2002年度 採集記(茨城県 甲虫編 -3-)

歩行虫採集

今回はゴミムシの仲間など、いわゆる「歩行虫」をメインに探してみたい。

その採集方法としては、石を起こしたり、側溝を探ったり、落ち葉を篩ったり、砂や土を掘ったりなど、要するに彼らの生活の場である「地面」を中心に見ていくことになる。

果たして、どれだけのムシを見つけることができるだろうか?



2002.11.06 (Wed)

茨城県 某所

   天気:晴れ
   気温:8.3 度
   湿度:33.6 %
   風力:1〜2
茨城県、甲虫珍道虫(3) 編

● ふらっと

本日は、まだ風邪が完治していないため、比較的標高の低いエリア(=気温があまり下がらない)で採集をしようと思っている。

が、出発の直前までエリアを絞り込むことができず、適当に車を走らせ「飛び込み」で林道などを攻めてみることにした。

小一時間、国道や県道を気の向くままに走っていると、人気のないひっそりとした林道へたどり着いた。

植生はいまひとつだが、何らかのムシはいそうな雰囲気だ。


落ち葉の堆積した「側溝」もあるため、まずはここから見ていくことにする。

まあ、側溝は地方自治体が税金を使ってわざわざ作ってくれたトラップであるとも言え、利用しない手はないだろう。少なくとも、林内の落ち葉の中からムシを探すよりは効率的だと思う。

ということで、折畳みスコップを「シャキっ!」と伸ばし、落ち葉を少しずつかき分けてみる。

おおおおお!

なんと、サンショウウオだ。

調べてみたところ、背中の模様からはハコネサンショウウオと思われる。

[ Onychodactylus japonicus ]

クネクネ、ペタペタ、相変わらず動きが独特で面白い。

さらには...。

サワガニや、


マイマイカブリのエサまで...。

側溝にはいろんな生物が落ちている...。

さて、本命の甲虫はどうだろう。

先ほどかき分けた落ち葉を、もう一度詳細に観察してみる。

おおおお、何かいるぞ。

図鑑を参照した結果、クビアカツヤゴモクムシというゴミムシらしい。

[ Trichotichnus longitarsis MRAWITZ ]

もう一種、カラフルな甲虫も発見したので、下に合わせて写真を掲載する。


ヨツボシテントウダマシ
[ Ancylopus pictus WIEDEMANN ]

クビアカツヤゴモクムシ
[ Trichotichnus longitarsis MRAWITZ ]

う〜〜ん、こんなものか...。

それにしても、側溝というものは道路に沿って延々と終わることなく続いており、その探索はかなり骨の折れる作業である。

まあ、何事も経験、という心構えでやっているが、端から見たら「怪しい人間」以外の何物でもないだろう...。

そんなことを考えながら、さらに探索を続けてみる。

しばらく落ち葉をかき分けていて気がついたのだが、落ち葉が分厚く堆積して完全に土化している場所には、あまりムシはいないようだ。ミミズ、ムカデ、トビムシ、サワガニが大半であった。

一方、ゴミムシやハネカクシなどの甲虫が見つかるのは、乾燥した落ち葉の下にある、ほど良く湿った半腐葉土ぐらいの環境であった。

一見、どうでもいいような場所だが、彼らなりに居場所を選んでいるようである。

下の写真は追加で得られた甲虫の一部。


クロツヤヒラタゴミムシ
[ Synuchus cycloderus BATES ]

エゾアリガタハネカクシ
[ Paederus parallelus WEISE ]

さて、大方見てしまったので移動してみる。


● 沢沿い

ゆっくりと林道を流していると、脇に沢が見えてきた。

ちょっとだけ見てみよう。

う〜〜ん、ひんやり...。

川の水も澄んでいて、とても冷たそうだ。

川原の砂地に無数の石が転がっているため、それらの幾つかを起こしてみる。

これまた力仕事だ...。

おおおおお!


ゴミムシが集団越冬状態であった。

ホソモリヒラタゴミムシという種類のようである。

[ Colpodes speculator HAROLD ]

恐る恐る掴んでみたが、オサムシのような匂いではなく、アリの匂いに似ている。

つまり「蟻酸」の匂いだ。

鼻にツンとくるが、逃げ出したくなるほどのものでもない。

そして、別の石の下には...。

またまたゴミムシだ。


それも、「ゴミムシ」という名のゴミムシ。


また、石の脇にゴミムシダマシも数頭転がっていた。

図鑑によれば、ホソスナゴミムシダマシ※ かな。

同定に自信がない...。

※ 後日、スジコガシラハムシダマシと判明 (2002.11.12)


ゴミムシ
[ Anisodactylus signatus PANZER ]

スジコガシラハムシダマシ
[ Heterotarsus carinula MARSEUL ]

その他、同様な環境からは下のようなムシが採集できた。


マルガタツヤヒラタゴミムシ ※
[ Synuchus arcuaticollis MOTSCHULSKY ]

ヒメゴミムシ
[ Anisodactylus tricuspidatus MRAWITZ ]

※ 後日、マルガタツヤヒラタゴミムシと判明 (2002.11.12)

風邪が悪化しそうなので、本日はこの辺で終了。

また来週...。


● エピローグ

今まで「外道」と呼んで見向きすらしなかったムシも、いざ採ろうとなるとなかなか採れないものだ。

真剣にやっていくには、それなりのノウハウやテクニックも当然あるのだと思う。

まあ、今はノドから手が出るほど採りたいわけでもないので、さほど気合いも入っていないのだが、かといって夏のシーズンにこれらのムシを採るとなると収拾がつかなくなるだろう。

やはり私のようなシロートは、この時季に細々とやるのが楽しいのかもしれない。

次回も環境を変えて何らかのムシを探してみようと思う。


★★ 採集成績 ★★

クビアカツヤゴモクムシ 3 exs.
[ Trichotichnus longitarsis MRAWITZ ]

ゴミムシ 3 exs.
[ Anisodactylus signatus PANZER ]

スジコガシラハムシダマシ 3 exs.
[ Heterotarsus carinula MARSEUL ]

ホソモリヒラタゴミムシ 3 exs.
[ Colpodes speculator HAROLD ]

エゾアリガタハネカクシ 1 ex.
[ Paederus parallelus WEISE ]

クロツヤヒラタゴミムシ 1 ex.
[ Synuchus cycloderus BATES ]

コアリガタハネカクシ 1 ex.
[ Megalopaederus lewisi CAMERON ]

ヒメゴミムシ 1 ex.
[ Anisodactylus tricuspidatus MRAWITZ ]

ヒメケゴモクムシ 1 ex.
[ Harpalus jureceki JEDLICKA ]

マルガタツヤヒラタゴミムシ 1 ex.
[ Synuchus arcuaticollis MOTSCHULSKY ]

ヨツボシテントウダマシ 1 ex.
[ Ancylopus pictus WIEDEMANN ]

他、数種、数頭


記載日:2002.11.07
追記日:2002.11.12(誤同定2種を訂正)
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