2001年度 採集記(東北縦断 カミキリ編)
2001.07.24 (Tue) 〜
2001.07.28 (Sat)

青森県
秋田県
岩手県
宮城県
福島県
茨城県

   天気:晴れ〜雨
   気温:16 〜 32 度
   湿度:47 〜 98 %
   風力:1〜4
● 秋田へ

3日目の朝を迎え、日付は7/26。

眠い目をこすりながら空を見上げてみると、どんよりと曇っている...。

梅雨が明けているというのに、どうにも天候が安定しない。

う〜〜ん、これからどうしよう。

このまま青森でもう少し頑張ってみるか、いっそ見切って次なるエリアへ移動するか。

昨日の昼食時にネットで調べたかぎりでは青森県のみが天候不順なようであり、その情報からはとっとと移動したほうが良さそうな感じがする。

というわけで、ある書籍を参考にして、一気に秋田県まで南下する方向で話がまとまった。

とりあえずは秋田県へ向けて出発だ。


● 強烈な土場

道中、高速道を使わずに敢えて下道を走り続ける。ついでに土場などがないか確認しておきたいというのもその理由の一つだ。

秋田県へ入ってしばらく行ったところに、思惑通り2人の視線を釘付けにする強烈な「土場」が現れた。

っしゃ〜〜、こりゃ寄っとかんと!

いや〜〜、すごい。

我々の身長を優に超える高さに材が積み上げられている。


右も


左も

こんな大規模な土場はいまだかつて見たことがなく、まさに前代未聞の大きさである。

まずは敷地外から軽く材の表面を観察していくと、ブナ材にルリボシカミキリが数頭とまっているのが見える。網を伸ばしてこいつらを順に採集する。

しばらくして、裏側を見回っていた相棒が戻ってきた。なにやら「にやにや」していて思わせぶりな表情をしている。

「面白いものが採れました」

うおっ!

オオアオカミキリじゃん。

サワグルミの伐採木上にいたそうだ。

採り逃したのもいるとのことなので、そこまで行ってみる。

[ Chloridolum thaliodes BATES, 1884 ]


すると...。

ラッキー!

ペアでいるじゃないか。

生態写真を撮った後、無事ネットインに成功する。

うれしい!

そして、別の広葉樹材(おそらくコナラ)ではトラカミキリを発見。

一見、エグリトラカミキリかとも思ったが、上翅の最尾端が尖っていないようだ。

つまりこいつはクロトラカミキリということになる。

ふぅ〜、やっと採集することができた。

後日、尾部のアップ写真を掲載予定

[ Chlorophorus diadema inhirsutus MATSUSHITA, 1934 ]

その他、ナガゴマフカミキリカタシロゴマフカミキリなどを数頭採集した。

そこそこゲットできたため、とりあえず先へ進むことにする。


● ブナ林@秋田

国道を折れて峠道へ入る。

途中に咲いていたノリウツギでは、クスベニカミキリをペアで採集。

[ Pyrestes nipponicus HAYASHI, 1987 ]

さらに標高を上げつつ、折り重なるワインディングロードを越えていくと、予想に反して「高原」へ出てしまった...。

あれ?、ここには広大なブナ林があるはずなのに。

埒が開かないので、地元の人に聞いてみると、この奥にあるらしい。なんだ、もうちょっと行けばよかったのか。

うおおお。

ちゃんとあるじゃないか。

突如広大なブナの森が出現した。

こりゃ〜、すごい。


まさにネキ好み。

美味しそうなブナの立ち枯れが乱立している。

うれしくなって、思わず駆け寄るがこの木には何もいなかった...。

しかし、これで終わるわけがないと、ずんずんと林道の奥まで車で入っていく。

すると、突然落石が...。

何かと思えば、カモシカだ。

なんと自然度が高いのだろうか。

これならネキも十分に期待できそうだ。

素晴らしい環境にめぐり会えた我々は、勝手に大盛上り。

絶対にネキをゲットするぞと意気も揚々だ。

ところが次の瞬間、奈落の底へ突き落とされる。

が〜〜ん。

ここは国指定の特別保護地区であった...。

どおりですごい森なわけだ。

さすがにこんなエリアのど真ん中で昆虫採集はやばいか。

う〜〜む、素直に撤退した。

早く言ってよ...。

現地の地図を参考にすると「特別保護地区外」においても、ある程度のブナ林が存在することが分かった。よかった〜、万死に一生だ。

というわけで、そのエリアを中心に見ていくことにする。

先ほどの環境と比較してもそんなに見劣りするポイントでもなく、状態の良いブナの立ち枯れはそこそこ見られる。

1本1本立ち枯れを観察していくが、ネキはそう簡単に見つからない。

やはりそう甘いものではないようである。

うぇ〜〜、ヤマナメクジ。

せっかくの立ち枯れも、こんなグロテスクな外道に占領されてしまっている。

3〜4匹はへばり付いていた。

私がネキ探索に難渋するなか、向こうの方から相棒がただならぬ表情をして戻ってきた。

「なんか採れたの?」

「これ」

相棒から衝撃的な物証を見せられることとなる。

うそっ!!

ああああ、もったいない。

なんと相棒の手には、オオホソコバネ(♀)の死骸が握られていたのだ。

アリにでも食われたのだろうか?

いずれにしても、これでネキの生息は確実となったわけだ。でかした、相棒。

そうなると、探す行為にもぐ〜〜んと具体性が増す。

舐めるように各立ち枯れを調べていくと、ネキダリスはなかなか見つからないが、苔むしたブナの表面を「ハナノミ」という小さな甲虫がピョコピョコ歩いているのに気づいた。少なくとも2種はいると思う。

おそらく産卵しに来ているのだろうが、ハナノミは花に来るものばかりと思っていただけに新鮮な発見であった。

散々探してみたものの、とうとうネキの生体を採集することは叶わなかった。

残念...。


● 再び土場へ

ブナ林での探索を適当に切り上げ、さっきの土場へ戻ることになった。

というのも、夕刻に動きが活発となるオオアオカミキリの追加採集をしておきたいためだ。

土場へ着くと、まずやつらのホストとなる「サワグルミ」の材を2人で確認しに行く。

これがサワグルミの伐採木。

「ひこばえ」を見ればクルミ科であることがわかる。


樹皮のアップ。

参考にしていただきたい。

とりわけ道路沿いにサワグルミの大木がゴロゴロと積み上げられているため、そこを中心に見てみる。

実は奥の方も見てみたいのだが、大型トラックやパワーリフトがアクティブに出入りしている土場のため、ちょっと危険なのである...。

というわけで、各材を何気なく見ていると。
おおお、いるいる。

サワグルミの材上にベタベタと張り付いているではないか。

そして、矢継ぎ早に新たな個体が飛来してくるのが見える。

それらを次から次へとネットに入れていくが、その最中にも飛んでくる有り様で、明らかにタコ採れ状態だ。採っても採ってもあちこちで見つかるのである。

これは実に楽しい!

オオアオカミキリのタコ採れなど、滅多に体験できるものではないかもしれないため、ここぞとばかり採りまくる。

いつの間にか毒ビンが緑一色に染まっており、蓋を開けるたび柑橘系の混じる麝香(ジャコウ)の香りでいっぱいとなってしまった。

最初に訪れたときの個体も含め、トータル20頭のオオアオカミキリを正味30分足らずで採集し得たことになる。

いや〜〜、貴重な経験をさせていただいた。

サワグルミ万歳である。

目新しい種類として、センノキカミキリも採集できた。

灯火にも飛来する普通種だが、今季はこれが初採集となる。

[ Acalolepta luxuriosa luxuriosa (BATES, 1873) ]

十分に満足できる成果が得られたため、この辺で今晩の灯火ポイントを探すべくこの素晴らしい土場を後にした。

採集させていただき、ありがとうございました。 >土場関係者の方

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