2002年度 採集記(茨城県 甲虫編 -4-)

プテロ

今回は通称「プテロ」と呼ばれるゴミムシの仲間を探してみようと思う。

プテロに関する説明は私自身がまだ把握しきれていないので、今回は無理に詳しく書かないが、その独特な形態から人気の高い一群であるようだ。

本日、私が採ろうとしているニッコウオオズナガゴミムシを例にとれば、前方へ鋭く張り出した前胸背板の先に極めて大きな頭部を有し、その大あごは左右アンバランスという特徴的な格好をしている。

アンバランスフェチな私が、あっという間に虜になってしまったのは言うまでもないだろう。

違っていたら申し訳ないが、カミキリムシで言えば、ネキのような存在かもしれない。

ともかく、渋くて格好良いゴミムシなのである。

さあ、果たして私に採集することができるだろうか?



2002.11.13 (Wed)

茨城県 某所

   天気:晴れ
   気温:7.4 度
   湿度:35.1 %
   風力:1〜2
茨城県、甲虫珍道虫(4) 編

● 代車で...

先週末に愛車を入院させてしまったため、本日は代車にてポイントを目指す。

久しぶりに乗用車に乗ったが、タイトコーナーでの減速をあまり気にしなくて良いので、けっこう快適なコーナリングを体感することができた。

車高の高い四駆では、なかなかこうはいかない。

ということで、すでに冬支度の終わりつつある「いつものポイント」へ到着した。

う〜〜ん、寒々しい...。

さて、まず何をするかだが...。

昨日、幸運にもゴミムシに詳しい方からニッコウオオズの採集法に関して、若干のアドバイスをいただいており、それに従い探索をしてみるとしよう。

机上の知識と合わせると、涸れた沢(源流部)のガレ場、およびその近辺の側溝などが目安となりそうだ。


● 沢沿い

天気予報では、かなり冷え込むと言っていたが、実際はそうでもなく、吐く息も白くない。

しかし、ここで油断すると風邪がぶり返しかねないので、少々厚着をして採集へ突入した。

とりあえず、こんな場所を選んでみた。

下流の方から徐々に瓦礫(がれき)を掘り進んでいこう。

おおお、早くもゴミムシを発見。

ツヤモリヒラタゴミムシのようだ。

[ Colpodes xestus BATES ]

うあ〜〜、コウガイビルが目の前に...。

でも、ちょっと乾燥気味なため、やる気はなさそうだ...。

一歩一歩登りながら瓦礫をどかし、その下を掘っていくわけだが、目のつけ所が分からない分、集中力を持続するのが大変だ...。

スコップで落ち葉をかき分けていると、ポロッと1頭のグレーなムシが足下に転がり落ちた。

何だろう?

おおおお、ゾウムシだ。

ヤサイゾウムシという種類らしい。

図鑑によれば、ブラジル原産とある。

移入種?

[ Listroderes costirostris SCHOENHERR ]

地球の裏側を原産とするムシが、こんな場所にいるなんて...。


ツヤモリヒラタゴミムシ
[ Colpodes xestus BATES ]


ヤサイゾウムシ
[ Listroderes costirostris
SCHOENHERR ]

さあ、どんどん上へ行こう。

しばらく登っていると、くぼ地のような場所があり、そこに枯枝、落ち葉、石などが吹き溜まりのように溜まっている。

けっこう良さそうな雰囲気だ。

よ〜〜し、掘るぞ〜〜。

と息巻いて、ある一角をテンポ良く掘っていると、キラッと光る小さなムシが出てきた。

う〜〜む、ゴミムシかな?

確認すべく、拾い上げてみると...。

あれ〜〜?


「ムシ違い」だったら申し訳けございませんが....、

もしかして......、

コルリクワガタさんですか?

「うん」と頷くコルリ君...。

[ Platycerus acuticollis acuticollis Y.KUROSAWA, 1969 ]

この後角が角張った前胸背板はそうだ、これはコルリクワガタじゃないか。

うっしゃ〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜!

や〜〜〜〜〜っと採れたぞ!!!

今まで散々通って、散々探して採れなかったコルリクワガタ(原名亜種)だ。

ああああああ、ようやく成虫採集が叶った...。

このポイントのコルリはめちゃくちゃ薄いため、本当にうれしい。

おそらく、コルリの入った材(枝?)を気づかぬうちに崩してしまっていたと考えられる。

はぁ〜〜、一人で大興奮してしまった...。

う〜〜〜〜ん、土も掘ってみるもんだ。


コルリクワガタ
[ Platycerus acuticollis acuticollis Y.KUROSAWA, 1969 ]

ということで、気分を切り替え、ゴミムシ探索を再開する。

くぼ地の反対側に積もった瓦礫を一つ一つ丁寧にどかしていくと、褐色の強いゴミムシが石の上にちょこんと横たわっていた。

一瞬、メクラチビゴミ系かとも思ったが、目はちゃんとあった。

絵合わせ同定で申し訳ないが、多分、キンモリヒラタゴミムシだと思う。


こいつも。

[ Colpodes sylphis BATES ]

そして、もう一種、極小なゴミムシを運良く発見できた。

図鑑の個体とは紋の大きさがやや異なるが、キモンナガミズギワゴミムシという種類に一番近い印象である。


キンモリヒラタゴミムシ
[ Colpodes sylphis BATES ]

キモンナガミズギワゴミムシ
[ Bembidion scopulium KIRBY ]

さて、とうとう一番上までたどり着いてしまった...。

ここまでの探索において、結局、ニッコウオオズの姿を拝むことはできず。

まあ、運が無かったと諦めよう...。

一応、他に目ぼしいものとしては、真っ白なハネカクシに似た昆虫「ガロアムシ の仲間 ※」と、未同定のハネカクシを得ているため下に載せておく。

※ 後日、ガロアムシと判明(2002.11.23)

ガロアムシは最初、ハネカクシのテネラル(羽化直後の個体)かとも思ったが、それにしては動きが速いし、図鑑でも見たことがなかったので、帰宅して調べるまでず〜〜〜っと「ハネカクシの新種」を採ったのと勘違いしてしまった...。

ハネのない原始的な昆虫(甲虫ではない)で、成熟した森林に生息する種類のようである。

ひとつ勉強になった。


ガロアムシ
[ Galloisiana nipponensis
CAUDELL et KING ]

ツヤムネハネカクシの仲間
[ Quedius sp. ]


というわけで、沢を下り、ポイントを替えてみることにした。


● すべり台?

一番下まで降りてきたところで、沢入り口付近の側溝を見てみようと思ったが、何ということか、この辺の側溝は落ち葉が溢れんばかりに堆積しており、すでに側溝としての役割を果たしていない状態であった...。

ブッシュも覆い茂っているため、遠目からはそこに側溝があることすら分からない状況だ。

まあ、とは言っても無視することはできないので、一応、落ち葉をかき分けてみる。

が、どこも水浸しであり、駄目なようだ...。

お約束のサンショウウオ。

ということで、今回はこれ以上の側溝探索はやめておく。

車に戻る方向へ林道を歩いていると、谷川の斜面にトタン板のようなもので作られた排水溝を発見した。

うひょ〜〜。

どこまで続いているんだろう。

落ち葉の堆積状況も良さそうである。

早速、すべり台のような排水溝へ降り、探索を開始した。

すると、ちょっとかき分けただけで、ハサミムシ、ミミズ、ムカデ、いつものゴミムシなど、ポロポロといろんな生物が転がり出てくる。

ちょうど、水が溝の底に溜まり、その上の落ち葉の湿度がうまく保たれているようだ。

こんな感じ。

ホソモリヒラタゴミムシかも。

コブ叩きでも有名な「いつものやつ」だ。

[ Colpodes speculator HAROLD ]

ただ、ゴミムシ的には種類のバリエーションに乏しく、1種のみ目ぼしい種類を採集できたに留まった。


クロツヤヒラタゴミムシ
[ Synuchus cycloderus BATES ]

それにしても、お尻から出ているのは何?

どう見ても交尾器ではないだろうから、寄生虫なのかな。

ちょっと気色悪い...。

ということで、タイムアップ。

また来週...。


● エピローグ

う〜〜ん、やはりニッコウオオズは無理だった...。

まあ、人気種なので、そう簡単には採れないのかもしれない。

今回は貴重な「茨城産コルリ」が採れたから十分かつ満足である。

最後に、ニッコウオオズに関するアドバイスをありがとうございました。


★★ 採集成績 ★★

ツヤモリヒラタゴミムシ 3 exs.
[ Colpodes xestus BATES ]

キンモリヒラタゴミムシ 2 exs.
[ Colpodes sylphis BATES ]

キモンナガミズギワゴミムシ 1 ex.
[ Bembidion scopulium KIRBY ]

クロツヤヒラタゴミムシ 1 ex.
[ Synuchus cycloderus BATES ]

コルリクワガタ 1 ♂
[ Platycerus acuticollis acuticollis Y.KUROSAWA, 1969 ]

ホソモリヒラタゴミムシ 1 ex.
[ Colpodes speculator HAROLD ]

ヤサイゾウムシ 1 ex.
[ Listroderes costirostris SCHOENHERR ]

ツヤムネハネカクシの仲間 1 ex.
[ Quedius sp. ]

他、数種、数頭

ガロアムシ 2 exs.
[ Galloisiana nipponensis CAUDELL et KING ]


記載日:2002.11.14
追記日:2002.11.23(ガロアムシの種類が判明)
採集記(総目次)2002年度 採集記(目次)茨城県 甲虫編 -5- へ続く....