2002年度 採集記(茨城県 カミキリ編 -14-)

そろそろ

そろそろ「梅雨入り」かと思っていたが、本日がまさにその「梅雨入り」らしい。

にもかかわらず、のっけからやる気のない梅雨のようで、日中は30度を越える「真夏日」になるという。

ちょっと拍子抜けしてしまうが、晴れるのであれば出撃しない手はないだろう。梅雨ともなれば、数少ないチャンスである。

ということで、今回もいつもの林道を攻めてみたい。



2002.06.11 (Tue)

茨城県 某所ほか

   天気:晴れ時々曇り
   気温:27.9 度
   湿度:61.2 %
   風力:1(微風)
茨城産カミキリ、梅雨の前に 編

● 蒸し暑い...

うっへ〜〜〜、本当に蒸し暑い...。

「いよいよ夏が来たか」ということを実感するには申し分のない日だ。

車の窓を全開にして、林道への道をひた走る。

まずは、いつもの「ソダ場」。

新たなムシの発生など、何か変化はあるだろうか?


ホタルカミキリは相変わらず大量にみられる...。

今や標本は必要ないのでゲットせず。

[ Dere thoracica WHITE, 1855 ]

と、目の前に細長いメタリックな甲虫が飛来した。

ん?、タマムシ??

う〜〜ん、外道だった...。

ニホンホホビロコメツキモドキというムシだ。

メダケをホストとするらしい。

[ Doubledaya bucculenta LEWIS ]

ざ〜〜っと見た印象では、エグリトラカミキリ、シラケトラカミキリ、ベニカミキリ、ゴマフカミキリなど、ここ2週間とほぼ変わらないため、早々に立ち去ったほうが良さそうだ。


● 念のため

さて、本日は前々回にスカを喰らった材置き場も見ておくことにした。

あの「ミズキ」の下に新鮮な材がゴロゴロと転がっていた「炭焼き小屋」である。

前に来たときはゴマフカミキリ1頭しかいなかったが、2週間経った今回はどうだろうか?


おおおおっ!

キスジトラカミキリのペアだ。

「死ぬほど普通種」なのだが、サイズのでかいカラフルなトラカミキリであり、個人的にはけっこう好きな種類である。

[ Cyrtoclytus caproides caproides (BATES, 1873) ]

ちなみに、目下大発生中...。

っしゃ、もう1種発見した。

キイロトラカミキリ。

これまた、痛快に大発生中。

こいつらも大型のトラカミキリなため、まとまった数がいると至極壮観である。

[ Demonax notabillis notabillis (PASCOE, 1862) ]

す〜〜っと、私の肩越しに小さな甲虫が飛来した。

こいつは、シラホシカミキリ。

よしよし、さすがはシーズン本番。

カミキリムシのほうからやって来る。

[ Glenea relicta relicta PASCOE, 1868 ]

さらには、産卵中のウスイロトラカミキリ。

[ Xylotrechus cuneipennis (KRAATZ, 1879) ]

で、お約束のエグリトラカミキリ。

なかなかのショット。

[ Chlorophorus japonicus (CHEVROLAT, 1863) ]

だいたい以上のような客層であった。

要するに、前々回は少々フライングしていたということだ。やはり、これだけ新鮮な材があれば、カミキリムシが飛来しないはずがない。

来週も晴れたら寄ってみよう。


● 刑事(デカ)のように

ほぼいつもと同じ時間に、林道へ到着した。

今シーズンに入ってから、何回目になるだろうか?

すでに勘定できなくなってしまった。

まるで、現場へ足しげく通う「刑事」のようである。もちろん、今回もデカのごとく、気になるところは隅々まで探索するつもりだ。

まずは手始めに、先週ムネマダラトラカミキリを採集した「リョウブ」の立ち枯れを見に行こうと思う。できるならば、追加個体をもう少しだけ採っておきたい。

だ〜〜っと坂を登り、そして下る。

よ〜〜し、見えてきた。

下から煽るように撮影。

この枝道には他にもリョウブの立ち枯れや伐採木があるのだが、ムネマダラトラカミキリが飛来していたのはこの木のみだ。

どこがそんなに良いのだろうか?

カミキリムシの気持ちは分からない...。

それはそうと、今日は来ているだろうか?

ものすごい期待感とともに、じ〜〜っと表面を見ていくが、いないようである。

う〜〜ん、時間帯が悪いのかなぁ...、それとも先週までで活動期が終わってしまったのだろうか?

ふと、何気なく「御神木」を見上げると...。

ああああああ、いた〜〜〜〜!

それも交尾中のペアだ。

さすがにあのハイポジションでは生態写真は撮れない。仕方ないので、下に網を添えて落っことすことにした。

「ガン!、ガン!」と手で幹を揺らすと、ポト・ポトっとネットの底まで2頭は静かに落下した。

やった〜〜!

ぱっと見は雌雄の区別がつかないが、ホモかレズでもないかぎりオス&メスだろう。

生態写真は撮れなかったものの、採ること自体はけっこう楽勝だった。

[ Xylotrechus grayii grayii (WHITE, 1855) ]

これで本日の目標のひとつは達成できた。

さあ、時間がもったいないので、先を急ごう。

やや速足で来た道を引き返す。

おおおっ!

何だこれは?

わ〜〜お、ハイイロヤハズカミキリじゃないか。

細い枝にしがみついている。

昨晩も灯火で採集しており、この2日間は何かと縁がある。

[ Niphona furcata (BATES, 1873) ]

予期せぬ出会いに満足しつつ、林道のさらなる奥へと車を走らせた。

むむむ、何やら「白い花」が満開だぞ。先週は咲いていなかったから、この1週間で開花したんだな。

何という花だろう?


ふ〜〜む、どうやら「オオバアサガラ」というらしい。

植物図鑑を持ってきておいて良かった。

ただ、若干日当たりが悪いせいか、あまりムシの飛影は見られない。

まあ、初めて見る花だし、とりあえず掬ってみる価値はありそうだ。

早速、駄目元でスイープしてみる。

ネット内のムシの数は少なめだが、一応、入っていた。

ニンフハナカミキリ。

触角先端部の白色部分が特徴的で、飛んでいるときはその「白」がすごく目立つ。

[ Strangaliella nymphula (BATES, 1884) ]

また、「ニンフ(nymph)」とは妖精のことであり、確かに飛んでいる姿はフワフワしていて名前の通り妖精を思わせる。まあ、妖精など見たことないけどね...。

その後も何回か掬ってみたが、カミキリムシの追加はなし。

ひたすらジョウカイボン、コメツキムシ、ハムシ、カメムシだった...。

意外と「集虫力」がないようだ。

というわけで、大きな分岐点まで来てしまった。今回はいつもとは違う方向へハンドルを切る。ここから先は未体験ゾーンだ。

で、行けるところまで行ってみたのだが、ソダや伐採木に乏しく、花はウツギぐらいしかない...。

けっこう期待外れ。

仕方なくウツギを見てみるが、カミキリムシは1頭もいないようだ。

で、今後はノリウツギなどと紛らわしいので、便宜上「タダウツギ」と書くことにする。

次に、近くにあった蔓性植物の交錯する場所をビーティングしてみた。

おやっ?

シナノクロフカミキリが2頭落ちてきた。

でも、こいつらのみ...。

[ Asaperda agapanthina agapanthina BATES, 1873 ]

いまいちだなぁ...、と諦めかけた矢先、前方から私へ向かって一直線に「赤い」何かが飛んでくるのが見えた。

何だぁ?

射程圏内へ入ったので、思わず手で「ペシっ」と地面に軽く叩きつけると、ジャストミートでムシが地面に転がった。

なんだ、ベニカミキリか...。

うむむ、いいや違う、ヘリグロベニカミキリだ。

ラッキー!

[ Purpuricenus spectabilis MOTSCHULSKY, 1866 ]

ご存じかと思うが、ベニカミキリとは1対の黒紋(矢印)があるかないかで簡易的に見分けることができる。

紋のあるほうが、ヘリグロベニカミキリだ。

ちなみに、茨城初物@私。

うおおおっ!

再び「何か」がゆっくりと飛んでくる。飛び方からは明らかに甲虫だ。

でも、なんかジョウカイボンみたいだなぁ...。

まあいいか、とりあえずネットで採ってみよう。

ずわ〜〜っと、ボルネオの吹上げ採集で鍛えたネットさばきで一撃必殺。

う〜〜ん、やっぱりジョウカイボンか...。

いいや、これまた違うぞ。

ハネビロハナカミキリであった。

それにしても、ジョウカイボンそっくりだ。

[ Leptura latipennis (MATSUSHITA, 1933) ]

そういえば、確か「擬態」の関係にあったような気もする。

第一印象の悪い林道だったが、なんだかんだで、そこそこカミキリムシが採集できた。それは素直に嬉しいのだが、材や花ではなく飛翔中個体のゲットというところが私らしくない。

ふ〜〜む、もう少し粘ってみたいところだが、そろそろタイムアップの時間だ。

ということで、後ろ髪を引かれつつ、林道を後にしたのであった。


● エピローグ

「来週も頑張ろう」と言いたいところだが、梅雨が明けるまでは成果が上がらないかもしれない。

まあ、最低限、採集日が晴れてくれることを祈るしかないだろう。


★★ 採集成績 ★★

キイロトラカミキリ  4 exs.
[ Demonax notabillis notabillis (PASCOE, 1862) ]

ウスイロカミキリ  2 exs.
[ Xylotrechus cuneipennis (KRAATZ, 1879) ]

キスジトラカミキリ  2 exs.
[ Cyrtoclytus caproides caproides (BATES, 1873) ]

シナノクロフカミキリ  2 exs.
[ Asaperda agapanthina agapanthina BATES, 1873 ]

ニンフハナカミキリ  2 exs.
[ Strangaliella nymphula (BATES, 1884) ]

ヒメナガサビカミキリ  2 exs.
[ Pterolophia leiopodina (BATES, 1873) ]

ムネマダラトラカミキリ  2 exs.
[ Xylotrechus grayii grayii (WHITE, 1855) ]

アトジロサビカミキリ  1 ex.
[ Pterolophia zonata (BATES, 1873) ]

シラケトラカミキリ  1 ex.
[ Clytus melaenus BATES, 1884 ]

シラホシカミキリ  1 ex.
[ Glenea relicta relicta PASCOE, 1868 ]

ハイイロヤハズカミキリ  1 ex.
[ Niphona furcata (BATES, 1873) ]

ハネビロハナカミキリ  1 ex.
[ Leptura latipennis (MATSUSHITA, 1933) ]

ヘリグロベニカミキリ  1 ex.
[ Purpuricenus spectabilis MOTSCHULSKY, 1866 ]

総計:13 種 22 頭


記載日:2002.06.11
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