2002年度 採集記(海外採集編 -3-)

ボルネオの「ネキダリス」

さあ、ボルネオ採集も折り返し点を過ぎ、いよいよ後半戦に入った。

これまでは、とにかく何もかもが初めて見るものばかりで、出会ったムシを驚愕の思いとともにひたすら採集していたが、普通種に関しては一段落した感がある。

この辺で何か「目標」が欲しくなった。

どんなムシにしようかしばらく迷ったが、ボルネオにはネキダリス(ボルネオホソコバネカミキリ)が生息すると聞いていたので、結局それに決めた。というか、それ以外のカミキリムシの知識がほとんどない...。

ボルネオ到着時、チュウ氏に聞いたところによると、ボルネオのネキはこれからシーズンに入るとのことだ。年間を通しても採集される個体数は少ないらしいが、チャンスはあるという。ちなみに、今のところはボルネオホソコバネ1種しか知られておらず、前胸背がオレンジ、短い上翅がパープルブルーという独特なネキである。

いずれにしても、採集方法は「吹上採集」しかないそうで、あと2回のトライでゲットできる確率はどう考えても低いと思われるが、「目標」にするには申し分のない対象だろう。

「絶対に採ってやる」という志のもと、本日も吹上げポイントに立つとしよう。



2002.04.11 (Thu)〜
2002.04.15 (Mon)

マレーシア サバ州
(ボルネオ島)
Trus madi 山麓

外国産甲虫、灼熱の熱帯雨林@究極の「ボルネオ」 - ネキを求めて編 -

● 好天!

本日も6時半に自然と目が覚めた。

そろそろ筋肉痛が始まり、日焼けのあともヒリヒリと痛いが、気合いでそれらを跳ねのけるように外へ出た。

すると、昨朝と同様に、今朝も眩しいぐらいの朝陽が迎えてくれた。

今日は相棒もほぼ同時に目を覚まし、朝食までの間、二人で恒例の採集品チェックを行う。

相棒が採集したほうのボーレンホベンツヤクワガタ。

刺激すると、相手を威嚇するように立ち上がり、触角をプルプルと震わせる。

日本では、ここまでパフォーマンスするクワガタはいないだろう。

顔面のアップ。

7時過ぎに朝食をとり、各人が採集の準備を始める。

ガイドが「今日はムシたくさんキャッチングOKね」とジェスチャーとともに片言の日本語で私を煽る。

さあ、今日も採るぞ〜。

準備を終えたメンバーが次々と荷台へ飛び乗る。

さあ、出発だ。

ネキと出会うことはできるだろうか?

そんな想いとダートに揺られながら、吹上げポイントへ到着した。

今日も良い天気だ。

一応、斜面の下の方を撮影してみたが、これじゃよく分からないか...。

時間がまだ早いことは昨日の経験上分かっているので、周辺のルッキングへ出かける。

ボルネオの高地には「花」が少ないということは、前回の採集記にも書いた。ガイドに聞いても、本当にそういったポイントはないという。

しかし、道沿いには「薄桃色」の小さな花が多少はみられるため、今日はそれらをもう一度丁寧に観察していこうと思う。

おや?、今日は何かいるぞ。

ハナムグリ?


そうだ、黒いハナムグリだ。

ラッキー!

結局、ここだけで3頭も採れてしまった。


次は、何の変哲もない葉の上に小さなカミキリムシが静止していた。

これまたラッキー。


変わったところでは、ちょっとグロなカメムシ。

その後、伐採木なども見てみたが、な〜〜んも来ていなかった。

ということで、そろそろポイントへ戻ろう。

来た道を引き返し、ポイントが近づくにつれ相棒の姿が見えてきた。

「どぉ〜〜〜?」と大声で様子を聞いてみると...。

げんなりしながら腕で大きな「×」を作る。

なんだぁ、だめなのか。昨日ブンブン飛び始めたのと同じぐらいの時間なんだけどなぁ。

条件的にも、昨夕にスコールが降っていないことを除けば、ほとんど変わらないのだが...。それとも、やはりそれが一番の原因か?

実際、1時間ぐらい待ってみたが、ムシの飛んでくる気配がほとんどない。

ふぇ〜〜、こりゃネキなんて夢のまた夢だな...。

成果といえば、せいぜいこのカミキリをゲットできた程度。

昨日とは比較にもならないほどの貧果である。


● 再会

そういえば、別のキャンプに「サワウイ?」という日本人が来ていることを、今朝方ガイドから聞いた。そのキャンプはこのポイントからもそう離れていないと言っていたが、どこなんだろう。できればお会いしたい。

しかし、サワウイってどんな漢字?

すると、1台のハイラックスサーフがゆっくりと通りかかった。

ん?、車が停まって中から人が出てくるぞ。

どこかで見覚えのある人だなぁ。

ああああ、なんと沢井氏であった。かつて山梨の大菩薩へ採集へ行ったときにお会いしたことのある方だ。ペンションのマスターであり、昆虫館を開いている有名な方でもある。サワウイとは「沢井」氏のことだったのだ。

沢井氏は毎年この時期にボルネオへ来られているそうで、それはもう大ベテラン。せっかくなので、いくつか情報を教えてもらった。ネキに関しては、昨日同行の日本人の方が採集されたようで、そろそろシーズンに入ったとのことである。ただ、年々、ムシが少なくなってきていると嘆いておられた。

ネキの飛び方は擬態しているとおり「ハチ」そっくりらしいので、ハチだと思ってもとりあえず採ったほうがいいとアドバイスをいただけた。

ハチに似ているのかぁ...、私にも分かるかなぁ。何を隠そう、私はネキが飛んでいる姿を一度たりとも見たことがないのだ。

まあ、来るムシ拒まずでいくしかないだろう。

これから街まで買い出しに行かれるとのことで、ここで沢井氏とはお別れした。


● 動かざること山のごとし

ネキに関する有力な情報が得られた。

あとはもう待つのみだ。

何があってもここから動かないぞ。じ〜〜っと前方を睨みながら網を構える。

12時を過ぎた頃だろうか、採り子たちの動きが慌ただしくなってきた。ようやくムシが飛び始めたようである。

よ〜〜し、行くぞ!

っしゃ〜〜。


なかなかカッコイイ。

次は比較的大きな飛影をキャッチ。

これも未採集のカミキリムシだ。


わ〜〜お、すごい顔。

いかにもボルネオのムシって感じだ。

クワガタカミキリっていうのかな?


今が旬の時間なのか、どんどん飛んでくる。


リンゴカミキリの仲間。

しかしながら、一向にネキは採れない。

う〜〜ん、やはりそう甘くないはないようだ。

午後2時過ぎまで粘ってみたが、とうとうその姿を見ることはできなかった...。

迎えの車が来てしまったため、後ろ髪を引かれつつもポイントを後にした。

キャンプに着くと、ガイドがムシをいくつか持ってきてくれた。どうも我々にくれるらしい。つまり、完品でないため売り物にならないそうだ。

うわっ!!

ボルネオベニボシカミキリ。

ムシ屋あこがれのカミキリじゃないか。

足が欠けているとはいえ、私が貰ってしまっていいんだろうか?


そして、ネブトクワガタ。

極端にでかいのと、極端に小さいのがいる。

でかい方は、とてもネブトとは思えない...。

いずれも、記念にありがたくいただいた。

ということで、谷底の滝で水浴びをした後、せっせと展足をして時間を潰す。

徐々に陽が西へ傾き、周囲が薄暗くなってきた。
さあ、再度採集のチャンス到来。

昨日はチャレンジしなかったが、実は夕刻にも甲虫が飛翔するため、それを採ろうというのである。

早速、相棒がセットポジションへ入る。

※ 写真では露出の関係でやや明るく写っているが、実際はもっと暗い

時折何らかのムシが飛んでいるのは見えるので、懸命にネットを振ってみるが、どうにも要領を得ない。相棒もなかなかうまくいかないようだ。

そんな私らをよそに、採り子たちは1つ、2つとムシをキャッチしている。

さらにもっと暗くなって日没ぎりぎりでも、お構いなしでゲットしていくのだ。

一体どのような「目」をしているんだ?

我々日本人チームは、私がかろうじて既採集の小型カミキリをゲットできたのみで、相棒はボーズという結果だった。


● ラストナイト

発電機のセルが回され、都合3回目の灯火が始まった。

寂しいかな、滞在中、最後の灯火となる。

昨晩はやや裏切られた感があるが、今晩はどうだろうか?

ということで、早々に巡回ルートへ入る。

すでに来ていた。


これは、ノコギリクワガタの1種だそうだ。

名前は忘れた...。

おおおお、ナイスなカミキリムシ。

過去2回の灯火では見られなかった種類だ。

触角が「櫛(クシ)」状になったカミキリムシ。

個体数は比較的少ない。

小型のカミキリムシだが、これは多数飛来していた。

これも小さなカミキリムシ。

同様にいつものやつ。

わ〜〜お。

相棒が採集した格好良いカミキリムシ。

日本のヒゲナガゴマフにも似ている。

おおおおっと、仲の良いこと。

邪魔者は去ろう。

種類すら分からない外道。

バッタとナナフシを足して2で割ったようなムシ...。

そして、お化けゼミ。

カエルのように「ボっ、ボっ、ボっ」と低い声で鳴く。
今晩は以上のような成果であった。大型甲虫の飛来がほとんどなかったものの、ムシの量的には昨晩と同じぐらいだったと思う。

ただ、これで2日連続でスコールが降らなかったことになるが、明日は大丈夫だろうか?

いずれにしても、ネキが採れなかったことが悔しい...。


記載日:2002.04.19
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