2002年度 採集記(茨城県 カミキリ編 -15-)

クリの花

転勤先へ引っ越し荷物を運ぶ途中、道沿いを埋める満開な「クリの花」に我慢しきれなくなり、ちょっとだけ寄り道することにした。

茨城県にてクリの花を掬うのは、およそ1年ぶりとなる。

昨年とは違ったカミキリムシが採れるといいのだが...。



2002.06.24 (Mon)

茨城県 某所

   天気:曇り時々晴れ
   気温:21.3 度
   湿度:56.7 %
   風力:1(微風)
茨城産カミキリ、ミニ採集@クリの花 編

● まっ黄色

引っ越し荷物を愛車に満載し、常磐自動車道をひたすら北上していると、道の両脇に溢れんばかりの「まっ黄色」な花をぶら下げた「クリ」が、まさに「並木」のように続いていた。

そうか、茨城県北もそろそろクリの開花シーズンか...。

と、そのまま通り過ぎようかとも思ったが、そのクリ並木が終わる気配がない。

う〜〜ん、じゃあ、ちょっとだけ寄っていくか。

ということで、寄り道することが決定した。


● 1.5時間

「寄り道採集」とは言っても、あまり時間がないため、本日の採集時間は1時間半と決めて、いつもの林道へ向かった。

その間にも「クリの花並木」は続くが、それらを延々と無視する。

滞りなく、昼前にはポイントへ到着。

林道入口すぐに、立派なクリの木がたわわに花を咲かせていたので、ここで初めて車を停める。

すでに多数のムシが飛来しているようだ。

まずは掬わずに、各花をルッキングしてみる。

尻@キイロトラカミキリ。

[ Demonax notabillis notabillis (PASCOE, 1862) ]

いつものやつ@エグリトラカミキリ。

[ Chlorophorus japonicus (CHEVROLAT, 1863) ]

いつものやつ@トゲヒゲトラカミキリ。

[ Demonax transillis BATES, 1884 ]

ん!、なんか見慣れないやつがいるなぁ...。

少なくとも、カミキリムシではないようだ。

君はだれ?


おおおお、ヒゲコメツキであった。

灯火にはよく飛来するが、昼間はこんな場所にいるのか...。

[ Pectcera fortunei CANDEZE ]

この辺で花を掬ってみるとしよう。

さあ、何が入るだろうか?

むむむ、いつものやつ@盛夏〜晩夏。

ヨツスジハナカミキリ...。

もう羽脱してきやがったな。

[ Leptura ochraceofasciata (MOTSCHULSKY, 1861) ]

気を取り直して、もうひと掬い。

シラケトラ?

っと違った...、これはホソトカラミキリだ。

茨城初@私。

[ Rhaphuma xenisca (BATES, 1884) ]

ミヤマクロハナカミキリ。

これも茨城初@私。

[ Anoploderomorpha excavata (BATES,1884) ]

さらに、もうひと掬いしてみる。

ネットリングの縁に美麗な外道。

アカスジキンカメムシ。

[ Poecilocoris lewisi DISTANT ]

ここで、網の中をのぞき込むと...。

ありゃ...。

ベーツヤサカミキリじゃないか。

記録ではクリの花でも採れると書いてあったが、本当に採れるとは...。

でもラッキー。

[ Leptoxenus ibidiiformis BATES, 1877 ]

本種は関東地方においては茨城県のみしか記録がないカミキリムシのようで、それなりの個体数が得られている関東以西においても生息地は局所的であるという。

そんなレアなカミキリムシが、私のような素人の網にこうも度々落ちるとは、なんとも不思議な林道と言うほかはない。おかげで、ちっとも珍しいというイメージがなくなってしまった...。

で、駄目押しのヤツボシハナカミキリ。

ここのクリは、だいたいこんな感じであった。

[ Leptura arcuata mimica BATES, 1884 ]

というわけで、少々移動する。

しばらく車で流した後、またまたクリの花を発見。

今度はここで勝負してみる。

「さくさくさく」とスイープ。

どっへ〜〜。

なんという数のコガネムシ...。

ある意味、一網打尽かもしれない。

そんなコガネムシに混じって、「針金細工」のようなムシが入っていた。

やった〜〜。

アメイロカミキリだ。

確かに「べっ甲飴」のような色合いである。


もう一丁。

さらに、その後のスイープでもう1頭ゲット。

う〜〜ん、うれしい。

[ Stenodryas clavigera clavigera BATES, 1873 ]

このカミキリムシは数年前に、茨城の灯火採集で偶然採って以来の出会いとなる。

まあ、一応、教科書通りのゲットで一安心。

その他の獲物は、チャボハナカミキリとニンフハナカミキリが目新しいぐらいで、大半は最初のクリの花とほぼ同じであった。

それらを適当に摘みつつ移動する。

すると、谷側の斜面に「ヌルデ」の小群生があったため、ヨツキボシカミキリの有無をチェックすることにした。

外観はこのような感じ。

中腰になりながら、葉の裏を観察していく。

むむむ、狙い通り。


さらに近づいて撮ってみたが、光量不足のためいまいち...。

[ Epiglenea comes comes BATES, 1884 ]

ルッキングしているだけでも、葉から葉へ飛び回るヨツキボシカミキリの姿が見える。

それらを随時ネットで採りつつ、ヌルデの周囲を歩いていると、今度は葉の上に「キラっ」と輝く小さなムシを見つけた。

一体何だろう?

網を伸ばしてそいつを落としてみた。

ふ〜〜む、タマムシだ。

斑紋からは「クロホシタマムシの仲間」のようだが、ヌルデに飛んでくる種類なんてあったっけ?

しっかし、綺麗なムシだ。

[ Ovalisia vivata LEWIS, 1893 ]

で、別のヌルデから、さらにもう1頭採れてしまった。

帰宅後、いろいろ調べてみたが、外見上は「マスダクロホシタマムシ」にそっくりだ。

ただ、マスダクロホシのホストは「スギ、ヒノキ、ネズ」とされており、とりわけヒノキの害虫として知られている。少なくとも広葉樹である「ヌルデ」には来ないと思うのだが...。

まあ、今回は1頭ずつ別のヌルデから採れてしまったわけで、一応の「再現性」はある。たまたま1頭だけが、ホストではない樹種で羽を休めていたとも言い切れない。

いずれにしても、タマムシは今のところ門外漢なので真相は不明だ。周辺の植生なども再確認する必要があるだろう。詳細が判かり次第、報告させていただく。

※ 後日、マスダクロホシタマムシと判明。ウルシ科、クルミ科など広葉樹の葉を後食する知見が得られているとのこと。(2002.06.26)

さあ、そろそろタイムアップ。

この近所をざっとだけ見て、帰るとしよう。

センノキの衰弱木に、トガリシロオビサビカミキリ。

けっこうな大型個体。

[ Pterolophia caudata (BATES, 1873) ]

樹種不明の枯枝上に、めちゃくちゃ小さなカミキリムシを発見。

ニイジマチビカミキリ@茨城初@私。

動きが速く、生態写真はNGであった...。

[ Egesina bifasciana bifasciana MATSUSHITA, 1933 ]

車に網を立て掛けておいたらキイロトラカミキリが飛来...。

ネットを何だと思って飛んできたのやら...。

[ Demonax notabillis notabillis (PASCOE, 1862) ]

ということで、あっという間の1時間半が終了。

引っ越し作業へ戻ることとした。


● エピローグ

結果からみると、かなり効率の良い採集行であった。

「クリの花」、そして「いつもの林道」恐るべし。

う〜〜ん、次回はいつ採集へ来れるのだろうか...?


★★ 採集成績 ★★

アメイロカミキリ  3 exs.
[ Stenodryas clavigera clavigera BATES, 1873 ]

キイロトラカミキリ  3 exs.
[ Demonax notabillis notabillis (PASCOE, 1862) ]

チャボハナカミキリ  3 exs.
[ Pseudallosterna misella (BATES, 1884) ]

ツヤケシハナカミキリ  3 exs.
[ Anastrangalia scotodes scotodes (BATES, 1873) ]

ヨツキボシカミキリ  3 exs.
[ Epiglenea comes comes BATES, 1884 ]

エグリトラカミキリ  2 exs.
[ Chlorophorus japonicus (CHEVROLAT, 1863) ]

トゲヒゲトラカミキリ  2 exs.
[ Demonax transillis BATES, 1884 ]

ベニカミキリ  2 exs.
[ Purpuricenus temminckii (GUERIN-MENEVILLE, 1844) ]

シロオビゴマフカミキリ  1 ex.
[ Falsomesosella gracilior (BATES, 1884) ]

トガリシロオビサビカミキリ  1 ex.
[ Pterolophia caudata (BATES, 1873) ]

ニイジマチビカミキリ  1 ex.
[ Egesina bifasciana bifasciana MATSUSHITA, 1933 ]

ニンフハナカミキリ  1 ex.
[ Strangaliella nymphula (BATES, 1884) ]

ヒメヒゲナガカミキリ  1 ex.
[ Monochamus subfasciatus subfasciatus (BATES, 1873) ]

ベーツヤサカミキリ  1 ex.
[ Leptoxenus ibidiiformis BATES, 1877 ]

ホソトラカミキリ  1 ex.
[ Rhaphuma xenisca (BATES, 1884) ]

ミヤマクロハナカミキリ  1 ex.
[ Anoploderomorpha excavata (BATES,1884) ]

ヤツボシハナカミキリ  1 ex.
[ Leptura arcuata mimica BATES, 1884 ]

ヨツスジハナカミキリ  1 ex.
[ Leptura ochraceofasciata (MOTSCHULSKY, 1861) ]

総計:18 種(含初採集 2 種) 31 頭

マスダクロホシタマムシ 2 exs.
[ Ovalisia vivata LEWIS, 1893 ]


記載日:2002.06.24
追記日:2002.06.26(タマムシの種類が判明)
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