2002年度 採集記(茨城県 カミキリ編 -16-)

地元採集

さあ、転勤後初の採集日がやってきた。

以前、日記にてアナウンスした通り、今後は当面「水曜日」を採集に当てることとなる。

今回からは、本当のホームグラウンドにおける「地元採集」だ。これまで以上に、濃い採集記をお届けしたいと思う。

今にも雨が落ちてきそうな空模様だが、とりあえず出発しよう。



2002.07.03 (Wed)

茨城県 某所

   天気:曇り一時雨
   気温:23.1 度
   湿度:71.1 %
   風力:1(微風)
茨城産カミキリ、天牛たちは霧の中 編

● ソダ

まずは、いつものルートをたどり、例の「ソダ場」を見に行くこととする。

曇天ではあるものの、気温は22度を超えており、まことに「蒸し暑い」。

ジャブ程度に各枝をルッキングしていく。

うわ〜〜〜〜!!

なんと、「カミキリだらけ」じゃないか...。

キイロトラカミキリが大発生X大発生。


至る所で、黄色いカミキリムシが行ったり来たりしている。

うっへ〜〜〜。

[ Demonax notabillis notabillis (PASCOE, 1862) ]

そして、こいつらに至っては、もう収拾がつかないほどだ...。

いつものホタルカミキリ。

写真にはうまく撮れなかったが、伐採木の上が「大渋滞」となっていた...。

[ Dere thoracica WHITE, 1855 ]

あと目立つのは、エグリトラカミキリ、キスジトラカミキリ、ヒメヒゲナガカミキリ、アトモンサビカミキリといったところだ。それぞれ、大変な数が群がっている。

「未採集種はいないかなぁ?」と、さらに奥の方まで入っていく。

おおおっ!!

いたぜ〜〜。

これはヤハズカミキリ。


長い触角をフリフリしながら、のんびりと材の上を歩いている。

普通種だが、未採集種。

[ Uraecha bimaculata bimaculata THOMSON, 1864 ]

本日は大方こんなところであった。

というわけで、車へ戻り林道を目指す。


● 雨、霧...

走り始めて10分もしないうちに、ポツポツと大粒の雨が落ちてきた。

「むむむ、一雨降るかな?」と思ったのもつかの間、あっという間にバケツをひっくり返したような「大雨」にまでエスカレート。ワイパーを最速にしても前が見えない...。

うわ〜〜、こりゃ駄目だ。

はっきり言って、カミキリムシの採集など不可能である。

う〜〜ん、でもせっかくここまで来たから、「花」の様子だけ確認してすぐに帰ろう。

そう方針を切り替えて、今回は下見に徹することとした。

が、さらに大きな壁にぶち当たる。

林道はガスっており、車道沿いの植物を観察することさえままならない状況であった。

う〜〜む、万事休すか...。

でも、ムネマダラトラのポイント近くまでは行ってみよう。

ということで、しばし「霧の中」を虚しくドライブする。


● マスダクロホシ@ヌルデ

前回、マスダクロホシタマムシを採集したヌルデの群生地帯に差し掛かったあたりで、若干、霧が晴れてきた。

まあ、この天気では駄目だとは思うが、一応、見ておこう。ヨツキボシカミキリぐらいは葉裏にいるかもしれない。

おおおお、いるいる。

まるで「雨宿り」をしているかのごとく、ヨツキボシカミキリが数頭葉の裏にとまっていた。

こいつらを順にネットへ落としつつ、葉の表面もルッキングする。

うお〜〜〜!!

撮れたぞ〜〜。


またいた〜〜!!


またまたいた〜〜!!


う〜〜ん、昇天寸前...。

[ Ovalisia vivata LEWIS, 1893 ]

さらに、私のシャツに1頭落ちてきた...。

うひゃひゃひゃ、一瞬にして5頭も採れてしまった。

なんという幸せ。

諦めないでよかった。

ちなみに、「手前にヌルデ、奥にヒノキ」という植生で、十分に説明のつく環境であった。

きっと、奥の方から飛んでくるのだろう。

しばらくの間「悦に入って」いると、1頭のオレンジ色をした甲虫が突然目の前から飛び上がった。

待て〜〜〜、と網を片手に追いかけ、なんとかネットイン。

ああああ、リンゴカミキリの仲間だ。

このところ、まったく縁がなかったので、めちゃくちゃうれしい。

ヘリグロリンゴカミキリという種類である。

[ Nupserha marginella (BATES, 1873) ]

車へ戻ろうとした瞬間に、またオレンジ色の飛影が私の視線を横切った。

これも難なくネットイン。同じく、ヘリグロリンゴカミキリであった。

おそらく、道沿いのヨモギ(ホストのひとつ)にいたものと思われる。

網のシャフトでワサワサやってみたが、追加は得られなかった。

※ カミキリ屋はリンゴカミキリの仲間を、学名にちなんで「オベレア(Oberea)」という通称で呼ぶことが多い。

さて、ここで少し移動してみる。


● 花・総覧

前回まではクリの花が旬であったが、今週はどうだろうか?

ライオンバス形式で、左右を見ながらゆっくりと車を走らせる。

幸い、雨は今にも上がりそうだ。これでルッキングが楽になる。

適当な場所で車を停め、周辺の植物を観察することにした。

ふ〜〜む、クマノミズキ?

8分咲き程度だが、大雨の後なので「し〜〜ん」と静まり返っている。

晴れていたらどうだったのだろうか?

試しに掬ってみると、コメツキムシと小さなハナノミに混じって、ヒゲジロハナカミキリが1頭だけ入っていた。

リョウブは開花寸前だ。

来週ぐらいからが見物となるだろう。

一人ぷらぷら歩いていると、急に周囲が明るくなり始めた。

うおお〜〜〜。

晴れてきたぞ〜。


青空が眩しい。

さあ、この調子で強い陽射しを降り注いでくれ。

ふと、またオレンジ色の甲虫が「ふわふわっ」と目の前の草叢に吸い込まれていくのが見えた。

よしよし、ヘリグロリンゴだな。

着地点まで抜き足差し足で歩み寄り、そ〜〜っと草をかき分けてみると...。

こんにちは。

むむむ、さっきのヘリグロリンゴとは、ちょっと違うぞ。

なんと、シラハタリンゴカミキリであった。

[ Oberea shirahatai OBAYASHI, 1956 ]

本種はスイカズラ(白い花を咲かせる蔓性植物)をホストとするため、辺りを探してみたのだが、それらしい植物は見当たらなかった。

なお、本種に酷似するカミキリムシとして、ニセリンゴカミキリというのがある。検索図説によると「第5腹節の黒紋」の形態によって区別されるようだ。

加えて、愛知県以西ならニセリンゴ、静岡以北ならシラハタリンゴらしい。

いずれにせよ、未採集種であり、ラッキーであった。

で、おまけのセンノキカミキリ。

近所に「タラノキ(ホスト)」あり。

茨城初@私。

[ Acalolepta luxuriosa luxuriosa (BATES, 1873) ]


そして、車の座席に飛来していたセミスジニセリンゴカミキリ。

これも茨城初@私。

カミキリムシは、けっこう車へ飛んでくることが多い気がする。

[ Eumecocera trivittata (BREUNING, 1947)1935) ]

オバボタル?

さて、晴れていたのはほんの15分ほどで、すぐにまた曇ってしまった。

時間も時間なので、本日はここまでとしよう。


● エピローグ

リンゴカミキリ系を2種、そしてマスダクロホシタマムシの生態写真&小タコ採れ。

大雨に圧倒されることなく見に行ってよかった。

昨年も何度か経験したことだが、「雨が降った後の晴天」は狙い目と言えるだろう。

というわけで、来週もこの林道を攻めてみたいと思う。


★★ 採集成績 ★★

ヨツキボシカミキリ  4 exs.
[ Epiglenea comes comes BATES, 1884 ]

キイロトラカミキリ  2 exs.
[ Demonax notabillis notabillis (PASCOE, 1862) ]

ヘリグロリンゴカミキリ  2 exs.
[ Nupserha marginella (BATES, 1873) ]

シラハタリンゴカミキリ  1 ex.
[ Oberea shirahatai OBAYASHI, 1956 ]

セミスジニセリンゴカミキリ  1 ex.
[ Eumecocera trivittata (BREUNING, 1947)1935) ]

センノキカミキリ  1 ex.
[ Acalolepta luxuriosa luxuriosa (BATES, 1873) ]

ヒゲジロハナカミキリ  1 ex.
[ Japanostrangalia dentatipennis (PIC, 1901) ]

ヒメヒゲナガカミキリ  1 ex.
[ Monochamus subfasciatus subfasciatus (BATES, 1873) ]

ヤハズカミキリ  1 ex.
[ Uraecha bimaculata bimaculata THOMSON, 1864 ]

総計:9 種(含初採集 3 種) 14 頭

マスダクロホシタマムシ 5 exs.
[ Ovalisia vivata LEWIS, 1893 ]


記載日:2002.07.03
採集記(総目次)2002年度 採集記(目次)茨城県 カミキリ編 -17- へ続く....