2002年度 採集記(茨城県 カミキリ編 -20-)

2週間ぶり

やっと、いつもの林道へ行ける機会が訪れた。

先週の水曜日は「台風6号」が茨城県を縦断する真っ只中で、ムシ採りどころではなかったから本日行けることが本当に嬉しい。

また、今週初めにも「台風7号」の強襲を受けているため、林道の状況がどうなっているのかとても気になるところである。

茨城県の採集ではいつものことだが、今回も特にターゲットを定めず、「一期一会」の精神でムシを探してみたいと思う。



2002.07.17 (Wed)

茨城県 某所ほか

   天気:曇り一時雨
   気温:27.5 度
   湿度:62.1 %
   風力:1(微風)
茨城産カミキリ、ハチに御用心 編

● 定期点検

仕事を終え、毎度同じ道を走る。

で、寄り道するところも毎度同じだ...。

採集記にメリハリを付けるためにも、たまには違うところをチェックしようかと思うのだが、まあ、「定期点検」のようなものなので、少々お付き合いいただきたい。

う〜〜ん、随分と下草が茂ってきた...。

もう、今後はあまり十分なルッキングができないかもしれない。


いたのは、こいつ(ヒメヒゲナガカミキリ)と、ベニカミキリ、エグリトラカミキリぐらいか...。

先月まで大量にいたホタルカミキリとキイロトラカミキリは、すっかり姿を消している。

面白い種類のいる気配が感じられないため、さっさとポイントを後にする。


● リョウブ

県道を快調に飛ばしていると、道沿いにはリョウブの白い花がよく目立つ。

ただ、ここは比較的平地で、周囲の植生も針葉樹の植林が中心であるため、飛来している種類にあまり期待は持てないだろう。

しかしながら、「先入観」は良くないということで、一応、確認することにした。

リョウブ...。

8分咲きぐらいだが、なかなか「いい感じ」だ。

甘い花の香が漂う中、各花房をルッキングしてみる。

ああああ、いた...。

「有象無象」の親分格、ヨツスジハナカミキリ...。

数えるのが面倒くさいほどいる...。

とうとう「こいつらの季節」が来てしまったか...。


無言でキャッチ&リリース。

どういうわけか、結局こいつらしかおらず、ここもさっさと見切りをつけた。


● 林道

さて、林道に到着した。

今のところ雨は降っていないが、今にも降り出しそうな雲行きである。

手際よく林道沿いをルッキングしていこう。

まずは、いつも見ている「小道」へ入ってみる。

毎回、一番最初にチェックするカエデの材。

今までロクなカミキリが採れていない材でもあるのだが...。

すでに薄暗くなっており、雰囲気はいまひとつ。

やはり今回もダメかな?

近づいてみると、何やらムシが多数いるようである。

むむむむ!!

初めて見る「紋様」だ。

何トラカミキリだろう?


ああああ、ニイジマトラカミキリだ。

よりにもよって、ここで採れるとは...。

でも、感激...。

「定期点検」は重要だ。


それはそうと、本当にたくさんいるぞ。


初出場なので、できるだけいろんなパターンを撮ってみた。


さすがに「しつこい」か...。

[ Xylotrechus emaciatus BATES, 1884 ]

あと、ここで見つけたのはウスイロトラカミキリのみ。


いつもとは違う角度から。

[ Xylotrechus cuneipennis (KRAATZ, 1879) ]

一通り採ってしまったので、さらに奥へ進む。

これは、いつかフチグロヤツボシカミキリが採れないかと秘かに期待している「ホウノキ」。

今回も何もいない...。

やや急な斜面を登って尾根筋に出る。

すると、ポツポツと雨が降り始めてしまった...。

ああああ、何ということだ。

まあ、降り始めなら大丈夫だろうということで、探索は続行する。

少々古めの「クリのソダ」を見ていたら、枝の屈曲部にカミキリムシが止まっていた。

んん、君はだれ??

よ〜〜く見てみると、どうやらセミスジコブヒゲカミキリのようだ。

すでに採ってしまった種類だが、久しぶりの出会いだったのでうれしい。

[ Rhodopina lewisii lewisii (BATES, 1873) ]

これは同じくソダの上を徘徊していた豆粒のようなカミキリムシ。

ガロアケシカミキリ@未採集種。

思わず、こいつと同じぐらいの小さなガッツポーズ。

[ Exocentrus galloisi MATSUSHITA, 1933 ]

いつもの折り返し点まで行ったところで、やや雨が強くなってきた。

そのため、急いで車まで引き返す。

息を切りながらアップダウンを乗り越え、やっと車に着いたのはいいが、雨が止んでしまった...。

なんだよ、完全にフェイントをかけられた。

帰りがけにニイジマトラを追加しておきたかったのに...。

まあいいや、別のポイントを探そう。

ということで、エンジンをかけ再び車で探索を続ける。

スローペースで10分ぐらい走ると、小高い盛り土の向こうにソダを積み上げてあるのが見えた。

これは見ておかないと。

う〜〜ん、またお前らか...。

「いつものやつら度」が限りなく高い。

あとは、ヒトオビアラゲカミキリ、エグリトラカミキリ、キッコウモンケシカミキリ、シロオビゴマフカミキリ、キイロトラカミキリなど、「いつものやつヒエラルキー」のトップを占める連中ばかりだ。

さあ、次へ行こうかな...。

と、立ち上がったと同時に「ブ〜〜ン」と比較的大きな羽ばたき音をさせながら、1匹のムシが私のシャツに飛来した。

うああああ、「ハチ」だ。

あっちへいけ!、右手で「パシっ」と地面へ叩きつける。

そのムシは私の足下にピタっと「10点満点」の着地をして、しばらくじっと動かない。

あれ??、ハチじゃないの??

恐る恐るつかんでみる。

あああああああああ!!

これは...。


もしかして...。


トラフホソバネ君ですか?

そうだよねぇ?


ひゃっほ〜〜〜〜!

やっぱり、トラフホソバネカミキリだぁ〜〜。

[ Tranius variegatus variegatus BATES, 1873 ]

あああああ、めっちゃ嬉しい!!!!!!!!!!!!!!!!!!!

これも「憧れ」の1種だったのだが、まさかホームグラウンドの茨城県で出会える、それも生涯初採集になるとは思ってもいなかった。

ああああ、今日来てよかった。

ムシ採りを続けてきてよかった。

ああああ、今日も涙...。

ちなみに、上翅の後半が、ひゅ〜〜っと細まっている(=ホソバネ)のが分かる。スーパーカーあるいは航空機のような卓越したフォルム。めちゃくちゃカッコイイ。

もう今日はこれでやめよう。大満足だ。

ということで、温泉へ向け帰路をとる。

帰りがけにちょっとだけ見たアカマツ材。


ホソトラカミキリが産卵中。

[ Rhaphuma xenisca (BATES, 1884) ]

近くにあったタラノキでは、アトジロサビカミキリが交尾中。

一応、「指つかみ写真」とお別れできた。

[ Pterolophia zonata (BATES, 1873) ]

同じくタラノキにカミキリムシのシルエット。

何だろう?


おおお、センノキカミキリだった。

1本のタラノキに3〜4頭しがみついていた...。

[ Acalolepta luxuriosa luxuriosa (BATES, 1873) ]

これにて本日は終了です。


● 余談

ちなみに、これがトラフホソバネカミキリの飛来した私のシャツ。

ユニクロで数百円。


● エピローグ

う〜〜ん、感無量。

やはり「殺気」が無いときの方が、「いいカミキリムシ」と出会えるような気がする。

本日のような「シナリオの無い展開」が、採集の一番面白いところであり、醍醐味その物だと痛感した。

次はどんな出会いが待っているのか、今から楽しみでならない。


★★ 採集成績 ★★

ニイジマトラカミキリ  9 exs.
[ Xylotrechus emaciatus BATES, 1884 ]

ウスイロトラカミキリ  5 exs.
[ Xylotrechus cuneipennis (KRAATZ, 1879) ]

シロオビゴマフカミキリ  3 exs.
[ Falsomesosella gracilior (BATES, 1884) ]

アトジロサビカミキリ  2 exs.
[ Pterolophia zonata (BATES, 1873) ]

ホソトラカミキリ  2 exs.
[ Rhaphuma xenisca (BATES, 1884) ]

ガロアケシカミキリ  1 ex.
[ Exocentrus galloisi MATSUSHITA, 1933 ]

キイロトラカミキリ  1 ex.
[ Demonax notabillis notabillis (PASCOE, 1862) ]

シラホシカミキリ  1 ex.
[ Glenea relicta relicta PASCOE, 1868 ]

セミスジコブヒゲカミキリ  1 ex.
[ Rhodopina lewisii lewisii (BATES, 1873) ]

センノキカミキリ  1 ex.
[ Acalolepta luxuriosa luxuriosa (BATES, 1873) ]

トラフホソバネカミキリ  1 ex.
[ Tranius variegatus variegatus BATES, 1873 ]

ナガゴマフカミキリ  1 ex.
[ Mesosa longipennis BATES, 1873 ]

ヒトオビアラゲカミキリ  1 ex.
[ Rhopaloscelis unifasciatus BLESSIG, 1873 ]

ベニカミキリ  1 ex.
[ Purpuricenus temminckii (GUERIN-MENEVILLE, 1844) ]

総計:14 種(含初採集 3 種) 31 頭


記載日:2002.07.17
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