2002年度 採集記(茨城県 カミキリ編 -18-)

絶好の夜

台風一過の影響により、軒並み快晴となったようで、日中は気温が35度まで上がった地域もあったという。

私の赴任先においても午前中は風が強く吹いていたが、午後になり次第にそれも弱まってきたため、夜は絶好の条件となるはずだ。

ということで、今晩も茨城県を「夜襲」することにした。

方法はいつもながらの街灯回りだが、今まで行ったことのないエリアへ足を踏み入れてみたい。



2002.07.11 (Thu)

茨城県 某所ほか

   天気:晴れ
   気温:25.1 度
   湿度:64.5 %
   風力:1(微風)
茨城産カミキリ、夜の新規開拓 編

● 熱帯夜

仕事が終わり、一休みしてから家を出る。

もうすぐ日が暮れようという時間なのだが、車内の温度計はなんと「29度」...。

日中はずっと建物の中に缶詰め状態だったため、どれほど暑かったかは体感していないのだが、よほど暑かったと思われる。

聞くところによれば、昼間は35度という「スーパー真夏日」だったというから、この29度という気温も納得だ。それこそ、ボルネオより暑いかもしれない。

今晩は茨城県でも熱帯夜となりそうな勢いである。

実際、外はものすごく蒸しており、台風による雨、そして高気温とムシ採りには絶好の一夜と言えるだろう。

カーナビの地図を参考にしながら、よさそうな道を選ぶ。

まずは適当に県道を折れ、寂しげな道をひた走っていると、向こうの方に自動販売機の明りが見えてきた。

ふむふむ。

絶好の条件を裏付けるかのように、「羽アリ」が大発生している。

容赦なく私のシャツにも纏わりつき、すでに私自身が「灯火の幕面」の状態だ。


おおおっ、シマゲンゴロウ?

アスファルト上に、無数に転がっており、ゲンゴロウ好きにはたまらない状況かもしれない。


そして、オオゾウムシ。

昨年、やっとこいつらの飛ぶシーンを目撃できた記憶がよみがえる。

とりあえず、カミキリムシは「クロカミキリ」しかいないようなので、次のポイントを探す。

おおお、なかなか雰囲気のある街灯。

と思ったが、ミヤマクワガタの♀のみ...。


今度はめちゃくちゃ明るい1灯を発見。

すかさず、急ブレーキを踏む。

さあ、どうだろう。

う〜〜ん、なかなか大きいノコ。

今回は職場の方からのリクエストが入っているため、ゲットしておく。

おや、あれは何だ?

大きなムシが落ちているぞ。

げげげ、タガメじゃん。

生涯初ゲット。

最近はゴルフ場開発や農薬の影響で激減したと聞いていたため、正直、驚いた。

[ Lethocerus deyrollei VUILLEFROY ]

日本産最大の水生昆虫だけあって、威圧感はただ者ではない。

お次は、日本産最大のカミキリムシが飛来。

こちらもすごい貫録である。

[ Batocera lineolata CHEVROLAT, 1852 ]

この辺で、さらに先へ行く。

かなり走ったところで、随分手前からでも確認できる強烈な照明が目に入った。

その一角は昼間のように明るく、映画「未知との遭遇」のUFOが着陸した現場のようになっている。

まずは、クロカミキリ。

自動販売機の前でよく見る光景。

自分ではなかなか起き上がれないようだ...。

[ Spondylis buprestoides (LINNAEUS, 1758) ]

そして、ビロウドカミキリを1頭拾って顔を上げた瞬間...。

あああああ!!

なんと、アカアシオオアオカミキリだ。

これ、今まで採りたくてもなかなか出会えなかったカミキリムシなんだよねぇ。

う〜〜ん、死ぬほど嬉しい。


嬉しいので、別角度からもう一枚。

くっくっく、このエレガントなグリーンがたまらん...。

[ Chloridolum japonicum (HAROLD, 1879) ]

実際掴んでみると、オオアオカミキリと同じように、酔ってしまいそうな柑橘系の香気が私の周囲に広がる。

もう、これを嗅いだだけでヘロヘロの骨抜き状態となってしまう。何とも言えない媚薬的な香りだ。

と感慨に浸っていたのもつかの間、私はいきなりパニックに陥る。

うへぇ〜〜。

またいた。


今度はアオスジカミキリだ。

最近は良く出会う。

[ Xystrocera globosa (OLIVER, 1795) ]


ひょ〜〜。

矢継ぎ早に飛来。


もう、どうしたらいいのだろうか...。


さらには...。

[ Batocera lineolata CHEVROLAT, 1852 ]

うああああ、またタガメ。

るどるふ、完全にノックアウトだ...。

ということで、心拍数が落ちることなく、家路についたのであった。


● エピローグ

いや〜〜、興奮の一夜であった。

数年前に知人が灯下で採ったタガメをいただいたことがあったが、まさか自分がその現場に遭遇するとは思ってもみなかった。

採集記的には「外道」となってしまうが、クワガタでいうオオクワガタと同様、日本産水生昆虫の最大種をゲットできたという嬉しさと驚きは変わらない。

また、念願のアカアシオオアオカミキリとの出会いも果たし、本当に大満足。車の中が柑橘系の香気で充満し「あああ、採ったんだなぁ...」と、まるで酔っぱらい運転のような帰路でもあった。

ムシが少ないと言われる茨城県だが、いやいや捨てたものではない。


★★ 採集成績 ★★

アカアシオオアオカミキリ  4 exs.
[ Chloridolum japonicum (HAROLD, 1879) ]

アオスジカミキリ  2 exs.
[ Xystrocera globosa (OLIVER, 1795) ]

シロスジカミキリ  2 exs.
[ Batocera lineolata CHEVROLAT, 1852 ]

ビロウドカミキリ  1 ex.
[ Acalolepta fraudatrix fraudatrix (BATES, 1873) ]

総計:4 種(含初採集 1 種) 9 頭

タガメ 2 exs.
[ Lethocerus deyrollei VUILLEFROY ]


記載日:2002.07.12
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