2001年度 採集記(滋賀県 某所編 -1-)

ネブトクワガタ

ネブトクワガタは、なかなか愛嬌のあるクワガタである。

クローズアップした写真を見てみると、オオクワガタのミニチュア版とも思えるほど強い個性を合わせ持つ魅力的なクワガタとも言えるだろう。実際、形態のみならず、動きもオオクワガタに似ているという。

その棲息地域は関東以西が中心であり、関東地方においては極めて採集の難しい種類とされている。私も過去に関東の採集記録地にて1〜2度採集を試みたことがあるが、当然のごとく惨敗であった。その難しさたるや、サハラ砂漠でダイヤの指輪を探すぐらいのレベルかもしれない。

さて、今回は幸いにも関西方面への出張である。当然、この機会を利用しない手はない。

まずは第一弾として、その通年の夢であるネブトクワガタを採集しに行こうと思う。



2001.04.05 (Thu)

滋賀県 某所

滋賀県、通年の夢実現@ネブトの園編

● まずは神戸へ

指折り数えた関西出張の日がやってきた。

当然のことながら頭の中は「仕事」ではなく、「採集」一色である。上司がこんな私のことをどう思うかわからないが、とにかく「採集」一色としか言い様がない...。

仮に、私の頭の中をテレビモニタに写し出すことができるなら、差し詰めこんな感じか...。

では、満載の採集意欲とともに神戸へ出発だ。

3泊4日分の着替えなどに加え、スーツ、仕事関係の物品、さらに採集道具を持っていくため、かなり荷物が多い。

いつもなら「うんざり」するところだが、今回はまったく苦にならない。


● ネブトの楽園へ

全ての仕事を終えた後、いよいよ採集へ出発する時を迎えた。今回の関西滞在は4/4〜4/7であり、5日(午後)、6日(丸1日)を採集に当てている。5日の午前が仕事、4日と7日は移動日のため、要するに採集をしに来たようなものだ...。

仕事が終了するやいなやホテルへとんぼ返り、採集道具をリュックに詰め込む。

そして、一目散にレンタカーを借りに駅へ走った。天気は最高であり、一刻も早く採集がしたい。実際にはホテルから駅までの距離はさほどないのだが、焦るあまり倍以上に感じられた。

レンタカー店員の話もそぞろに聞き、借用書類にサインをするが、それさえまどろっこしくてならない。

ああああ、近畿方面の地図を買い忘れた...。まあいいや、なんとかなる。とにかく出発だ!

目的地は滋賀県内の某竹林。「たんたん」さんという方が発見された知る人ぞ知る「ネブトの楽園」と言われるポイントだ。ご好意により場所を教えていただき、今回の採集行が実現したのである。

本当にありがとうございました。

さて、勘のみを頼りに慣れない地理に戸惑いつつ高速道を走り抜け、なんとかその竹林にたどり着くことができた。

ここがネブトの楽園か〜。こんなところで採れるのか〜。一度もネブトを採ったことがない私にとっては、見るもの感じるもののすべてが新鮮に思える。とにかく、早く採りたくてしょうがない。

う〜〜ん、ケースに納まりきれないほど採れたらどうしよう、とか、展足が大変そうだ、などと要らぬ心配までする始末。なにしろ、ここでは「濡れ手に粟」のごとくネブトが採れるらしい。数々の採集者により、ここの凄さは証明済みなのである。

これでボーズを喰らおうものなら「超ど下手」と言われても仕方ない。

焦る気持ちを抑えつつ竹林へ入ってみる。

林内はやや薄暗く、うっそうとした雰囲気だ。

あちこちに枯れた竹が堆く積み上がっている。
まずは、仲間の採集記を参考にして、枯れた竹を割ってみた。感覚的には、とにかく竹を割れば簡単に採れるものだと思い込んでいたからだ。

ところが、割っても割っても出てくるのはキマワリの幼虫やらムカデやら外道ばかり。ネブトの「ネ」の字さえ出てこないではないか...。「濡れ手に粟」ではなかったのか?

なんで〜?

かれこれ1時間以上、あらゆる竹を割ってみたが、一向に状況は好転しない。う〜〜ん、さすがにこれはやばい。30分もやれば大漁だろうとタカをくくっていただけにショックは大きい。

まじで俺は下手くそなのかも知れない。ネブトの採集経験がないことを差し引いたとしても、「超ど下手」としか考えられない。ああああ、だんだん虚しくなってきた...。

あまりに埒が開かないため、恥を忍んでクワ道さんへ電話を入れてみた。もう2度と来れないかも知れない場所なのだ。なんとしても、1ペアでもいいから採って帰りたい。背に腹は代えられない。

すると、「やっぱり掘ったほうがいいよ」というアドバイスをいただくことができた。

そうか、ネブトは「根食い」なんだ。基本は土中で累代を繰り返す、という以前どこかで読んだことを思い出した。クワ道さんのアドバイスで一気に目が覚める思いがした。

ありがとう!、クワ道さん。

というわけで、念のため持ってきておいたスコップが大活躍することになる。

竹の生え際のフレーク化した黒土をスコップにて一掻きすると、一発で出た。

おおおおおっ!

つーさんのサイトで見たのと同じ「ネブトの幼虫」だ。

いるじゃないか!!!

うれしくなって、どんどん黒土を掘る。

すると、どんどん出てくる。

大抵はこのように、土でできた繭玉の中にいるのだ。

あっという間に...。
ただ、成虫は1頭も出てこない。

掘り出した土の中に埋もれている可能性もあるので、丁寧に土の山をかき分けてみたが、どうにも成虫らしいものが見当たらない。

掘る場所を変えてみたものの、結果は同じである。

う〜〜ん...。


● 成虫は何処に?

だんだんと日が西へ傾き、空がうっすらと橙色を呈してきた。

このまま、成虫ボーズで終わってしまうのか?

まあ、ここで諦めるわけにはどうしてもいかないので、とにかく黒土の場所を探して掘り続けた。

そして次の瞬間、黒土の中に小さく黒光りする1点を見付けた!

ゆっくり手を伸ばし、その部分をほじくってみると...。

やった!!!!!

小さな♂だが、正真正銘、ネブトクワガタだ。

ああああ、やっと採れた。

なんとも、愛おしい姿だ。

これがネブトなんだ。
人生初採集となるネブトに穴が開くほどの目線を浴びせる。

本当に生きててよかった。

喜びもつかの間、足もとに転がっていた繭玉から、今度は♀が出てきた。

っしゃ〜〜、1ペア確保!

これで、ここに来た苦労が全て報われた。

よかった〜〜。

そして、最初の♂よりもやや大きい個体が別の繭玉から出る。

これは本当にうれしい。

背中のスジ、小さいながらもしっかりした大あご、何もかもが素敵だ。
だんだん調子が出てきたと思ったら、すでに林内は土とネブトの区別がつかないほど暗くなってしまっている(幼虫は白いので異様に目立つが...)。夢中になるあまり気がつかなかった。一人でいるとちょっと怖い...。

気持ちとしては、もっとやっていきたいところではある。しかしながら、3頭とはいえ当初の目標は達成されたわけだし、無理をせずここで終了ということにした。仮に1頭だけでも、実際に採れたということが大切なのだ。


● エピローグ

今回、ようやく念願のネブトクワガタを採集することができた。やはり初めて採るというのは、どんな種類であれ予想以上に興奮するものである。

ただ、今回の採集行で学んだことは、どんなに採れると分かっている場所であっても、採り方を間違えば全く採れないということである。当たり前のことと思うが、それを身をもって体験した。

いずれにしても、本当に採れてよかった。

最後に、ポイントを発見された「たんたん」さん、ならびにいろいろと情報を教えていただいた方々に重ねてお礼を申し上げます。

ありがとうございました。


★★ 採集成績 ★★

ネブトクワガタ 2♂♂1♀
        幼虫多数

→ 『ジャパンクワップ・2001

記載日:2001.04.08
採集記(総目次)2001年度 採集記(目次)徳島県 某所編 -1- へ続く....