すべくアクセルをグッと踏み込んだ。

ところが、出発して5分と経たないうちに、フロントガラスに水滴が...。

ああああ、天気の意地悪。

ぶつぶつ言いながら車を走らせ、しばらくしてポイントへ到着した。


● カエデ大爆発!

このポイントは、ここ数回にわたり立ち寄っているカエデの群生地帯だ。

とりあえず、雨脚はゆっくりとしているようで、さほど強く降っていない。

手際よくレインコートを着込み、長靴を履き、完全防備でカエデの下へ歩み寄る。

雨粒が滴り落ちるなか、カエデの開花状態を確認する。

わ〜〜お、どのカエデも超満開、大爆発状態だ。

そして、上を見上げてびっくり。

水銀灯に集るごとく、大量のムシが「ぶわ〜〜っ」と飛び交っているのだ。

こんな光景は今まで見たことがない。午前中の余韻がまだ残っているのだろう。

あまりのすごさに一気にアドレナリンが放出される。

採るなら今だ!!

大興奮のもと、網を如意棒のように、たわわな花房へ向けて伸ばす。

そして、何ヶ所か掬った後、急いで網をたぐり寄せる。

うわ〜〜、ものすごい数のムシが入っているではないか。

まるで「湯気」のように、ハチ、ハエ、ガガンボなどが網から飛び立っていく...。

もう咳込んでしまいそうだ。

カミキリはいるだろうか?

うおっ、どへぇ〜〜。

ヒナルリハナカミキリ
キバネニセハムシハナカミキリ
ピックニセハムシハナカミキリ
アカイロニセハムシハナカミキリ

この4種に関しては数えきれないほど入っている。

ここまで採れると、はっきり言って気持ち悪い。

この4種は「いつものやつ」改め、「カエデ四天王」と呼んだほうがいいかもしれない...。

う〜〜ん、他にはいないのか?

濡れた網をかき分けていくと...。

ん!

やった!!

トラカミキリの仲間だ。

一瞬、アリかと思ったが、明らかに背中の模様が異なる。

ヒメクロトラカミキリだ。

けっこうすばしっこい。

[ Rhaphuma diminuta diminuta (BATES, 1873) ]

ただ、数は少なく、とりあえず2頭ゲットする。

さあ、ここは花を付けたカエデがたくさんあるのだ。どんどんいこう。

というわけで、スイーピングを執拗に繰り返す。

おおっ!

これは前回の奥多摩でも採れたやつ。

ナガバヒメハナカミキリだ。

よしよし。
[ Pidonia signifera (BATES, 1884) ]

また、同じく前回採れた、フタオビノミハナカミキリも1頭だけ入っていた。


ふと、網の中でひときわ目立つイエローの甲虫を発見。

これは、ダイミョウコメツキというコメツキムシである。

非常に美しい「外道」だ。

一応、標本用に確保した。
[ Anostirus daimio LEWIS ]

そして、次のスイープでは、初採集となるピドニア(ヒメハナカミキリ属の俗称)をゲット。

鑑定の結果、セスジヒメハナカミキリであることが判った。

[ Pidonia amentata amentata (BATES, 1884) ]

ふ〜〜む、雨の日でもけっこうカミキリは残っているものだ(=すぐにいなくならない)。

ここで、外道を2種紹介しよう。

これは、アオハムシダマシというグリーンメタリックの美麗種。

先週はまったく入らなかったため、ここ1週間がこいつらの発生時期なのだろう。

そして、これはスゲハムシという甲虫。

一見、カミキリにそっくりだが、ハムシの仲間なのである。

ジョウカイボンと同様、こいつだとがっかりする...。
さて、いよいよ雨も強くなり、土砂降りの一歩手前となってきた。

カミキリの入る数も徐々に減少し、新たな種類の追加もなさそうなので、敢え無く終了ということにした。


● メッシュネット

そうそう、網についてワンポイント。

今日のような雨の日には、通常のナイロンネットよりも、きめの粗い「メッシュネット」の方が水切れが良く扱いやすい。

ナイロンネットだと、濡れて「ぺしゃっ」と閉じてしまい、花を掬うには不便なのである。

まあ、さすがの「メッシュネット」も、あまりに濡れてしまうと閉じてしまうが、びゅっと振ればすぐに水が飛んで復活するため、やはりこちらに軍配が上がるだろう。

もちろん、コルリの新芽採集や、ヒメオオのヤナギ採集でも使えるので、1本持っておくと使い勝手がよいと思う。

ただし、チョウに関しては鱗粉が剥がれ落ちてしまうため、あまりお勧めできないとのことだ( ← 蝶屋さんから聞いた話)。


● エピローグ

正味1時間30分の短い採集であったが、雨の降りしきる中、ここまでカミキリが採れるとは思わなかった。

これで晴れていたら大変なことになっていたに違いない。

相変わらず、ヒゲナガコバネカミキリ属は採集できなかったが、自分にとっての新知見が得られ不満感はない。

あと1週間ぐらいはカエデの花が持ちそうなので、来週こそはゲットしたいものである。

とにかく晴れて欲しい。


★★ 採集成績 ★★

ヒメクロトラカミキリ  10 exs.
[ Rhaphuma diminuta diminuta (BATES, 1873) ]

セスジヒメハナカミキリ  5 exs.
[ Pidonia amentata amentata (BATES, 1884) ]

ピックニセハムシハナカミキリ  4 exs.
[ Lemula rufithorax PIC, 1901 ]

ヒナルリハナカミキリ  3 exs.
[ Dinoptera minuta (GEBLER, 1832) ]

アカイロニセハムシハナカミキリ  2 exs.
[ Lemula nishimurai SEKI, 1944 ]

キバネニセハムシハナカミキリ  2 exs.
[ Lemula decipiens BATES, 1884 ]

ナガバヒメハナカミキリ  1 ex.
[ Pidonia signifera (BATES, 1884) ]

フタオビノミハナカミキリ  1 ex.
[ Pidonia puziloi (SOLSKY, 1873) ]

アオハムシダマシ  2 exs.
[ Arthromacra viridissima LEWIS ]

スゲハムシ  2 exs.
[ Plateumaris sericea nipponsis NAKANE ]

ダイミョウコメツキ  1 ex.
[ Anostirus daimio LEWIS ]


記載日:2001.05.08
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