2002年度 採集記(茨城県 カミキリ編 -13-)

再探索

さあ、本日はいつもの「茨城定期便」だ。

今週もまた「あの林道」を攻めてみたい。

前回の採集記でも書いたが、この林道のカミキリ相は面白く、まだまだ南方系のカミキリムシが採れる可能性があるだろう。マメにチェックしていけば今までに記録のない種類だって採れるかもしれない。

とにかく調べ甲斐のある林道と言える。

それでは、まだ見ぬカミキリムシとの出会いを夢見ながら出発するとしよう。



2002.06.04 (Tue)

茨城県 某所

   天気:晴れ時々曇り
   気温:25.7 度
   湿度:56.9 %
   風力:1(微風)
茨城産カミキリ、リトライ@南方系カミキリ 編

● いつものルート

一昨日の「惨敗@群馬」がトラウマとなり、ちょっとテンションが低下気味だが、とりあえず出発しよう。

何も考えずに、いつものルートを辿(たど)る。

まずは「いつものソダ場」にて、お約束のルッキングをしておこう。

うひひひ、ホタルカミキリは相変わらず大発生中だ...。

シラケトラカミキリ、エグリトラカミキリも、先週と同様に材の上を忙しく歩き回っている。

また、背景にある竹林では無数のベニカミキリが乱舞している。

う〜〜ん、これはこれで「パラダイス」の状態と言えるだろう。

一応、記念写真。

竹材に産卵中のベニカミキリ。

なんとか良い写真が撮れた。

[ Purpuricenus temminckii (GUERIN-MENEVILLE, 1844) ]

その他、目ぼしいカミキリムシはいないようだ。

先週までヨモギに多数見られたキクスイカミキリも、本日はすっかり姿を消してしまっている。そろそろ彼らのシーズンは終わりなのかもしれない。

さあ、林道を目指そう。


● 初心に戻って

しばらくのドライブの後、林道へ到着した。

前回、コゴメウツギのスイーピングにて、ベーツヤサカミキリを採集し得た林道だ。

本日も運良く採集することができるだろうか?

まあ、あまりそれに拘らず、初めて訪れる気持ちでルッキングしていったほうが良いかもしれない。

ということで、入り口から丁寧に植物を観察していくことにする。

ミズキの花はまだ健在だ。

面白いハナカミキリでも飛来していないだろうか?


ん!

なんだ、ベニカミキリか...。

今日はよく出会うなぁ。

[ Purpuricenus temminckii (GUERIN-MENEVILLE, 1844) ]

ぱっと見はこいつのみなため、少々上の方やら奥の方を掬ってみたが、トゲヒゲトラカミキリがペアで入っただけ...。

ふ〜〜む、次を探すか。

わ〜〜お、斜面にたくさんのソダが放置されている。

これだけ材があれば、何かしらはいるだろう。

やや足場の悪い斜面だが、負けずによじ登る。

ふ〜〜む、黒っぽいトラカミキリの仲間が何頭かいるようだ。

手前にいた個体を採ってみると、シラケトラカミキリだった。

それにしても、ここのソダにはゴマフカミキリやサビカミキリ系といった「ソダな常連」が不思議なことにいない。

あまり日当たりもよくないので、移動したほうが良さそうだ。

で、先週ベーツヤサカミキリを採集したコゴメウツギへ行ってみたのだが、残念なことに花期がすでに終わってしまっていた...。

駄目元で掬ったり、叩いたりしてみたが、やはり時すでに遅し。

これはもう諦めるしかない...。


● 未知の道へ

またしばらく走っていると、ある建物の裏に細い道があるのを発見した。どうも奥まで続いているようだ。

当然、今までに入ったことがないので、今日は探索しておこう。

ネットとデジカメと毒ビンを携え、その細い林道へ突入した。

一人だと少々心細い...。

入り口付近にはミズキが咲いていたが、ここではトゲヒゲトラカミキリのみ。

急な坂を上がっていく。

ふ〜〜ん、林内にはラベンダーのような香りのする可憐な花がたくさん咲いていた。

しかしながら、ムシは訪花していないようだ。

私なら飛びつきそうな花なのだが...。


道沿いの木は適度に伐採されており、なかなか手入れがなされている。


これもいい雰囲気。

カエデの材だと思う。

ふと、材の陰に動く物体を発見。

おおお、トガリバアカネトラカミキリのペアだ。

実は何気にたくさん着いており、ここでは合計5頭ゲット。

[ Anaglyptus niponensis BATES, 1884 ]

さらに上へと登り、尾根沿いへ出る。

基本的には、この辺にありがちなコナラを中心とする2次林だ。


ピークからの景色。

ちょっと雲が出てきたかな...。

まあ、気温が高いから大丈夫だろう。


足下の切り株に、ヒメクロトラカミキリ。

こいつらが産卵しに来ているところを見るのは、これが初めてだ。

ちなみに、花を掬うとたくさん入るやつらである。

[ Rhaphuma diminuta diminuta (BATES, 1873) ]

上から垂れ下がるフジの枯れ蔓には、交尾中のナカジロサビカミキリ。

接線方向から撮影してみた。


これは「木漏れ日」を利用しての撮影。

雰囲気を出してみたかったのだが、ちょっといまいちかな...。

[ Pterolophia jugosa jugosa (BATES, 1873) ]

一端、坂を下り、さらに坂を上がって再び尾根沿いに出てみると、なんとなく目を引く立ち枯れがあった。

下から上まで舐めるように表面を観察していると....。

ん!、触角の先が白いムシがいるぞ。

ぱっと見は「ガ」に見えるのだが...。

ああああああああ!!

っしゃ〜〜!

ムネマダラトラカミキリだ。

これ採りたかったんだよぉ〜。


この水玉模様が何とも言えずオシャレだ。

ああああ、うれしい。

[ Xylotrechus grayii grayii (WHITE, 1855) ]

ああああ、またいた。

よ〜〜し、今度は「生態写真」に挑戦しよう。

と、カメラを構えた途端に、ひゅ〜〜〜っとどこかへ飛んでいってしまった。

結構すばしっこく、警戒心の強いカミキリムシのようだ。

う〜〜ん、残念...、と思っていたのもつかの間...。

おおおお、また飛んできた。それも2頭も。

今度こそ撮ってやる。

よ〜〜し、そのまま動くなよ。

ああああ、また飛んでいっちゃった...。

ありゃりゃ、まあいいや、また来るだろう。

むむむ、・・・・・、来ないなぁ。

結局、30〜40分待ってみたが、その後まったく飛来しなくなってしまった。

ムシとの出会いは、まさに「一期一会」。

次はない、という心構えで接しなければならないということか。

ちなみに、これがその立ち枯れ。


隣に生えていた同樹の葉はこんな感じ。

現在、図鑑にて鑑定中である。

判明次第報告させていただく。

※ 後日、リョウブと判明(2002.06.06)

ムネマダラトラカミキリは、茨城県での記録はあるものの、数があまり得られていないカミキリムシなので、超ラッキーだったと思う。

可能なら来週以降もこのポイントへ通って、もう少し採集しておきたいところだ。

さて、ムネマダラトラカミキリの飛来を待っていたこともあり、かなり時間をロスしてしまった。ここからは帰る方向で見ていこう。

林道沿いのウツギなどを見ていく。

しかしながら、ウツギというのは一見ムシがたくさん飛来しそうな花なのだが、実際は「集虫力」に欠ける...。

甲虫はハナムグリぐらいしか見つけられなかった。

ふ〜〜む、今日は終わりにしようかな...、と出口付近まで戻ってきてしまったが、最後の最後でベストな状態のミズキが目に入った。往路では気づかなかったものである。

これを掬って帰ろう。

ネットを伸ばしてガサゴソやってみると...。

んんん?

ハナカミキリの仲間だが...。

なんだっけ?

ああああ、思い出した。

これはカタキハナカミキリだ。

肩部にちょっとだけ黄色い紋があるのが分かる。ちなみに、山梨県では両側縁まで黄色い紋が流れるタイプが生息していることは以前の採集記でも紹介した。

[ Pedostrangalia femoralis (MOTSCHULSKY, 1860) ]

まさか、茨城県で採集できるとは思わなかったので、これまた嬉しい出来事がひとつ増えた。

あとは、ツヤケシハナカミキリが入ったのみ。

というわけで、本日はこれにて終了。


● エピローグ

未採集種2種のゲットで、群馬の惨敗から立ち直ることができそうだ。

ベーツヤサカミキリの追加が得られなかったのは残念だが、まあ、珍品は珍品ということで、あまり採れない方がいいのかもしれない。

さあ、また頑張ろう。


★★ 採集成績 ★★

トガリバアカネトラカミキリ  5 exs.
[ Anaglyptus niponensis BATES, 1884 ]

ナカジロサビカミキリ  4 exs.
[ Pterolophia jugosa jugosa (BATES, 1873) ]

ホタルカミキリ  2 exs.
[ Dere thoracica WHITE, 1855 ]

エグリトラカミキリ  1 ex.
[ Chlorophorus japonicus (CHEVROLAT, 1863) ]

カタキハナカミキリ  1 ex.
[ Pedostrangalia femoralis (MOTSCHULSKY, 1860) ]

ツヤケシハナカミキリ  1 ex.
[ Anastrangalia scotodes scotodes (BATES, 1873) ]

ヒメクロトラカミキリ  1 ex.
[ Rhaphuma diminuta diminuta (BATES, 1873) ]

ベニカミキリ  1 ex.
[ Purpuricenus temminckii (GUERIN-MENEVILLE, 1844) ]

ムネマダラトラカミキリ  1 ex.
[ Xylotrechus grayii grayii (WHITE, 1855) ]

総計:9 種(含初採集 2 種) 17 頭


記載日:2002.06.04
追記日:2002.06.06(樹種判明)
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