2001年度 採集記(茨城県 カミキリ編 -7-)

カエデの次は?

ここ何週かにかけて、カエデのスイーピングによるカミキリ採集を各所にて試みてきた。

その結果、たった1頭ではあったが、ヒゲナガコバネカミキリ属を採るという当面の目標をクリアでき、幸先の良いスタートが切れたと思う。

さて、6月が目前に迫り、我がホームグラウンドである茨城県のカエデも終焉を迎えてしまった。

当然、次なる目標を立てねばならない。

とは言うものの、林道沿いに生える植物をその場で正確に同定する知識と経験を持ち合わせていないため、単発で○○カミキリをメインに追い求めるといった離れ業は到底無理である。

まずは初心者らしく、ミズキ、ウツギ、ゴトウヅルなど、カミキリのよく集まる「白い花」、そして「材置き場」を目印に探索をしていこうと思う。

それでは出発しよう。



2001.05.29 (Tue)

茨城県 某所

   天気:曇り一時雨
   気温:19.1 度
   湿度:59 %
   風力:2(軽風)
茨城産カミキリ、白い花を求めて編

● 不安定な天候

出発するまではけっこう晴れていたのだが、いつものことながらポイントへ向かう途中で雲行きが怪しくなってきた。

と思ったのもつかの間、ポツリ、ポツリと雨が降り出した...。

まじ〜〜?

これからというのに、なんでいつも雨なの?

まあ、さほど気にならない程度の雨なので、とりあえずポイントへ急ぐ。

徐々にポイントへ近づくにつれて、今度はいきなり眩しいくらいの陽が差し込んできた。

なんちゅう天気じゃ...。


● ゴトウヅル

さて、先週確認しておいた「ゴトウヅル」というアジサイに似た花が咲いているポイントへ到着した。

緑色の背景の中、白い花がとても目立つ。

これが「ゴトウヅル」。

アジサイのように大きく開いた花を「修飾花」といい、中央の花群を「両性花」というらしい。

カミキリは両性花の花粉に群がるようである。

いきなりスイーピングは行なわず、まずは花をしばらく観察してみた。

ん!

アシナガコガネが交尾をしていた。

[ Hoplia communis WATERHOUSE ]

そして、トゲヒゲトラカミキリも。

[ Demonax transillis BATES, 1884 ]

さらに観察を続けていくと、チャイロヒメハナカミキリを見つけた。

簡単に手でつかむことができた。

今季初採集種である。

[ Pidonia aegrota aegrota (BATES, 1884) ]

ここに飛来しているカミキリはだいたいこんな感じであった。

スイーピングは帰りに行なうこととし、直ぐ近くの材置き場へと足を運んだ。

おもに新しい広葉樹材を置いてある民家脇のスペースなのだが、今日は何かいるだろうか?

ちなみに、今まで何度もこのポイントを見ているが、ことごとく惨敗続きである。

歩いて材の方へ近寄ってみると、赤いムシが飛んでいるのが見えた。

おおおっ!、と期待が高まったが、正体はベニボタル...。

いたのは辛うじてこいつだけ...。

アトモンサビカミキリ、既採集種だ。

[ Pterolophia granulata (MOTSCHULSKY, 1866) ]

というわけで、次の花を探すべく車に乗り込んだ。


● ウツギ

ちょっとした林道へ入ってみる。

先週か、先々週、ウツギの蕾があったような気がするのだ。

記憶を頼りに林道を進んでいくと、やっぱり「ウツギ」があった。

どどど〜〜っと、咲き誇っているではないか。

辺りに薄甘い香りが充満している。

そうそう、ウツギの花は下を向いて咲いているのだ。

写真は下から見上げて撮影した。

先程と同じく、花を一つ一つ丹念に観察していくと、フタオビノミハナカミキリが多数群がっているようだ。

表面上のルッキングだけではそれ以外のカミキリを発見できないため、網を持ち出しスイーピングしてみた。

すると、フタオビノミハナばかりが網に入り、他のカミキリはまったく見られない。

何回か試みたが、結果は同じ。

どうも、ここのウツギはこいつらに占領されているようだ。

ここは見切り、さらに先へ進む。


● コゴメウツギ

しばらく「白い花」が林道脇に見当たらず、不毛な時間が流れる。

もとの道へ合流したので、今度は別の方向へ行ってみることにした。

10分ほど走ったところに、突然、「白い花」の群生地帯を発見した。

よっしゃ!

これは「コゴメウツギ」という植物で、前出の2種と同様、訪花性のカミキリがよく飛来する種類である。

おおおおっ!、ぱっと見ただけでヒメハナカミキリ属(ピドニア)が乱舞しているのが分かる。


まずは手づかみで。

帰宅後の鑑定では、ニセヨコモンヒメハナカミキリと判明。

こいつらは大発生しているようで、花という花に見られる。

先週はまったく見られなかったカミキリだ。

[ Pidonia simillima OHBAYASHI et HAYASHI, 1960 ]

そして、フタオビノミハナカミキリも大発生。

どひゃ〜〜っと群がっている。

完璧に「いつものやつ」である。

[ Pidonia puziloi (SOLSKY, 1873) ]

あとは、最初のゴトウヅルで採集したの同じ「チャイロヒメハナカミキリ」が呆れるほど大発生。

セスジヒメハナカミキリナガバヒメハナカミキリなども少ないながら飛来してきているようだ。

手の届く範囲はだいたい見てしまったので、上の方へ網を伸ばしてみる。

あれ?

採れちゃった...。

採れるのはカエデだけじゃないんだ。

う〜〜ん、もう一掬い。


ああああ、また採れちゃった...。

う〜〜〜む、なんか運がいいぞ。

うおおっ!、もう一頭入っていた。

[ Glaphyra kojimai (MATSUSHITA, 1939) ]

なんと、あっという間にコジマヒゲナガコバネカミキリを3頭も採ってしまった。

あれほどカエデを執拗にスイープしても1頭しか採れなかったのに...。

まあ、とにもかくにも素人なりの新発見ができて大満足である。

素直にうれしい。

一般的なことかどうか分からないが、ちょっと日陰になった場所をスイープするといいようだ。

別の花房からは、ニンフハナカミキリが採れた。

未採集種である。

う〜〜ん、今日はなかなか成績が良い。

[ Strangaliella nymphula (BATES, 1884) ]

ということで、タイムアップ。

満足感とともにポイントを後にしたのであった。


● エピローグ

今回は「白い花」を求めて彷徨ったわけだが、まさかヒゲナガコバネが採れるとは思わなかった。

他の成果も十分に満足のいくものであり、来週以降も期待して良さそうである。

欲を言えば、伐採木にもっと飛来してもらいたいところであるが、これは今しばらく時期を待ってみたいと思う。


★★ 採集成績 ★★

チャイロヒメハナカミキリ  17 exs.
[ Pidonia aegrota aegrota (BATES, 1884) ]

ニセヨコモンヒメハナカミキリ  16 exs.
[ Pidonia simillima OHBAYASHI et HAYASHI, 1960 ]

ナガバヒメハナカミキリ  8 exs.
[ Pidonia signifera (BATES, 1884) ]

フタオビノミハナカミキリ  6 exs.
[ Pidonia puziloi (SOLSKY, 1873) ]

トゲヒゲトラカミキリ  5 exs.
[ Demonax transillis BATES, 1884 ]

コジマヒゲナガコバネカミキリ  3 exs.
[ Glaphyra kojimai (MATSUSHITA, 1939) ]

セスジヒメハナカミキリ  2 exs.
[ Pidonia amentata amentata (BATES, 1884) ]

アトモンサビカミキリ  1 ex.
[ Pterolophia granulata (MOTSCHULSKY, 1866) ]

ニンフハナカミキリ  1 ex.
[ Strangaliella nymphula (BATES, 1884) ]

ヒナルリハナカミキリ  1 ex.
[ Dinoptera minuta (GEBLER, 1832) ]

他、コガネムシ、コメツキ、ゾウムシなど雑甲虫数種


記載日:2001.05.29
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