2001年度 採集記(東京都 某所編 -1-)

リベンジ

昨年のこの時期、東京のある山へ小型種(クワガタ)を採りに行ったのだが、このときは見事にボーズを喰らってしまった。決して採集の難しいポイントではないため、なんとも不甲斐ない成果だ。

東京ラベルのクワガタ、やはり都民としては押えておきたい。

というわけで、約1年ぶりに同じポイントを訪れてみることにした。

今回もボーズという虚しい結果に終わってしまうのだろうか?



2001.11.18 (Sun)

東京都 某所

   天気:晴れ
   気温:4.2 度
   風力:1(微風)
東京産小型種、リベンジ編

● 東京都に生息する小型種

東京にはどんな小型種が生息しているのだろうか?

私の知っているかぎりの種類を挙げてみると、ルリクワガタ、トウカイコルリクワガタ、ホソツヤルリクワガタ、ミヤマツヤハダクワガタ、マダラクワガタということになる。

本日行くポイントでは、これらすべてのクワガタの生息が確認されており、実際、昨年の採集行では同行のクワ道さんがルリ、ホソツヤルリ、ミヤマツヤハダの成虫を割り出している。

→ 採集記

このうちの1種でも採集して帰りたいところだが、何と言っても私自身はボーズの身だ。

今回ちゃんと採集できるかどうかは、はっきり言って自信がない...。


● とりあえず出撃

早朝の5時半に家を飛びだす。

今回は幸いにも相棒が同行してくれるということなので、久々にコンビでの出撃となる。

当の相棒も、ここのところ仕事でタップリとストレスをため込んでいるため、かなり気合いが入っている様子だ。

なにはともあれ、面白くなりそうである。

渋滞に遭遇することもなく、順調にポイントの入り口へ到着した。

東北や北関東の高標高地では、すでに紅葉の季節も終わっているが、ここでは美しく彩られた木々がまだ健在だ。

モミジの紅葉と透き通った青空との素晴らしいコントラストが、これから待ち受けている登山のキツさを忘れさせてくれる。

が、気温は4度とかなり寒いのだ...。

二人で白い息を吐きながら、早速、登山を開始する。

さぁ〜〜、登るぞ〜!

と、気合いだけは入っているのだが、情けないことに最初の200メートルほどで、足が痛くなり息も上がってしまった...。

ほぼ1年ぶりの登山ということを差し引いても、弁解不能なほどの「運動不足」である。明日の筋肉痛が容易に想像できるだけに少々気が重い...。

痛い足にムチを打って、ぐいぐい登っていく。

すると、目前に美しい光景が見えてきた。

雲の合間から光が差し込み、なんとも神秘的である。


● ホソツヤルリクワガタ

さて、ようやくブナ帯へ到着したようだ。

まずは道沿いに落ちている材を観察して、産卵マークなどを探してみる。

立派なブナ。

そうこうしているうち、気づくと早くも相棒が産卵マークのビッシリついた材を削り始めていた。

「これはいけるかもしれませんよ」と必死に打ち込む相棒。

そして、あっという間にホソツヤ1♂を割り出した。

相変わらず、さすがの腕前だ。

「残りを一緒に削りませんか」というので、私も参戦することになった。

テンポよく材の表面を削いでいると...。

うっしゃ〜!


まずはホソツヤ1♂ゲット。

写真では表現できないが、ダイヤのような煌めきが視線をくぎ付けにする。

相棒はさらに1♀を追加し、難なく1ペアを確保する。

一方の私は、自分の指を落としそうになるまで削ってみたが、外道すら出すことができなかった...。

というわけで、再度別れてホソツヤ材を物色する。

ホソツヤは比較的乾燥した材に入っていることが多い。

例えば、写真のごとく樹間に挟まっている枝などが狙い目で、産卵マークが付いていればなお良い。

これはアブラチャンという樹種で、ホソツヤが好む材のひとつだ。

※ 立ち枯れているものでも、経験上、根元付近にホソツヤが入っていることがあるので要注意。

ちなみに、これがホソツヤの産卵マーク。

ルリのものに比して、やや小さめだ。

その後の私の成果は、結局、幼虫を何頭か出したものの成虫の追加はならなかった。

人に講釈をたれる資格なしだ...。


● ルリクワガタ

清流を遡上していると、産卵マークがこれでもかっていうほど付いている材を発見した。いかにもルリが入っていそうな立ち枯れである。

オオバアサガラという聞きなれない種類の樹木のようだ。

とりあえず、食痕でボロボロになった部分から崩してみる。

っしゃ!


縦横無尽に走るルリクワガタの食痕。


びしょびしょの場所から♀。


どんどん出てくる。

ここの♂は、比較的黄色味の強い個体が多い。

なんの苦労もなくさらに数頭追加することができ、非常に満足な結果だ。

途中から相棒にも削ってもらい、相棒も何頭か採集することができた。

まあまあの「当たり材」を引き当てたようだ。

そうそう、成虫が多数出てくる材からは、不思議と幼虫が出ないものである。

これは、おそらくオニ♂の死骸。

蛹室を抜け出せず力尽きたのだろう。

合掌。

ということで、次はトウカイコルリへと目標を切り替えることにした。


● トウカイコルリクワガタ

ルリクワガタ属はそれぞれに好みの材があり、それによって棲み分けをはかっている。

今までに何度も採集記で書いているが、コルリクワガタは地面に埋まった湿度の高い材に産卵するため、主に沢沿いの斜面に注目すると効率良くコルリ材を見つけることができる。

状態の良いコルリ材の外観は、このような感じ。

端を少し削ってみたところ。

幼虫の坑道には灰色をした粉状の糞が詰まっている。


鮮明な産卵マークよりは、少々型崩れしたものの方が成虫の入っている可能性が高い。

さらには食痕が露出していて、かろうじて手で材を崩せるほどの硬さが丁度よい気がする。

慎重に表面を削いでいくと...。

ラッキー!

トウカイコルリの♀だ。

腹面が赤いのですぐに分かるのだが、ルリの真っ黒な腹と違って、この「赤」が出た瞬間に脳内で噴火が起きたかと思うほど「喜び」の衝撃が走るのだ。

しかし、コルリ(とくに原名コルリ)は新芽で腐るほど採れるのに、材採では比較的コツのいる種類なので割り出した瞬間は本当に最高である。

掌に乗せて、じっくり眺める。

どこから見てもコルリだ。

材の感じからは、まだまだ出るはずである。

これまた「当たり材」の予感。

さっきの♀のすぐ脇から、今度は♂をゲット。


よしよし。


おおおおおっ!

また出た。

そして、パカッと材が割れた瞬間....。

うわ〜〜!、思わず声が出る。

なんと折れ線グラフの「点」のように、4♀がいっぺんに出てきた。

写真はそのうちの2頭で、範囲外の右端にもう2頭いる。

天にも昇る気分である。


う〜〜ん、もう言うことなし。

1本の材から、ここまで多数のコルリを割り出したことは生まれて初めてだ。

今日は本当にツイている。

さあ、これでルリ属はホソツヤ♀を除いて、種類としては「完全制覇」を達成した。

もう気分的には十分である。

あとはミヤマツヤハダ、マダラをということで、気分を切り替えて「赤枯れ材」を探す。

しかしながら、1時間近く彷徨ってみるが、この近辺には状態のよい赤枯れ材が見当たらない...。さすがに疲れてきた。

これ以上の登山も気が進まないため、下山する方向で材を物色しつつ相棒を探すことにした。

しばらくして相棒と合流する。

すると、相棒もルリ属3種をゲット済みであり、すでに「まったり」としている。

ただ、コルリをもう少しやりたいとのことで、標高を下げた場所でもうちょっと粘ることに決まった。

200メートルほど下ったエリアで、相棒はコルリを求めて沢の奥へと消えてしまった。

一方の私は、来季のカミキリ採集に向けて樹木の観察に没頭する。

そして、20分ほどで涼しい顔をして相棒が戻ってきたが、成果を聞いてびっくり。

なんと、5頭のコルリをさくっと割り出してきたらしい。

むむむ、この辺はさすがである。

というわけで時間は午後2時半だが、満載の達成感とともに本日の採集を終了とした。


● エピローグ

う〜〜ん、見事リベンジ達成。

久々に充実した「採集らしい採集」であった。

もはや明日の筋肉痛のことなどどうだっていい。


★★ 採集成績 ★★

トウカイコルリクワガタ 3♂♂7♀♀
ルリクワガタ      2♂♂4♀♀
ホソツヤルリクワガタ  1♂


記載日:2001.11.19
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