2002年度 採集記(茨城県 カミキリ編 -23-)

「ヒロコ」再挑戦

先週はスネケブカヒロコバネカミキリを狙って、いつもの林道へ行ったわけだが、少々フライングであった。

本種が訪花すると言われる「カラスザンショウ」の開花状況は、今週あたりがちょうど良いかもしれない。

ということで、本日も「ヒロコ」に再挑戦しようと思う。

また、今回は県内のブナ林にて自前の灯火セットを張る予定であり、そちらも何が飛来するか楽しみである。

では、出発しよう。



2002.08.07 (Wed)

茨城県 某所ほか

   天気:快晴
   気温:34.4〜24.3 度
   湿度:68.7〜79.5 %
   風力:1〜3
茨城産カミキリ、「ヒロコ」(2)、そして... 編

● 定期点検!

12時に職場を出発し、まずは「発電機」を購入しに行く。

先週、いくつか回ったホームセンターで、一番コストパフォーマンスの高い製品を選んでおいたため、滞りなく購入することができた。

愛車と発電機のガソリンを満タンにした後、いつもの「定期点検ポイント」を巡回する。

この時期、ちょっとした材置き場やソダには、活発に動き回るカミキリムシの姿はもうない...。さすがにこの暑さで、さっさと子孫を残して息耐えてしまったのかもしれない。

う〜〜ん、だめだなぁ...、と思いながら、先へ進む。

で、今年の6月より目を付けていた「クワ」の木があるのだが、そのクワはかなり食害された跡があり、どうにも怪しい。毎回必ずチェックしている件のクワなのである。

というわけで、性懲りもなく今回も訪れてみた。

これがそのクワ。

所々樹皮がめくれ、羽脱孔が多数開いているのも分かる。


どう見てもカミキリムシの仕業だと思うのだが、クワカミキリやキボシカミキリさえ、今までに見つけられていない...。

ふと、下の方に目線を下ろすと....。

むむむ!

何かいるぞ!!

スズメバチ?


ああああ!!!

トラフカミキリだ!!


うおおお、何だかたくさんいるぞ!!

ああああああ、めちゃくちゃ興奮してきた。

今まで見たことも採ったこともないカミキリムシが、目の前で右往左往しているのだ。

しかし、微妙に手が届かないところにいる...。

もう、居ても立ってもいられず、速攻で車までネットを取りに行く。

再びクワへ戻り、樹幹を見てみると、さらに数が増えている。ざっと10頭以上いるのではないだろうか?

武者震いする手で即座に幹へ網を伸ばしてみるが、枝が引っ掛かるため、これがまた採りにくい。そして、やつらはとてもすばしっこい。

直径50センチの網は、こういう場合には向いていないことを痛感した...。

しかし、採りやすい位置まで這ってくるのを待って、なんとか1頭ネットインすることができた。

やった〜〜!!

[ Xylotrechus chinensis (CHEVROLAT, 1852) ]

うううう、めっちゃカッコイイ...。

さすがは典型的なトラカミキリ属のカミキリだ。もっこりした質量感のある前胸背がたまらない...。

また、今まで採った他のトラカミキリとは比べ物にならないほど力も強い。

さあ、どんどん採ろう。

っく〜〜!


ひっひっひ。

う〜〜ん、大満足!!

それにしても、まさに「ご神木」と言えるクワである。

採集技術に乏しいため、半分以上は下へ落として採り逃してしまったが、そんなことはどうでもいい。逃がした個体は、また今度来たときのために残しておこう。

私は標本自体にはさほど執着がなく、最低限1頭、あるいは1ペア採れるだけで満足なのである。「メインフィールドで採った」という事実が大切なのだ。

ああああ、このポイントを信じて通ってよかった。

当然、第1級の「マイポイント」と位置づけ、今後も大事にしていきたい。

ということで、いつもの林道へ「ヒロコ」を探しに行こうと思う。


● 「ヒロコ」リベンジ

さて、とりあえずカラスザンショウのポイントを見て回ろう。

うひょひょひょ、満開だ。

大小のハチやアブが乱舞している。


まるで「お花畑」。


よ〜〜し、掬うぞ〜〜!

これは!、と思う飛影を次々ネットに収めていく。

が....、今日も一向に「ヒロコ」は入らない...。

まだ発生していないのかなぁ...。

今回もフライングだったかもしれない。

しかし、このままだとカラスザンショウの花期は終わってしまいそうだ。

今後は「ヌルデ」の花に期待するしかないだろう。

結局、午後4時ぐらいまで粘ってみたが、ヒロコはヌル。炎天下、さすがに私がへばってしまう...。

成績的には、このソダでニイジマトラカミキリを1頭摘んだだけに終わってしまった。

さあ、本日は山中での灯火採集を予定しているので、そろそろ移動しよう。


● いざ、ヨコヤマ!

麓の中心街にて、温泉→食事→コンビニを済ませ、いざ灯火採集へ突入。

ぐい〜〜っと標高を上げ、ポイントへ到着した。

灯火を張る場所は、すでにロケハン済みのため、さっさと準備を整える。

うひひひ、今晩はこの斜面すべてを独り占めだ。

緩やかながらも「吹上げ」状態となっており、とても期待が持てる。

今回、狙う獲物はただ一つ、そう「ヨコヤマヒゲナガカミキリ」だ。

昨年、相棒との東北遠征にて採集済みの種類であるが、どうしても茨城産を採ってみたいという大きな目標があったのだ。

発生期はどんぴしゃ、月齢はばっちり、風もさほど強くない。

いよいよその好機が到来したと言える。

日没と同時に、ライトオン。

すぐさま、有象無象が大きな「うねり」のように一斉に押し寄せてきた。


最初のお客さん。


そして、小さなカミキリムシが飛来。

トゲバカミキリという種類だ。

茨城県では初採集@私。

[ Rondibilis saperdina (BATES, 1884) ]

ライトオンの後、しばらくは風もなく、順調にムシが飛来してきていたが、9時半を回った段階でシーツがたわむほど強く吹くようになってきた。

それも、谷へ向かって吹いており、これでは「吹下げ」だ...。

せっかく飛んできたムシもみな谷底へ押し戻されてしまう。

こりゃ参ったなぁ....、とため息をついていると、何やら足下にキラっと水銀灯の光を反射するものが見えた。

あああああああああ!!!

やった!、やった!

やった〜〜〜!!


うおお〜〜!

ヨコヤマ@茨城だ〜〜っ!!!!

[ Dolichoprosopus yokoyamai (GRESSITT, 1937) ]

う〜〜ん、ビューティフル、そしてエレガント!!

あああああ、涙...。

思わず写真を撮りまくっていると、私の目の前に...。

何ということか、もう1頭来た。

ああああ、失神してしまいそうだ。

で、その30分後...。

ああああ、もう、どうにでもしてください...。

というわけで、本日は胸もお腹もいっぱい。

大きな満足感とともに山を下りたのであった。


● エピローグ

さすがにこの時期、採れる種数は限られてくるが、それを感じさせないほど濃い内容であった。

ともかく、自分で発見したポイントでトラフカミキリを採れたことが何よりうれしい。

また、一撃で念願の茨城産ヨコヤマヒゲナガが採れたことも驚きだ。

本当に一生の思い出として残る「興奮に満ちた」採集行であった。

ああああ、感無量...。


★★ 採集成績 ★★

トラフカミキリ  5 exs.
[ Xylotrechus chinensis (CHEVROLAT, 1852) ]

ヨコヤマヒゲナガカミキリ  3 exs.
[ Dolichoprosopus yokoyamai (GRESSITT, 1937) ]

トゲバカミキリ  1 ex.
[ Rondibilis saperdina (BATES, 1884) ]

ニイジマトラカミキリ  1 ex.
[ Xylotrechus emaciatus BATES, 1884 ]

総計:4 種(含初採集 1 種) 10 頭


記載日:2002.08.08
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