2001年度 採集記(神奈川県 某所編)

1カ月ぶり

本当にこの1カ月は忙しかった。「わんこそば」のように次々と仕事が舞い込み、まったく採集へ行けない状況が続いていたのである。

昨年も、当時はかなり忙しいと感じていたが、あれだけの回数にわたって出撃する時間が作れていたことを考えると、今回の忙しさは尋常ではない。

さて、ようやく優先すべき仕事も片づき、採集へ行ける時間的余裕ができた。

そして、気温の上昇や桜の開花がいやがおうにも私の採集意欲を強烈に後押しする。

あとは自然の摂理、相棒を拉致して東京を抜け出すだけだ。



2001.03.25 (Sun)

神奈川県 某所

神奈川産小型種、新規開拓@リハビリ編

● 行くぞ〜

久々の出撃である。どれほどこの日を待ったであろうか。「採集」という言葉を思い浮かべるたび、地中から吹き出す温泉、いや、マグマのように「採集したい病」が大暴れするのだ。

というわけで、日曜日の早朝に相棒を拉致し、一路、神奈川県を目指した。

採集のターゲットはなんでも良かったのであるが、ここしばらく降雪などの理由で小型種採集から遠ざかっていたため、リハビリもかねてルリ属をメインに据えた登山採集を行なうことにした。

さて、神奈川県の小型種採集に関しては、主にクワ道さんと相棒が次々と下見を敢行したお陰で、随分と各エリアの状況が明確になってきた。その情熱には素直に頭が下がる思いである。

しかしながら、まだ見ていない地域も残っているため、今回は私が調べたかぎりで公の記録に登場しないポイントを選択するに至った。

時折小雨がぱらつくどんよりとした天候の中、高速を順調に走り抜け、当該エリアへ到着した。


● 久々の登山

登山口を見つけるのに少々手間取ったが、なんとか発見することができた。

早速採集準備を整え、2人で登山道へ身を誘った。

いつもながら、快調な足取りで先を進む相棒。

登山と言っても、今回はそんなにハードな行程ではない。

しかし、私はかなりのブランクがあり、すぐに息が上がってしまう。

すっかりもとの体に戻ってしまったようだ...。


● ブナ林!

最初は針葉樹の植林としょぼい広葉樹の景色が続く。登山採集は総じて、この最初の段階がつらい。毎度思うことだが、本当にこの先にブナ林があるのか疑心暗鬼となってしまう。

淡々と登って行く相棒の背を見ながら追いかけるが、あっという間に怒濤のような汗が噴出してきた。

しばらくアップダウンを繰り返し、尾根道へ出た後、いよいよ奥にひっそりと佇むブナ林との対面だ。

よっしゃ!、ブナがちらほら見えてきた。

正味30分ほどの短い登山であったが、すでに足がパンパンだ...。

呼吸を調えながら、ざ〜〜っと周囲を見渡してみる。

植生的にはまずまずといったところで、ブナ、ミズナラ、カエデなどなど、一応小型種が生息できるだけの環境はあるようだ。


● ルリ属の形跡

まずは、ルリやホソツヤの産卵マークを探すべく、ブナ立ち枯れの表面や樹群に引っ掛かった材などを物色する。

しかし、産卵マークは一向に見当たらない...。

う〜〜ん、ここにはいないのか?

そんななか、背中の方向から相棒の声がする。

「産卵マークありました!」

そして、「幼虫出ました!」

おおお!、なんと素早い!、材の状況からはコルリのものと思われるが、これでルリ属の存在は確定したことになる、一安心だ。

私も躍起になってマークを探すが、相変わらず見つけだすことができない...。

ん!、目の前にアセビの赤枯れ材が転がっているのを見付け、何気なしに叩いてみると...。

粒コショーのような甲虫がころり...。

期待通りマダラが転がり出た。

やや大きめの♂である。

さらにもう1頭。

もっと出そうと思えばいくらでも出そうだが、キリがないのでやめておいた...。

道端にある材を物色しながら、さらに標高を上げ、とうとう山頂へ到着してしまった。

これがいわゆる「三角点」だ。



● ホソツヤ探索

さて、山頂にて一服した後、ルリ属の探索を再開した。

360度周囲を見回してみると、山頂付近は植生的にホソツヤを狙うには持って来いの環境が広がっている。

生息しているとすれば、パラダイスのはずである。もう嬉しくなって、勢いよくブッシュへ駆け込んだ。

これはすごい、いわゆるホソツヤ材がごろごろしているではないか。

興奮状態は最高潮に達し、片っ端からホソツヤ材を割っていく。

ところが、かなり状態の良い材を割ってみても、アブの幼虫やら訳のわからない幼虫ばかり出てくる...。

これはその外道のひとつで、ヒラタムシの幼虫と思われる。

幼虫の頃から平べったい...。
結局、ホソツヤはギブアップすることにした。

ここで相棒へ電話を入れてみる。

すると、相棒は急斜面でコルリ材と格闘しているとのことだ。すでにかなりの数の幼虫を割り出しているらしい。

ということで、私もコルリをターゲットに切り換えた。なんとしても成虫を出したい。


● コルリ

相棒は北側の斜面にいるようなので、私もその方向へ向けて急斜面を下っていく。

雪解けから間も無いのか、非常に泥濘んでおり下手をすれば滑落してしまいそうだ。

「うわっ!!!」、軸足が滑り無理な体勢を余儀なくされた。幸い滑落や転倒はなかったが、踏ん張ったところに笹の切り株があり、長靴が引き裂かれてしまった。

ああああ、まいった...。

約1年間使い込んだボロボロの長靴とはいえ、大事に使ってきたものなので少しショックだ。

この後は、この穴から泥が容赦なく入り込み、気持ち悪いことこの上ない...。
気を取り直し採集を再開。コルリ材を拾っては割っていく。

産卵マークは分からなかったものの、やっと幼虫を割り出すことができた。

だんだん調子が上向き、次々と幼虫を割り出すが、どういうわけか成虫はヌル。

相棒も同じ状況である。
発生を間近に控えたこの時期、成虫がいないはずはない。

う〜〜ん、やはりまだまだ腕が悪いということだろう。相棒と2人で素直に実力のなさを認めた。

時間はまだ昼前だが、結局、このポイントでの採集は終了ということにして、もう1ヶ所見ておきたかったエリアへ移動することにした。


● ルリ属の成虫が採りたい

一目散に来た道を引き返し下山する。

車のところまで戻り、軽く昼食を済ませた後、再び車を走らせた。

峠道をひた走り、次なるポイントへ到着した。

自然林であり、少ないながらもブナやミズナラが点在している。

さあ、ルリ達はいるのだろうか?
林道をしばらく歩いた後、適当な場所で林内へ突入した。

注意深く材の表面を観察していくが、ここでも産卵マークらしきものは全然見当たらない...。

ここも駄目なのか?

だんだんと集中力も欠けてきた。そうなると、すぐにアセビの赤枯れ材に目が奪われてしまう。マダラなら手っ取り早いからという単純な思考回路しか働かなくなるのだ。

予想通り...。

そしてマダラの幼虫。

この後もザクザクとマダラを割り出してしまった。

こういう状況を「マダラ地獄」と言うそうだ。

ちなみに、これがアセビの葉と蕾。

常緑樹であり、常に濃い緑色の葉を纏っている。
約1時間探索を続けたが、目ぼしい成果はなし...。

雨も強くなってきそうなので、この辺で今回の採集を終了することにした。


● エピローグ

期待した結果は得られなかったものの、あまり馴染みのないポイントにてコルリの生息を確認できたことは嬉しい。

久々の採集であり気合いが空回りした感があるが、これからがシーズン本番、焦らずいきたいと思う。

4月には近畿遠征も控え、いつもとは違ったターゲットを狙えそうなので、今から楽しみである。

またお付き合いいただきたい。


★★ 採集成績 ★★

マダラクワガタ 4♂♂6♀♀
マダラクワガタ 幼虫 1頭

コルリクワガタ 幼虫十数頭


記載日:2001.03.26
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