2002年度 採集記(茨城県 甲虫編 -1-)

外道からメインターゲットへ

今回から茨城県に生息する甲虫を丁寧に観察、採集していこうと思っている。

以前に「外道」と呼んでいたムシばかりが対象となるが、最近はこの時季に成虫で採集できる甲虫に種類を問わず興味を持つようになってきた。

本来はカミキリムシの材採集に全力投球したいところだが、今はとにかく好奇心の赴くまま様々な甲虫を見て、採って、自分なりの知識を増やしていきたい。

それでは出発しよう。



2002.10.23 (Wed)

茨城県 某所

   天気:晴れ
   気温:9.3 度
   湿度:36.5 %
   風力:1〜2
茨城県、甲虫珍道虫 編

● 原生林へ

今回は採集地を特に決めていなかったが、やはりムシの種類の多い原生林が良いだろうということで、そこへ直行した。

う〜〜ん、これは着込んでおかなくては...。


そのせいか、ようやく紅葉らしくなってきた。

まずは林縁を適当に叩いていると、1頭のゾウムシが落ちる。

図鑑とじっくり見比べてみたところ、カツオゾウムシのようである。

名前の由来は、カツオ節みたいだから?

う〜〜ん、削ってみたい...。

[ Lixus impressiventris ROELOFS ]

あとは、いつものハサミムシばかりで、ゴミムシやハムシさえ落ちてこない状況だ。

モミの半枯れも駄目であった...。

樹皮下にカミキリムシのウネウネとした食痕の走った材(樹種不明)を幾つか拾いつつ車へ戻る。

というわけで、叩き網をオノに持ち替え、材採を開始。

しばらく林内を歩いていると、比較的太いブナの倒木を発見した。

幅広く褐色腐朽菌が回っている赤枯れ材だ。

まずは樹皮をゆっくりと剥がしてみる。

おお、平べったい小さなハネカクシだ。

上翅の両側にある赤い部分がお洒落。

オオヒラタハネカクシという普通種のようだ。

[ Piestoneus lewisii SHARP ]

もう少し剥がしてみると、樹皮の裏側に多数の甲虫が集合していた。

う〜む、キノコムシの仲間かな?

持参した図鑑で確認すると、どうもゴミムシダマシのようである。

ヨツボシゴミムシダマシという種類だ。

[ Basanus erotyloides LEWIS ]

肩部にある2つの紋が目立つが、実は上翅端に小さな紋が1対ある。

そして、へんてこなハネカクシも多数発見。

ここで再び図鑑の出番。

クロツヤハネカクシと判明。

[ Priochirus japonicus SHARP ]

一応、標本写真も掲載しておく。


ヨツボシゴミムシダマシ
[ Basanus erotyloides LEWIS ]

クロツヤハネカクシ
[ Priochirus japonicus SHARP ]

その後、さらに樹皮を剥がしていくと、もう2種類ハネカクシを採集することができた。

ただ、今回も小さいのと俊敏な動きについていけず、生態写真は断念...。


ハラグロキノコハネカクシ
[ Lordithon bicolor GRAVENHORST ]

ツノフトツツハネカクシ
[ Osorius taurus SHARP ]

しっかし、「ハラグロ(腹黒)」とはねぇ...。

さて、大方の種類は採ってしまったので、いよいよ材部を削ってみることにする。

なお、クワガタ狙いの時のようにガシガシとブロック状に削っていくと、小さなムシは材の破片とともにみな吹き飛んでしまうため、時間をかけて小さく崩していく。

以前はまったく気がつかなかったのだが、よく見てみると甲虫以外の小さなムシや非常に細い食痕が走っているのが分かる。

材部はマグロの「漬け」のように深赤色であり、ボロボロ崩れるほど柔らかい。ツヤハダクワガタには向いていないだろう。

そうこうしているうちに、明らかにクワガタと思われる太い食痕が出てきた。

う〜〜ん、アカアシクワガタかな?

もう標本はいらないので、食痕とは反対方向へ削り進んでいくと、なんと、ぼこっとクワガタが出てきてしまった...。

ひえ〜〜、でかい...。

最近は小さなムシばかり相手にしているので、とても巨大なムシに感じられる。

実際には40ミリ台後半ぐらいだろうか。

[ Dorcus rectus MOTSCHLSKY, 1857 ]

それはそうと、こんな血の滴るような赤枯れ材でコクワガタを出したのは初めてかもしれない。

おそらく、産卵当初は赤枯れていなかったのだろうが、時間とともに褐色腐朽菌が回ってしまったのだろう。

どんな状況にも適応できるタフなやつらである。

ここで、反対側に位置を変えて削ってみる。

先程と同じく、少しずつ慎重に材を崩していくと...。

おおおお、今度はオサムシだ。

ちょっと刺激したら匂いを出してしまった...。

う〜〜ん、やはりちょっと苦手...。

[ Carabus vanvolxemi vanvolxemi PUTZEYS ]

クロナガオサムシの仲間と思われるが、このエリアではクロナガとトウホククロナガの記録があるようなので、そのどちらかだろう。

※ 後日、ホソアカガネオサムシと判明(2003.02.13)

近接する場所から合計3頭ほど採集できた。

さらに、小さなハネカクシも目の前にて発見。


ホソアカガネオサムシ
[ Carabus vanvolxemi
vanvolxemi
PUTZEYS ]

ズマルハネカクシ
[ Amichrotus apicipennis SHARP ]


その他は、体長数ミリのハネカクシを幾つか採ることができた。

ということで、何だかゾクゾクと冷え込んできたため、本日はこの辺で終わりにしよう...。


● エピローグ

今回は本当に小さな甲虫ばかりを採集したが、これはこれで真剣にやるととても目の疲れる採集であることが判った。

とりわけ、冷え込むこれからの時季はけっこうしんどい作業となるだろう。

しかしながら、成虫で採集することに喜びを感じる私としては、大方の採集可能種を把握するまで続けていこうと思っている。

いずれにしても、このようなムシに興味のない方には申し訳ありません...。


★★ 採集成績 ★★

クロツヤハネカクシ 3 exs.
[ Priochirus japonicus SHARP ]

ホソアカガネオサムシ 3 exs.
[ Carabus vanvolxemi vanvolxemi PUTZEYS ]

ヨツボシゴミムシダマシ 3 exs.
[ Basanus erotyloides LEWIS ]

ツノフトツツハネカクシ 2 exs.
[ Osorius taurus SHARP ]

オオヒラタハネカクシ 2 exs.
[ Piestoneus lewisii SHARP ]

カツオゾウムシ 1 ex.
[ Lixus impressiventris ROELOFS ]

コクワガタ 1 ♂
[ Dorcus rectus MOTSCHLSKY, 1857 ]

ズマルハネカクシ 1 ex.
[ Amichrotus apicipennis SHARP ]

ツマキツヤナガハネカクシ 1 ex.
[ Nudobius apicipennis SHARP ]

ハラグロキノコハネカクシ 1 ex.
[ Lordithon bicolor GRAVENHORST ]

他、数種、数頭


記載日:2002.10.24
記載日:2003.02.13(オサムシの種類が判明)
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