2002年度 採集記(茨城県 カミキリ編 -21-)

ブナ林

今回はやや趣向を変えて、茨城県のネキダリスを狙ってみたいと思う。

やはり、ホームグラウンドのネキは採っておきたいところだ。

茨城県におけるネキダリスは、オオホソコバネカミキリ、ヒゲシロホソコバネカミキリの2種が記録されており、いずれも県内のブナ帯にて採集されている。

いずれも得られている個体数は少なく、県内では文句なしに「珍品」である。運良く採れるといいが...。

というわけで、久々に県内のブナ林へ足を運ぶことにした。



2002.07.24 (Wed)

茨城県 某所

   天気:晴れ
   気温:26.8 度
   湿度:63.4 %
   風力:1(微風)
茨城産カミキリ、「常陸の國」のネキダリス 編
たった一人の「ネオ・ネキダリス狂騒曲 2002」

● 懐かしい...

いつもとは違うルートを走り、一路、ブナ林を目指す。

非常に懐かしい光景が車窓の向こうに流れ、あたかも1年前にタイムスリップしたような錯覚に襲われる。

2つの台風の接近により、午後からは天気が崩れるようだが、今のところはそんなことを思わせないほどの「好天」である。

気温も平野部で30度を優に超える「真夏日」であり、これならブナ林でも25度を下回ることはないだろう。好条件の中、ネキダリスを探せそうだ。


● ノリウツギ

そうこうしているうちに、ポイントへ到着した。

まずは手始めに、林道沿いに咲いている「ノリウツギ」の様子をチェックしてみる。

おおお、シーズン的にはジャストミートかもしれない。

遠くからでも「満開」なのが分かる。


よしよし、満開だ。

アブやハチが所狭しと群がっている。

早速、網で各所をスイープしてみる。

ところが、どういうわけかカミキリムシが1頭も入らない...。

この木がたまたまそうなのかな?、と移動しつつ随所でノリウツギを掬ってみるも結果はほぼ同じであった。

せいぜいヨツスジハナカミキリ、フタスジハナカミキリ、トゲヒゲトラカミキリが数頭といった具合なのである。

なんで??

ここのブナ林は、県内随一と言えるほどカミキリムシのバリエーションが多彩なはずであり、もう少し面白いカミキリムシが入ってもいいと思うのだが...。

これだけの好条件(晴れ、ノリウツギ満開、ほぼ無風)で、この成果では「駄目なポイント」と烙印を押すしかない。

その後も、ありったけのノリウツギをしつこく掬ってみたが、入るのはやはりハチ、アブ、変な蛾が中心であった。

う〜〜ん、確かに、このポイントにおける冬季の材採集@ルリクワガタ系では、頭に来るほどアブの幼虫が出てきたが、それがこのような状況の布石になっていたとは思いも寄らなかった。

それにしても、納得のいかない「現実」である...。


● 珍客

今後ノリウツギは無視して、そろそろネキの探索を始めよう。

狙い得るネキは2種あるわけだが、ヒゲシロホソコバネは採集経験はおろか実物を見たことすらなく、さすがに荷が重い。初回である今回は、比較的採りやすいオオホソコバネ(通称ソリダ)が必然的にメインターゲットとなる。

ということで、まずはソリダの飛来しそうな「ブナの立ち枯れ」を探すことから始めよう。

幾重にも蛇行する林道をスローペースで走りつつ周囲をルッキングしていく。

ふと、目の前のフロントガラスに小さなカミキリムシが止まっているのを発見した。

運転席からは「腹」しか見えないが、脚がオレンジ色で逆三角形の体形をしており、想像するに「シラホシカミキリ」のようである。

とりあえず、車を停めて確認してみる。

落ちた石を拾うかのごとく、簡単にゲット。

んんん?

シラホシじゃないな...。

ということは...。

ラッキ〜〜!!

ニセシラホシカミキリだ!

上翅両外側に白い帯が見られる。

[ Pareutetrapha simulans (BATES, 1873) ]

もちろん未採集種なのだが、こんな形で出会えるとは...。

それにしても、今季は私の車にカミキリムシが飛来することが多い。それも、たいがい未採集種なのだから、本当にありがたいとしか言い様がない。

愛車、様、様だ。

さて、しばらく走ったところで、以前見つけておいたブナの立ち枯れポイントに到着した。

早速、見てみるとしよう。


● ニョキニョキ

腰の高さほどある笹藪を漕ぎながら立ち枯れの根元へ歩み寄る。

ふ〜〜む、やや古めかな...。


これは直ぐ隣にあるもの。

上の樹皮が剥がれたところが良さそうだが、まったく網が届かない高い場所だ...。


こんな形で2本が位置している。


で、やや離れたところにもう1本。

以上、合計3本のブナ立ち枯れが「ニョキニョキ」とそびえ立っているシチュエーションだ。

風通しもまあまあであり、私の少ない経験からは、なかなか期待のもてる「ネキ好み」な環境であると思う。

とりあえず、ファーストルッキングではネキらしきムシは見当たらない。

しばらくはこの3本の立ち枯れを巡回しつつ、ネキの飛来を待ってみようと思う。

まあ、巡回と言っても、それぞれの距離は数メートルしかないのだが...。

で、3巡、4巡、5巡としているうちに、私が歩いたところの笹は倒れて轍(わだち)となり、端から見たら「ミステリーサークル」のようになってしまった。

都合40分ぐらい粘っただろうか、いくら待ってもネキは飛来しない。

加えて、スズメバチ似のアブが、ず〜〜っと私に纏わりついて鬱陶しい。

結局、これ以上待っても埒が開かないと判断し、このポイントでの張り込みは終了ということにした。

さて、この後もブナの立ち枯れを探索するため、2〜3の林道、小道などを攻めてみた。

で、発見できたのはこの1本だけ...。

思いの外、いい立ち枯れは少ない。

本日最後のチャンスと、ここでもしばらく張ってみたが、飛来したのはヨツスジハナカミキリ1頭だけであった...。

ということで、本日のネキハンティングは終了。

ブナ林を離脱して、麓の材置き場などを見に行くことにした。


● 普通種ラッシュ

往路にて、なかなか良さそうな材置き場を見つけていたため、そこへ直行する。

主に、ケヤキ、サクラの材が中心だ。


とりあえず、カタシロゴマフカミキリを発見。

暑さにへばっている飼い犬のような格好だ...。

[ Mesosa hirsuta hirsuta BATES, 1884 ]

あとは、ナガゴマフカミキリ、アトジロサビカミキリ、ナカジロサビカミキリ、ウスイロトラカミキリ、シラホシカミキリなど、普通種のオンパレードであった。


ということで、また来週...。


● エピローグ

多産地とは異なり、茨城県内でネキを探すのはやはり難しい。

また、太平洋側のブナ林は酸性雨などの影響により、立ち枯れが多いと思っていたが、実際探した範囲において、ネキが飛来しそうなものは案外少ないことが分かった。

しかし、いつかはこの手で茨城のネキを採ってみたいなぁ...。


★★ 採集成績 ★★

ウスイロトラカミキリ  4 exs.
[ Xylotrechus cuneipennis (KRAATZ, 1879) ]

ヨツスジハナカミキリ  4 exs.
[ Leptura ochraceofasciata (MOTSCHULSKY, 1861) ]

トゲヒゲトラカミキリ  2 exs.
[ Demonax transillis BATES, 1884 ]

アトジロサビカミキリ  1 ex.
[ Pterolophia zonata (BATES, 1873) ]

カタシロゴマフカミキリ  1 ex.
[ Mesosa hirsuta hirsuta BATES, 1884 ]

シラホシカミキリ  1 ex.
[ Glenea relicta relicta PASCOE, 1868 ]

トガリシロオビサビカミキリ  1 ex.
[ Pterolophia caudata (BATES, 1873) ]

ナガゴマフカミキリ  1 ex.
[ Mesosa longipennis BATES, 1873 ]

ナカジロサビカミキリ  1 ex.
[ Pterolophia jugosa jugosa (BATES, 1873) ]

ニセシラホシカミキリ  1 ex.
[ Pareutetrapha simulans (BATES, 1873) ]

ニンフハナカミキリ  1 ex.
[ Strangaliella nymphula (BATES, 1884) ]

ヒメヒゲナガカミキリ  1 ex.
[ Monochamus subfasciatus subfasciatus (BATES, 1873) ]

ヒゲジロハナカミキリ  1 ex.
[ Japanostrangalia dentatipennis (PIC, 1901) ]

フタスジハナカミキリ  1 ex.
[ Leptura vicaria vicaria (BATES, 1884) ]

総計:14 種(含初採集 1 種) 21 頭


記載日:2002.07.25
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