2002年度 採集記(茨城県 カミキリ編 -26-)

最終回@ヒロコ

約1ヶ月にわたって続けてきた「スネケブカヒロコバネカミキリ@茨城産」への挑戦も、今回をもって今季最後にしようと思う。

徐々に時期的条件が厳しくなってくる中、あまりダラダラと続けていてもしょうがない。

ということで、「感動のフィナーレ」を期待しつつ出かけるとしよう。



2002.08.28 (Wed)

茨城県 久慈郡ほか

   天気:晴れ
   気温:29.2 度
   湿度:68.7 %
   風力:1〜2
茨城産カミキリ、「ヒロコ」(5) 編

● 直行

本日は「ヒロコ」へのファイナルアプローチとなるため、なるべく多くの時間を割きたい。

というわけで、寄り道をせずに林道へ直行する。

今週に入ってからやや気候が持ち直したのか、このところ暑い日が続いている。今日も良い加減に蒸し暑く、ムシたちが活発に動き回っていると思われる。

まあ、甲虫自体は少ないのだろうが、気候的条件に恵まれることは精神衛生上いいことだ。

いつもの場所へ車を止め、カラスザンショウの花の終わり具合をチェックしに行く。

うひょ〜〜!

すこぶる天気が良い。

で、花を見てみると...。

ああああ、もう完全に終わりだ。

花は1ミリも残っていない...。

思えば、このカラスザンショウも「ヒロコ」がいなければ、まったく目を向けなかった植物だろう。少なくとも、毎週のように張り付くことはなかったと思う。

今や、二度と忘れられない植物となってしまった。

そのカラスザンショウを好むコクロナガタマムシ。

「いつものやつ」なのだが、こいつもカラスザンショウを知らなければ出会っていなかったかもしれない。

生態写真を撮れる個体がいたため、一応、シャッターを押す。

[ Agrilus yamawakii Y.KUROSAWA, 1957 ]

確認しているかぎりのすべてのカラスザンショウを見てみたが、どれも花を落とし、周囲を飛び回るムシの姿はなかった。

分かっていたこととはいえ、やはり物事の終わりはどことなく寂しい。

幸い、一部のヌルデは予想通りに開花が始まっているため、それを掬ってみることにする。

余談だが、植物たちは微妙に時期をずらしつつ花を咲かせていき、端境期が短期間存在するものの、1シーズンを通して林道には常に何らかの花が咲いている。これは、花粉を運ぶ訪花性のムシたちに集中して自分のところへ来て欲しいということなのだろうが、それが長い年月を経た末に自然に成り立っているのだからすごい。

4月下旬〜5月上旬のカエデ、5月上旬〜6月下旬のウツギ、コゴメウツギ、ミズキ、ガマズミ、ヤブデマリ、クリ、7月〜8月のノリウツギ、リョウブ、カラスザンショウ、ヌルデなど、それぞれが順に開花していくのである。

それにしても、今までいろんな花を掬ってきたものだ。

話を戻そう。

へへへ、咲いている。


まさに、ここ1週間で一気に咲き始めた感じだ。

早速、網を伸ばして掬いにかかる。

が、「セイボウ」と呼ばれるハチとアブとハエを足して3で割ったようなムシが大量に入って煩わしい。たまに大型の美麗なセイボウも混じり、一瞬手を伸ばしそうになるが、やはり掴む勇気はない...。

そんな中、1頭の甲虫らしき大きなムシがネットの底に落ちた。

うおおおおお、デカイ...。

トラフカミキリほどの大きさで、立派な体格をしている。

おそらく♀と思われるが、かなり大型のウスイロトラカミキリだ。

[ Xylotrechus cuneipennis (KRAATZ, 1879) ]

おおおお、またカミキリムシがネットインしたぞ。

ああああ、まだいたか...。

「いつものやつ度」は超一流だ。

[ Leptura ochraceofasciata (MOTSCHULSKY, 1861) ]

で、数時間にわたって10ヶ所ほどのヌルデポイントで頑張ってみたが、結局採れたカミキリムシは以上の2頭だけ...。

やはり、ヒロコはいない。

ということで、ここで「完敗宣言」。

今季のヒロコへの挑戦は諦めることにする。

もう、あらゆる条件で厳しいだろう。

時間はまだあるので、来季の下見を兼ねた探索を行うことにした。


● 下見

車で少し移動し、今までほとんど見ていないエリアへ行ってみる。

視界良好!


ほどなく材置き場を発見。

しかし、材はやや古く乾燥しきっている。

これは来季でも期待薄かな。

「駄土場1号」と命名しよう。


次は小川の脇に生えるクワの大木を発見。

カミキリムシの姿はなかったものの、所々に食害された痕跡は認められ期待が持てる。

どん詰まりまで到達したところで、Uターン。

奥の方は植林が中心となり、雰囲気的には今一つであった。

ざ〜〜っと来た道を引き返すと、道沿いに台風か何かで根元から倒れた広葉樹を見つけた。

なかなか良さそうな材である。

表面を観察していると、1頭のムシがシャカシャカ歩いていた。

おおおっ!

また会ったね。

その後、もう1頭ゲット。

[ Xylotrechus cuneipennis (KRAATZ, 1879) ]

そして、シラホシカミキリが目の前に飛来。

へえ、けっこう遅い時期までいるんだ。

小さな新発見。

[ Glenea relicta relicta PASCOE, 1868 ]

あとは多数のキマワリが徘徊している程度。

交尾しながら道路を横断中のキマワリ。

慌てて撮影したためピンボケ...。

振り切られないよう、一生懸命♀にしがみついている♂の姿が健気であった。

最近、キマワリは出場回数が増えている期待?の「新星」。

明日の「甲虫採遊記」を支えるのは君だ!、頑張れ!


● いつもの小道へ

一通り見てしまったので、ここ2週間「定期点検」を怠っている「いつもの小道」へも足を運んでみた。

周囲をルッキングしながら、ゆっくりと斜面を上っていく。

今日は尾根筋にあるアカマツを観察しておきたい。

早速、怪しげな穴を発見。

むむむ、ノトリナのものだろうか。

樹皮のすき間を丹念に覗いてみたが、今回は見つからなかった...。


うえぇぇぇ...。

なんだこりゃ?

カビ?、粘菌?

非常に気持ち悪い。

裏側へ回ってみると根元の方に、剥がれかかった樹皮があったのでめくってみた。

う〜〜む、面白い甲虫だ。

顔面中央からカブトムシのような角が出ている。

オレンジ色の1対の突起もみられる。

ゴミムシダマシの仲間だろう。

[ Toxicum tricornutum WATERHOUSE ]

鑑定の結果、ミツノゴミムシダマシというムシであることが判明した。

一応、ゲットしたが、やはり臭かった...。

そして、剥がした樹皮の底にはコメツキムシが隠れていた。

クシコメツキ?

アカアシオオクシコメツキ?

現在、鑑定中。

以前はまったく目を向けなかった針葉樹も、こうやって丁寧に観察すると多種の甲虫たちを育んでいることが分かる。

今後もカミキリムシに限らず、面白い甲虫を発見したら、どんどんスポットライトを当てていきたいと思う。

だんだん日が傾いてきたので、ここで本日の採集を終了とした。

帰りがけに見つけたスジクワガタのペア。

なんか、格好だけはヒメオオ張りでいっちょまえだ...。

一応、♂は大歯型で、なかなかのサイズ。

その後、温泉の新規開拓には成功し、強烈なバブルジェットに癒されたのであった。

また来年! >ヒロコ


● エピローグ

結局、今季は惨敗という結果に終わってしまった。

生息していることが分かっていて、かつセオリー通りに狙っても、運の良さやタイミングが伴わなければ駄目ということだ。

もっとも、この1ヶ月間やるだけのことはやったので、あまり心残りはない。また来年、新たな気分で挑戦してみようと思う。

さあ、来週からはガラッと雰囲気を変えて、次の獲物にチャレンジする予定だ。

お楽しみに。


★★ 採集成績 ★★

ウスイロトラカミキリ  3 exs.
[ Xylotrechus cuneipennis (KRAATZ, 1879) ]

シラホシカミキリ  1 ex.
[ Glenea relicta relicta PASCOE, 1868 ]

ヨツスジハナカミキリ  1 ex.
[ Leptura ochraceofasciata (MOTSCHULSKY, 1861) ]

総計:3 種 5 頭

コクロナガタマムシ  3 exs.
[ Agrilus yamawakii Y.KUROSAWA, 1957 ]

ミツノゴミムシダマシ  1 ex.
[ Toxicum tricornutum WATERHOUSE ]


記載日:2002.08.29
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