2002年度 採集記(茨城県 カミキリ編 -3-)

3度目の正直?

前回、前々回と、竹をホストとするカミキリムシを狙って、いくつかのポイントを回ってみたが、いずれも惨敗を喰らってしまった。採集に十分な時間をかけられなかったということもあるが、あまりに不甲斐ない結果である。

そんな私を見かねてか、数人の方から親切なアドバイスをいただけ、「竹」なカミキリムシの採集に関しては概ね理解できたと思う。

さあ、3度目の正直となるだろうか?



2002.02.26 (Tue)

茨城県 某所

   天気:曇り
   気温:10.4 度
   風力:1(軽風)
茨城産カミキリ、バンブークエスト III 編

● ポイント

本日は夕方までに秋葉原へ行きたいので、若干採集時間を削るつもりだが、ここ2回ほどの短時間採集(約1時間)に比べれば多少ゆっくりできるだろう。

実はある河川敷に、以前から目をつけていた絶好と思われる竹林があるため、最終目的地をそこに設定し、途中で目ぼしいポイントがあればその都度「寄り道」をすることにする。

あそこなら、ハイイロヤハズカミキリやベニカミキリが絶対にいる気がしてならない。「3度目の正直」、今回で成果を出せなければ、もう「竹」なカミキリは諦めよう...。

ということで、まずは最終目的地の方向へ適当に車を走らせた。


● 寄り道

ジグザグ走りながら、ようやくポイント手前の町へ入る。

ここまでで、かなり多数の魅惑的な竹林を走行中に発見したが、時間がもったいないためブレーキをじっと我慢してきた。

しかしながら、いよいよ隣町へ入ろうかという時、道路のすぐ脇にドキっとするような竹林があり、さすがに我慢できなくなった。

思わず、私の右足は床に穴が開かんばかりの強引な力でブレーキペダルを踏み込んだ。

写真に撮ってしまえば、単なるボサボサのバンブーブッシュだが、なかなか手ごろな太さの竹が多い。

ハイイロヤハズカミキリは親指ほどの太さの材に入っているらしいので、ちょうど良いかもしれない。

とりあえず、林内へ突入し、枯れた竹材を探すことにした。

が、中の方は最近伐採された形跡があり、見通しは良くなっているのだが、そういうところに限ってキチンと掃除されており、目的とする材が見当たらない...。

しかたなく、一端林外へ出て、林縁部に転がっている「どうしようもない材」を割ってみることにした。

まずは、足下に落ちていた「親指」ほどのしょぼい材を割る。

表面はこのように、「細かい迷路」のような感じ。

剪定ばさみで、バッサリと両断する。


おおおっ!、内部に糞があるぞ。

この太さで、この糞なら、おそらくハイイロヤハズのものだろう(あくまで想像...)。

さあ、どうだ。


さらに表皮を剥がしてみると、内部にはびっしりと糞が詰まっているではないか。

おお、こりゃもしかして、採れちゃうのかな?

ほのかな期待感とともに、先端へ向かって食痕を追っていく。

ところが...。

が〜〜ん。

サナギのまま死んでいた...。

ああああ、なんということか。

十中八九、ハイイロヤハズだ。

まあ、これで竹の材採集を始めて以来、初めてそれらしい証拠を割り出せたわけで、割るべき材の状態が分かったような気がする。

言葉で表現するなら、「手の力でパリっと割れる」ぐらいの固さ、ということになる。

この感触を大事にして、次の材を探してみよう。

ちなみに、材の根元の方には、カミキリの食痕を利用するようにアリが巣くっていた。

きっと、持ちつ持たれつの関係なんだなろうな。

その後、いくつかの材を割ってみたが、それらしい形跡は発見できず。

このポイントを見切って、目的地を目指すことにした。


● 目的地

峠道を走り切り、ようやくポイントのある町へ入った。

しばらくして、ポイントへ到着。

おおお、あった、あった。

記憶の通り、存在感のある素晴らしい竹林が「デン」と居座っている。

さあ、これからが勝負だ。

今日は「勝ち」にいくぞ。

ハイイロヤハズが好むという「川沿いの竹林」。

まさに「文句あるか?」というほど、教科書通りのシチュエーションだ。


林内もなかなかである。

ここで気合いを入れ直し突入する。

入り口付近に、ほどよい枯れ具合の材があったため、試しに割ってみた。

うおっ!!、幼虫だ。

こりゃ幸先がいい。


頭部のアップ。

むむむ、ハイイロヤハズに違いない。

↑ テンションを上げるための知ったかぶり...

その通りテンションが急上昇してきた。

ゲーム「鬼武者」の主人公のように、枯れた竹材を「バッサ、バッサ」と斬り進む。

しかしながら、どれも空振りで中空部には糞がみられない。

う〜〜ん、なかなか思ったようにはいかないものだ...。

ちょっと休憩ということで一服。

しゃがんで地面を見ていると、ベニカミキリが入っていそうな比較的太い竹材が転がっているのに気がついた。

仕方ないから、試しに割ってみるか...。


● ベニカミキリ@オンパレード

ベリッと剥がしてみると。

あああああ!


っしゃ〜〜!

[ Purpuricenus temminckii (GUERIN-MENEVILLE, 1844) ]

ベニカミキリだ。

とうとうやった!

これが見たかったんだよぉ〜。

あああ、何ヶ月ぶりのカミキリ成虫だろうか。

中枢神経のさらに中枢から、ビンビンと「喜び」の信号が発せられる。そして、快感のホルモンである「ドーパミン」が、脳内で打ち上げ花火のようにバンバン出まくっている。

うれしい〜〜。

あああああ!

また出た!!


うっひっひ。


もう一丁!


いくらでも、


止まることなく、


湧き出てくる。


もう、言うことなし。


ほんの数分で...。

さあ、キリがないのでベニカミキリはこの辺で終了。

また採りたくなったら来るとしよう。

というわけで、今度はハイイロヤハズカミキリを狙って材を物色する。


● いざ、ハイイロヤハズ

十数分間、林内を彷徨ってみたが、どうも奥の方にはハイイロヤハズの好む材が見つからない。

ここで少々視点を変えて、林縁部を攻めてみることにした。

なるほど、林縁部には伐採された細い竹材がけっこう転がっているではないか。

ふ〜〜む。

半信半疑でそのうちの1本を手でへし折ってみる。手ごたえとしては、丁度よい固さであった。

が〜〜〜!!

いきなり出た!

「E=mc2」の公式をはるかに上回る大きなエネルギーで脳が爆発する。


ああああ、やっと採れた...。

これが待望のハイイロヤハズカミキリだ。

[ Niphona furcata (BATES, 1873) ]

もう分かったぞ。

この感触が薄れないうちに、もう1頭採っておかなければ。

今のうちに頭に刻み込んでおかねばならない。

近くにある「より細目の竹材」を再び割ってみる。

うりゃ〜!

ド・ビンゴ!!

さらに別の材からもう1頭追加を出し、ここでタイムアップ。

う〜〜ん、今日は大満足。

勇み足で車へ戻り、予定通り秋葉原へ行ったのであった。


● エピローグ

いや〜〜、今日は良かった。

見事に「3度目の正直」と相成った。

超普通種の材採集に成功したぐらいで少々大騒ぎし過ぎた感もあるが、本当にうれしかった。過去2回の惨敗は、微塵も残らないほど一気に吹き飛んでしまった。

さて、「竹」なカミキリにはもう1種、タケトラカミキリがいるが、まあ、それはそのうち挑戦するということで、今回をもって「バンブークエスト」はひとまず「クリア」したことにしよう。

最後に、アドバイスを頂いたカミキリ屋の方々に、この場を借りて心より御礼申し上げます。

本当にありがとうございました。


★★ 採集成績 ★★

ベニカミキリ  8 exs.
[ Purpuricenus temminckii (GUERIN-MENEVILLE, 1844) ]

ハイイロヤハズカミキリ  3 exs.
[ Niphona furcata (BATES, 1873) ]


記載日:2002.02.26
採集記(総目次)2002年度 採集記(目次)茨城県 カミキリ編 -4- へ続く....