2002年度 採集記(福島県 カミキリ編 -3-)

悩ましい天気

この週末は、東京での最後の休日を家族と過ごすために、どこかしらで「温泉&採集」を楽しもうと前々から思っていた。

しかしながら、今は梅雨。西から天気は崩れてくるようであり、関東、東北地方もなかなか微妙な状況だ。

天気予報では、晴れだったり、曇りだったり、延いては雨だったりと、見るサイトによってバラツキがあり、当日の朝、出発の直前まで採集地を決めあぐねることとなる。

もし、本当に天気が悪いのであれば、採集は諦めるつもりであったが、あるサイトの最新情報にて南会津(舘岩村近辺)だけは「晴れマーク」が並び、気温も29℃まで上がる予報となっていた。

ちなみに、他の候補地としていた「栃木、群馬」北部は、曇り、あるいは一時的に雨という予報であったが、テレビではさほど崩れないという...。

う〜〜ん、どうしよう...。

どの予報を信じるべきか?

まあ、予報はあくまで予報であり、当然、当たることも多いが、今まで裏切られたことも多い。誠に悩ましいところであるが、せっかくの出撃チャンスを無駄にするのも悔しい。

あれこれ悩んだ挙げ句、「舘岩村:晴れ、29℃」を信じて、家族と愛車へ乗り込むこととなった。

さあ、結果やいかに?



2002.06.29 (Sat)

福島県 南会津郡

   天気:曇り時々晴れ
   気温:23.5 度
   湿度:53.3 %
   風力:4〜5
福島産カミキリ、梅雨の南会津(2) 編

● 遅めの出発

昨晩は私の送別会であり、3次会を勧める後輩達を振り切って帰宅したのは深夜12時ぐらい。「明日はムシ採りだから早く帰る」という堅い決意で望んだ送別会であったが、やはり2次会までは断れなかった。

う〜〜む、かなり酔ってしまった...。明日はちゃんと起きられるだろうか?

いざ、南会津や関東最北部の横断を伴うような「日帰り採集」をする場合、少なくとも早朝の5時には家を出ないと、現地での活動時間が中途半端なものとなってしまう可能性が高い。下手をすると、「何をしに行ったの?」ということになりかねないのである。よって、寝坊だけは絶対に避けたいところだ。

というわけで、「絶対に起きるぞ」との強い決心のもと、目覚まし時計を「4時半」にセットして、寝床へなだれ込んだ。

そんな感じで前日の段階では酔いも手伝い、かなり気合いが入っていたのだが、朝起きるやいなや「がく然」としてしまった。時計を見れば、なんと「8時」だ...。

まじ...、どうしよう。

いっそ採集はやめて、自宅近辺でゆっくり過ごすか...。う〜〜ん、でもなぁ...、そうは思いつつも、天気予報を再度チェックするなど、この期に及んで往生際が悪い。

南会津、群馬県北部、栃木県北部、南会津、群馬県北部、栃木県北部...、何度も同じ予報のページを見るも、うじうじと行くか行かぬかがキッパリ決まらない...。

で、1時間ぐらい悩んだ末、「舘岩村:晴れ、29℃」という1点のみを信用して、遅まきながら行く決心がついたのである。

う〜〜ん、今回はなんとも出足が鈍いが、とりあえず、東北自動車道へ乗るべく出発した。

ちなみに、家を出たのは10時過ぎだ...。


● 「キンケトラ」ポイント

焦る気分を抑えつつも、車はやや非常識な速度で東北自動車道を北上し、今季最高のラップタイムで西那須野塩原ICを降りる。

降りてすぐの千本松牧場で買い物をした後、一路、舘岩村を目指した。

その途中、前回キンケトラカミキリを多数見掛けた材置き場へ、ちょっとだけ寄っていくことに。

この段階で気温は23度、時折晴れ間も見えるというなかなかの条件だ。

間も無くポイントへ到着し、材を積み上げてある場所まで歩いていく。

新鮮なケヤキ材のところをのぞき込んでみると...。

いた〜〜。

まだ健在のようだ。

ちょっと毛が薄いのが気になるが...。

前回同様、多数のキンケトラカミキリが飛来してきている。

なかなか壮観な光景だ。

君はどこを見ているの?

で、今回は記念に1頭だけゲットさせてもらい、あとは写真を撮るだけにとどめた。

[ Clytus auripilis BATES, 1884 ]

他には、エグリトラカミキリとゴマフカミキリが数頭いる程度で、採る(撮る)気はまったくなし...。

さあ、時間がもったいないので、先へ行こう。


● フロンティア

高速を降りて約1時間で舘岩村へ入ることができた。

まずは、いつもながら「焼肉フロンティア」へ。

少々の休憩&犬(ピレネー犬)と戯れた後、ポイントの巡回を開始する。

ただ、予報に反して天気がいまいち...。

おまけに、かなり強い風が吹いており、一抹の不安がよぎる。

「晴れ:29℃」の夏日じゃなかったのか?


● キックオフ

いつもの土場を目指して国道を走っていると、はるか遠くにクリーム色の花が満開だったので、そこを見に行くことにした。

樹種は分からなかったが、クリの花ではなさそうだ。

しかし、遠目にも強風で各枝がしなっているのが分かる...。

こりゃ、カミキリムシは厳しいだろうなぁ。

と、弱腰な姿勢で網を伸ばしてみる。

ワサワサ、ワサワサ、と何ケ所か掬ってみるが、カミキリムシなど1ミリも入らない...。

やはり、この強風では飛んでこれないのだろう。潔く諦める。

車へ戻る途中にあるソダを駄目元でルッキングしてみた。

新たに飛んでこなくても、ず〜〜っといるやつらが見つかればラッキーだ。


おおお、かろうじて...。

ヒメヒゲナガカミキリ。

いてくれてありがとう。

[ Monochamus subfasciatus subfasciatus (BATES, 1873) ]

まあ、この調子では先が思いやられるが、「でも何かはいるだろう」という期待のもと、土場を目指して移動する。

まず最初は、前回「Kさん」に教えていただいた、ムネマダラトラカミキリの土場を見てみる。

「タモ」という材に飛来するのだが、この条件ではどうだろうか?

とりあえず、タモの材へ歩み寄る。

すると、小ぃ〜〜〜〜さな、ムネマダラトラカミキリがシャカシャカ材上を歩き回っていた。難なくゲット。

しかしながら、この1頭しかいないようだ...。 他の材も見ようと土場内を歩いていると、向こうの方に捕虫網を持った人を発見。

「カミキリですか?」と声をかけると、「カミキリとタマムシです」とのこと。

私と同様、今日はロクな成果が上がっていないという。

しばし情報交換をした後、再度ムシを探す。

ああっ!

と思ったが、いつものハンノアオカミキリ...。


この悪条件にもかかわらず、けっこうな数がいる。

[ Eutetrapha chrysochloris (BATES, 1879) ]

さらに多いのが、このハネビロハナカミキリ。

呼んでもいないのに、ぶんぶん飛来してくる。

今回は写真撮影だけ。

[ Leptura latipennis (MATSUSHITA, 1933) ]

う〜〜ん、やっぱり不安が的中したか、面白いムシがいない...。と、少々落胆していたら、さっきの甲虫屋さんが声をかけてきた。

「もしかして、るどるふさんですか?」

はい、と答えると、「mura です」。

ああああ、なんだぁ〜〜、muraさんだったのか。

以前から、掲示板やメールにて情報交換をさせていただいている方であった。やっとお会いすることができた。

驚いたことに、ほんの数分前この土場内にて珍品「トラハナムグリ」も採集されており、これは羨ましかった。

本当はこのまま採集をご一緒させていただきたかったのだが、こちらが家族連れのため、今回はこのまま別れてしまった。そのうちぜひ同行させていただきたいと思う。

ありがとうございました。 >mura さん

結局、その後もロクな成果が上がらず、このポイントを後にした。

今度はハルニレの伐採地へ行ってみよう。

う〜〜ん、こりゃ駄目だ...。

風が強いうえに、気温も低くなってきた。

花もすっかり終わってしまっている...。

ということで、止むなくここはスルー。

別のポイントへ行く。

さて、着いたのは良いが、ここも暗雲立ちこめる雰囲気が充満...。

今日はやはり失敗だったかなぁ...。


どう思うよ?

[ Eutetrapha chrysochloris (BATES, 1879) ]

ねえ?

[ Leptura arcuata mimica BATES, 1884 ]

仕方なく踵を返し、気分は終了モードとなる。

よっしゃ、今日はこのままフロンティアで美味い焼肉を食べて、帰りがけに温泉へ入って帰ろう。

そう決めて、頭の中が焼肉と温泉一色になってしまった。

快調に車を走らせていると、途中でなんとも立派な「オニグルミ」の群生を発見。

一度は帰ると決めたものの、やはり無視することはできず、急ブレーキ。

オニグルミノキモンカミキリはいないかなぁ?

まだ福島で採ってないんだよねぇ。

この雰囲気ならいてもおかしくないのだが。


あああああ!


あああああ!

オニグルミノキモンカミキリだ。

びゅ〜〜んと葉が風に流されても必死につかまっている。なんとも健気な姿だ。

1頭いるということは、他にもいるだろうということで、別の葉にも目を向けてみる。

すると、案の定、いるいる。

下の方から上の方まで、点々とオニグルミノキモンカミキリが、触角をピンと左右に広げ「気をつけ」の姿勢でとまっているではないか。

気温がやや低いためか、俊敏なはずの彼らの動きは鈍く、それぞれの個体を逃すことなくネットインできた。ほんの数分で6頭という、まずまずな結果だった。

う〜〜ん、満足。

[ Menesia flavotecta HEYDEN, 1886 ]

ということで、これにて本日の採集は終了。

家族との約束通り、焼肉、そして温泉を堪能しつつ家路についた。


● エピローグ

南会津での成果としては、今ひとつぱっとしなかったが、家族と1日中ずっと一緒にいられたことは良かったと思う。

今回はあまり成果のことを言うのはやめておこう。

新しい勤務先からは、そう頻繁に南会津へは行けないだろうし、こうやって来れたということだけでも十分だ。

次回からの採集がどのようになるかは、正直、分からないが、自分自身が後悔しないよう、そして、家族とのふれあいも大切にしながら、採集というライフワークを充実させていきたい。


★★ 採集成績 ★★

オニグルミノキモンカミキリ  6 exs.
[ Menesia flavotecta HEYDEN, 1886 ]

ハンノアオカミキリ  3 exs.
[ Eutetrapha chrysochloris (BATES, 1879) ]

ヤツボシハナカミキリ  3 exs.
[ Leptura arcuata mimica BATES, 1884 ]

キスジトラカミキリ  1 ex.
[ Cyrtoclytus caproides caproides (BATES, 1873) ]

キンケトラカミキリ  1 ex.
[ Clytus auripilis BATES, 1884 ]

シラホシカミキリ  1 ex.
[ Glenea relicta relicta PASCOE, 1868 ]

シロトラカミキリ  1 ex.
[ Paraclytus excultus BATES, 1884 ]

ヒメヒゲナガカミキリ  1 ex.
[ Monochamus subfasciatus subfasciatus (BATES, 1873) ]

ヘリグロベニカミキリ  1 ex.
[ Purpuricenus spectabilis MOTSCHULSKY, 1866 ]

ミドリカミキリ  1 ex.
[ Chloridolum viride (THOMSON, 1864) ]

ムネマダラトラカミキリ  1 ex.
[ Xylotrechus grayii grayii (WHITE, 1855) ]

総計:11 種 20 頭


記載日:2002.07.01
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