2001年度 採集記(神奈川県 カミキリ編 -1-)

神奈川県のオオトラカミキリ

先日はオオトラカミキリ多産地の一つとして、山梨県の既産ポイントを実際に訪れてみた。

残念ながら結果は出せなかったものの、オオトラカミキリの痕跡を実際に確認することができ、さらに偶然お会いしたKANさんからは採集のコツを教えていただけ、大ざっぱなことは把握できたつもりである。

その回の採集記でも書いたように、オオトラカミキリは野外にて出会える機会がめっぽう少ないカミキリムシだ。遭遇できるチャンスは、晴れた日の午後に♀が樹上から産卵のために降りてくる一瞬しかないのである。ベテランでさえ、採集できれば幸運の極みであるという。

その一方で、モミ林さえあれば全国的に広く薄く分布する種とも言われており、採集の可能性がまったくゼロというわけでもない。したがって、出撃回数を稼ぐことで出会う可能性を高めることが最も手っ取り早く、確実な方法だろうと素人ながらに考えている。

さて、今回は神奈川県へ出かける用事があったため、そのついでにかねてから見ておきたかったモミ林(過去に記録あり)を訪れてみることにした。

というわけで、今回も懲りずに下見へ出かけるとしよう。



2001.09.01 (Sat)

神奈川県 某所

   天気:晴れのち曇り
   気温:26.3 度
   湿度:68 %
   風力:1(微風)
神奈川産カミキリ、どこまでも下見編

● 合流

用事は午前中で終わるため、本日は午後からの出撃となる。

今回は前もって相棒と合流する約束をしており、集合場所で待っていると、その時間どうりに相棒のレガシイがやってきた。

早速、カーナビに目的地を叩き込み、休む間もなく2台でそこを目指す。


● モミ林

ワインディングロードを走り抜け、どんどん標高を上げる。最初は相変わらずのスギとヒノキの植林だ。これはどこでも同じである。

峠を越え、しばらく走っていると尾根沿いにそびえ立つ立派なモミの勇姿が視界に入ってきた。

どうやらポイントに到着したようだ。

ただ、事前情報にて、ここには多数の「ヤマビル」がいることがわかっており、少々気が重い...。ヒル害を最小限に抑えるため、長靴を履き、長袖を着込み、完全防備で林内へ入ることにした。

長靴はまだしも、この時期に長袖というのはやはり鬱陶しいものである。しかし、奈良県においてヒルには散々な目にあわされているため、ここは我慢するしかない。

あんなグロテスクな生物が、グロテスクな動きをしながら肌にへばり付き、うれしそうに血を吸い、咬まれた場所から血がだらだらと流れ、2週間ぐらい痒みに悩まされる。

あああ、考えただけでもぞっとする。

しかしながら、今回はヒル撃退のための「秘密兵器」を持参しているので、本当に効果があるのかを何より試してみたいとも思っている。

「ヒルが付いていたら教えてね」と相棒と申しあわせ、いよいよモミ林へ突入する。

天気は晴れているものの、林内は薄暗くうっそうとした雰囲気...。

何はなくとも、足下へ気がいってしまう。

今のところヒルは大丈夫なようだ。


いや〜〜、本当に立派なモミである。

ここは、斜面を占めるように素晴らしいモミの大木が乱立しているのだ。

山梨のポイントとはケタ違いの壮大なスケールだが、逆に全部を見ることは到底不可能である...。


関東でも屈指のモミ原生林だろう。


毎度しつこいが、一応、葉を確認。

これは幼木のもの。


葉裏。

白いスジが入っており、ウラジロモミかとも思ったが、樹皮はどうみてもモミ。

まあ、よく分からないが、モミなんだろうな...。

またまた、根拠のない納得。


● おいでなすった... 

とりあえず、我々ができる採集行為は、ひたすら「ルッキング」あるのみ。非常に地味な作業であり、すぐに首が痛くなるのだが、他に有効な方法がないのでどうしようもない。灯火に飛来する種なら、どれほど助かるだろうか。

ということで、それぞれ別れてモミのルッキングを開始する。

1〜2分モミを見上げては、足下を確認。ヒルは突然やってくるため、注意は怠れない。

ん!、これはかつての食痕かな?

多分そうだろう。

山梨のモミにもこのような跡が多数ついており、それにそっくりだ。


これは脱出孔と思われる。

やはり、オオトラカミキリは生息しているようだ。

ヤニを出しているモミもそこそこ見られる。

ただ、樹木が覆い茂っており、上の方が非常に見づらい難点はある。

順調に「痕跡」を見つけることができ、一息ついていると...。

ああああ!

とうとう来やがった。

しかし、いつの間に...。


その数秒後、一気に登ってくる。

相変わらずの「本気モード」だ。


すかさず、秘密兵器を取り出す。

こいつの効果はどれほどであろうか?

いよいよ試す時がきた。

というわけで、「シュッ」と一吹きすると...。


むむむ、みるみる体をひる返し、戦意喪失。

効果は絶大なようだ。

う〜〜ん、予想通り。

これは使える。

この後、相棒共々相当数のヒルにアタックをかけられたが、いずれもこの方法にて事無きを得、1回も咬まれずに済んだ。

ちなみに、他の有効な撃退法としては、タバコの火を押し付ける、虫よけスプレーを吹きかける、塩を振りかけるなどがあり、予防法としては20%程度の濃度を有する食塩水を長靴にかけておく、などがあるそうだ。これらは最近、カミキリムシ情報館の掲示板においても話題になっていた事項であり、是非こちらも参考にしていただきたい。

なお、タバコは林内であるということで、あまりお勧めできないが、緊急避難的には確実な方法である。もっとも、肺癌になる勢いで本数が減っていくと思うが...。くれぐれも後始末だけは気をつけたい。

ところで、キンチョールやゴキジェットなどの殺虫剤は一見効果があるように思われるが、ことごとく無効であるそうだ(相棒談)。

また、酢エチは極めて有効に違いないが、長靴が溶けてしまったり、肌に悪いのでやめたほうがいいかもしれない。

少々話がそれた、採集のことに戻そう。

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