2002年度 採集記(海外採集編 -1-)

2002.04.11 (Thu)〜
2002.04.15 (Mon)

マレーシア サバ州
(ボルネオ島)
Trus madi 山麓

● いきなり灯火採集

荷物の積み下ろしもそぞろに、いちばん近くにある灯火へ走る。

もう、どんなムシが来ているのかを見たくて仕方ないのだ。

勢いを付けて灯火の正面へ回ってみると...。

うあ〜〜!

足下に巨大な黒い物体が転がっていた。

モーレンカンプオオカブトだ。

でかい...。
[ Chalcosoma moellenkampi ]

ん!、幕面にはカミキリムシがいるようだ。

思わず、手に取ってみる。

ひぇ〜〜、すごい。

名前は分からないが、なんとも南国系である。

次はこんなカミキリや、

こんなゴマフ系のカミキリも。

さらには変わった形態をしたコガネムシも見つけた。

う〜〜ん、これだけでも自分が非日常的な異次元空間に存在しているという気分を十分に味わえる。

これは、オキピタリスノコギリクワガタ。

黒くないクワガタなんて不思議だ。まじまじと眺める。

ところが、相棒によるとボルネオでは普通種であり、要するに「いつものやつら」らしい。
[ Prosopocoilus occipitalis HOPE et WESTWOOD,1845 ]

私は外国産の甲虫を図鑑以外で見たことがほとんどなく、出発前にも敢えてムシに関する事前情報を必要最低限に抑えてきた。そのため、見るムシ見るムシがとても新鮮に映る。

やはり、現地にいるムシの「生の姿」を見るのは、とても興奮するものである。

やつらはまさにこの地で生まれ、黙々と活動しているのだ。そんな息吹が肌で感じ取れる。

ちょっと上目遣いで見ていたら、すき間にボルネオヒメカブトが隠れていた。

いわゆる「ギデオン」と呼ばれるやつだ。

こいつは採集せず...。

コメツキだって、ここのは一回りも二回りもでかい。

これはミヤマカミキリの仲間かな?

上翅の模様が緻密だ。
ここらで、別の灯火が気になるので見に行く。

すると、足下には大きなクワガタのメスが...。

軽く4センチはありそうだ。

何クワガタだろう?

これまた変わったカミキリムシ。

さらには大きなカミキリムシも発見した。

ウスバカミキリの仲間と思われる。
それにしても、出会うムシはたくさんいるが、一つとして同じ種類がいないところが末恐ろしい...。

日本では考えられない異様な状況である。

と思っていたら、オキピタリスノコギリクワガタのペアが求愛の真っ最中であった。

けっこう可愛いクワガタである。

う〜〜ん、不思議なコメツキムシ...。


そして、カナリクラトゥスホソアカクワガタ。

なかなかのベストショットが撮れた。

[ Cyclommathus canaliculatus RITSEMA,1891 ]

おおっ、またいた。

だんだん「いつものやつら」の本領を発揮してきたな。

これは中型のオス。


こいつは、ブルークツヤクワガタ(♀)というらしい。

平べったいクワガタである。

全身緑色のセミの頭に跨がっているところ。

[ Odontolabis brookeana VOLLENHOVEN,1861 ]

それにしても甲虫以外のムシとして、とにかく「セミ」が多い。それはもう、信じられないぐらいの数のセミが飛来してきている。

日本ではエゾゼミなどがたまに灯火へ飛来するが、ここまでお祭り騒ぎになるほどではない。

そんなセミ達に辟易しながら、さらに別の灯火へ走る。

これがまた、すごいムシの数に圧倒されるが、幕面にはしっかりと甲虫の姿が見える。

ふ〜〜む、ここはセミがあまりいない。

なんでこんなに違うのだろう。

現地の「採り子」が採った後なのかな?


へぇ〜〜、全身真黄色なコガネムシ。

非常にシンプルだが、非常に派手なカラーリングである。

ここで相棒と合流し、最後の灯火へと一緒に歩いていく。

相棒も同様なクワガタを順調にゲットできているようである。

幕面近くまで到達し、やっぱボルネオはすごいねぇ、などと話をしていると...。

あああああ、あれは!

マンディブラリスだ!!

正確にはマンディブラリスフタマタクワガタというクワガタで、大きなものは体長10センチ越える個体もあるという。

[ Hexarthrius mandibularis DEYROLLE,1881 ]

この個体は中型クラスだが、それでもすごい貫録である。基本的に気性の荒いクワガタと言われているが、とりあえずは大人しくしているようである。

今までにこいつの標本は見たことがあったものの、生体を見るのは初めてだったため、ひたすら感動してしまった。そして、先程地面を這っていた大型のクワガタの♀がマンディブラリスであることも判明した。幸運にも到着後数十分で1ペアゲットできたことになる。

相棒が手に取って見た後、私に渡してくれたのだが、向きが悪かったせいもあり、思いっきり指を挟まれてしまった...。

うひゃ〜〜〜、痛いのなんのって、指がちぎれるかと思った。

幸い、やつがアゴの力を緩めた瞬間に外すことができたので良かったが、このまま挟まれ続けたら、流血戦になっていたに違いない。

さあ、2巡目に入ろう。

うひゃひゃ、相変わらずすごいムシの量だ。


最初に回った灯火には、すでに新たなクワガタが飛来していた。

ライヒヒラタクワガタの♀。

[ Dorcus reichei HOPE,1842 ]

うぇ〜〜。

5センチはあろうかという巨大なコメツキ。

体表面の白い部分は「しっとり」とした布地のような手触りである...。


むむむ、カミキリムシも来ているぞ。

触角を「ピン」と前方に延ばし、「気をつけ」の姿勢だ。


モーレンカンプオオカブトの♀もいた。


カナリクラトゥスホソアカクワガタ、


2連発。


もう、何でもありだ。

キリがないので、主立ったカミキリムシを以下に列挙する。

名前すら分からないが、


とにかく、


違った種類のカミキリムシが、


次々と飛んできている...。

というわけで、夕飯の支度ができたようである。

料理長の「たべるぅっ!!」という日本語の合図で、夕食を食べることにした。

どんな料理を出されるのか大変興味があったのだが、基本は「中華料理」のようである。実際に食べてみると、これがまた日本人の口にあってうまい!

昼から何も食べていなかったということもあり、一気に平らげ、さらに「おかわり」までしてしまった。

この味付けなら、滞在中、メシに困ることはないだろう。

夕食後もしばらく灯火を回って何種か甲虫を追加したが、それらは今後の連載で順次紹介していきたいと思う。

午後10時過ぎに発電機が止められ、本日の採集はこれにて終了となった。

それにしても、なんと「濃い」1日だったのだろうか。初日からボルネオのすごさを思い知らされた感がある。例えるなら「往復ビンタ」を食らったような感覚だ。

360度の方向から聞こえるムシの鳴き声と、遠くから響くサルの遠吠えのような声が入り交じった「熱帯サウンド」を聴きながら、寝床へ入るのであった。

う〜〜ん、大満足。

朝起きたときに、周囲の環境を見るのが楽しみである。

果たして明日はどんな採集が待っているのだろうか?


記載日:2002.04.16
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