2001年度 採集記(東京都 カミキリ編 -1-)
2001.05.04 (Fri)

東京都 奥多摩町

   天気:曇りのち晴れ
   気温:21.2 度
   湿度:38 %
   風力:2(軽風)
● 黄色い花

林道を半分ぐらい走ったところで、花の残るカエデを発見した。

このカエデからは、たいした獲物が採れなかったのだが、その対面にある広葉樹に「黄色い花」が咲き誇っているのに気がついた。

これがその黄色い花。

私の持つ植物図鑑には見当たらないため、今は「樹種不明」としておく。

この花の周囲には、大量の小虫が乱舞しているようだ。

花のみでなく、葉陰にも多数の甲虫が潜んでいる。

これはジョウカイボン。

カミキリに似ているので、非常に紛らわしい。

私と相棒の間では、皮肉の意味を込め「バカボン」と呼んでいる。


そして、ヒナルリハナカミキリも花の中心部へ潜り込むようにして密を貪り吸っている。

カメラを近づけてもまったく動じない。

そのお陰で、やっと生態写真らしいカットが撮れた。

今回のベストショットだ。

ただ、肝心のスイーピングのほうは「いまいち」で、カミキリの種類を追加することはできなかった...。


● Uターン

この林道を終点まで走り抜き、そこで昼食をとる。

そして、再び来た道を引き返した。往路の時よりも気温が上昇し、また何か飛来しているかも知れない。

何ヶ所かカエデを見直した後、ピドニア(ヒメハナカミキリ属の俗称)を採集した有望カエデのところまで戻ってきた。

復路のここまで、ほぼヌルに近い状態であり「うんざり」もしていたが、とてもこれだけで終わるポイントとも思えない。

「何でもいいから入ってくれ!」と念じつつ花房を揺する。

すると...。

うおおおっ!、これは。

形態からはピドニアが疑われる。

鑑定の結果、ナガバヒメハナカミキリと判明。

似た紋様が多く、ピドニアの同定はなかなか難しい。

[ Pidonia signifera (BATES, 1884) ]


そして、また採れた。

今度はシロトラカミキリだ。

今年初のトラカミキリ属ゲットである。

ピドニアと比較すると、よりカミキリらしい形態をしている。

[ Paraclytus excultus BATES, 1884 ]

時を同じくして、相棒も別のカエデで同種をゲット。

お互いに調子が出てきたようだ。


さらにうれしい悲鳴。

トガリバアカネトラカミキリを採ることができた。

美しい配色を施されたトラカミキリであり、かねてから採集してみたかった種である。

[ Anaglyptus niponensis BATES, 1884 ]

相棒もまるでシンクロするかのように同種を採る。

いや〜〜、楽しい。

当たり前なことだが、採れない採集は本当に辛い。しかし、採れる採集ほど楽しいものはないのである。

これが相棒の採集したトガリバアカネトラカミキリ。

死んだ振り(擬死)をしているようだ。

小型カミキリなど一目散に逃げてしまいそうなものだが、死んだ振りをするとは可愛い。
さて、私にとっての未採集種が立て続けに採集できたが、その後はカミキリ自体が採れなくなってしまった。

カミキリの飛来には微妙な条件が影響するのかもしれない。

というわけで、この林道を後にした。


● もう一度

とりあえず、大きく移動を試みようと思い、麓の方まで一気に戻る。

その途中で、2番目に訪れた林道のカエデをもう一度「1本だけ」見てみたい衝動に駆られたため、ちょっと寄り道していくことに。

現場へ到着し、早速カエデを眺めてみるが、相変わらず日陰となっており周囲を飛ぶムシの数は少ない。

駄目元で花を掬ってみると...。

ん!、何か入ってる。

っしゃ〜!

トゲヒゲトラカミキリというカミキリだ。

これも未採集種である。

[ Demonax transillis BATES, 1884 ]

結局、追加はこの1種だけだったが、寄り道して正解であった。


● 材場

午後も3時を過ぎると、さすがにカエデのルッキングも疲れてきた。

首が痛くなるは、目がしょぼしょぼするは、長い網を振り続けるはで、それなりに体力を要する採集なのだ。

というわけで、カエデはこの辺で終了。

ここからは、帰還する方向へ材置き場などを見つつ移動しようと決めた。

4時ちょっと過ぎであるが、渋滞はすでに始まっており、長蛇の列を形成している。

まあ、街道沿いの材場を探しながら走るにはいいのだが、実際には尋常な渋滞ではない。

もう、帰路の行程を考えただけで気が遠くなりそうだ。

そんななか、ある材場が視界に入るが、何を思ったかそのまま通りすぎてしまった...。

スギの材場が多い中、そこは魅力的な広葉樹の材が山積みにしてあったのだ。

う〜〜ん、今日見ておかなければ絶対後悔するだろう。

渋滞のノロノロ行進もなんのその、それを遮るようにUターンをかます。なんと私は迷惑な野郎だ。それもカミキリ採集のためなのだからなおさらだ。

見た感じは最高。

が、実際はナナフシの幼虫が闊歩しているだけで、見事に「ハズレ」であった...。

甲虫などはまったく見られず「し〜〜ん」と静まり返っていた。

ああああ。

もう帰ろう。

相棒とともに意を決して渋滞へ突入したのであった。

お疲れさま。 >相棒


● エピローグ

関東におけるカミキリ採集のメッカ「奥多摩」へ実際に足を運んでみた。

今春早期からの暖かい気候に晒され、カエデの開花シーズンが早まった可能性があり、本当の「奥多摩」を満喫できたかどうかは分からない。

しかし、今回追加できた未採集種は5種であり、ど素人の結果としてはまずまずだろう。

帰りの渋滞が半端ではないため、来年のGWの最中に再び行く勇気はないが、時期がずらせるなら積極的に攻めてみたいポイントである。

可能ならば、今回惨敗したヒゲナガコバネカミキリ属をもう一度狙ってみたい。

なにはともあれ、往年のカミキリ屋の心境にいたる道のりは、非常に長くそして険しそうである。

今後もコツコツと頑張っていきたい。


★★ 採集成績 ★★

ヒナルリハナカミキリ  4 exs.
[ Dinoptera minuta (GEBLER, 1832) ]

フタオビノミハナカミキリ  4 exs.
[ Pidonia puziloi (SOLSKY, 1873) ]

ナガバヒメハナカミキリ  1 ex.
[ Pidonia signifera (BATES, 1884) ]

シロトラカミキリ  1 ♂
[ Paraclytus excultus BATES, 1884 ]

トガリバアカネトラカミキリ  1 ex.
[ Anaglyptus niponensis BATES, 1884 ]

トゲヒゲトラカミキリ  1 ♂
[ Demonax transillis BATES, 1884 ]

シロオビナカボソタマムシ  2 exs.
[ Coraebus quadriundulatus MOTSCHULSKY ]

ヒラタハナムグリ  2 exs.
[ Nipponovalgus angusticollis WATERHOUSE ]

ヒメクロツヤハダコメツキ  1 ex.
[ Pseudathous desertor CANDEZE ]


記載日:2001.05.05
追記日:2002.06.05(誤同定を訂正:ヒメクロツヤハダコメツキ→ムラサキヒメカネコメツキ)
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