2002年度 採集記(神奈川県 カミキリ編 -1-)

ラミーカミキリ [ Paraglenea fortunei (SAUNDERS, 1853) ]

昆虫採集をやっている人なら誰にでも、「普通種だが、どういう訳かなかなかお目にかかれない」ムシがいると思う。

当然、私の場合も多分に漏れず、「山ほど」そんなカミキリムシがいる。

そのうちの1種が、今回のターゲット(狙うまでもないかもしれないが...)である「ラミーカミキリ」だ。

ラミーカミキリのカラーリングは「ホワイト〜ライトブルー」に「ブラック」という美しいコントラストを基調とし、その上、あたかも「空を飛ぶ鳥」のような紋様が背部中央にプリントされているため、それはもう問答無用に「フォトジェニック」なカミキリムシと言っても過言ではない。そんなわけで、以前から採集&撮影してみたいカミキリムシの上位に位置していたのである。

さて、本種は関東以西に広く分布しているカミキリムシで、年々北進を続けているらしい。しかしながら、今のところ茨城県における記録はなく、ホストである「カラムシ」でさえ茨城県内で私は見掛けたことがない...。

まあ、「記録がない=いない」というわけではないが、いずれにしても私の腕前では出会う可能性は限りなくゼロに近いだろう。

ということで、本日は私の住む東京から最も近い採集可能県である「神奈川県」にてチャレンジしてみる運びとなった。



2002.05.28 (Tue)

神奈川県 某所

   天気:晴れ
   気温:27.3 度
   風力:1(微風)
神奈川産カミキリ、ラミー牧場 編

● びおすけさん

さて、今回は幸いにも心強い同行者がいる。

相互リンクをさせていただいている「びおすけ」さんだ。

学生時代は生物部に所属し、昆虫とのお付き合いが非常に長い大ベテランの方だ。ご本人は「ただ長くやってればいいというものでもない」とご謙遜されているが、いやいやそんなことはなく、ムシに関するコメントのひとつひとつに含蓄があり、明らかに「にわかカミキリ屋」の私とは重みが違う。

本日は私の仕事が神奈川であるため、その後ご一緒させていただくという予定となっている。

初めてお目にかかるということもあり、何もかもが本当に楽しみである。

それでは、さっさと仕事を片づけて、びおすけさんと合流することにしよう。


● 合流

昼まではかかると思っていた仕事が、予想外に捗り、予定よりもかなり早い時間にフリーの身となった。

早速、びおすけさんに電話をかけてみると、すでにポイントを一回りしてきた後で、ちょうど一服しているところのようだ。

大方の道順を教えてもらい、一路、びおすけさんの待つ駐車場まで車を走らせた。

ちなみに、本日のポイントでは、私の採りたい&撮りたいラミーカミキリを始め、ホシベニカミキリ、フタコブルリハナカミキリなど、普通種ながらも魅力に富んだカミキリムシが生息しているとのことだ。

ぐい〜〜んと最後の勾配を駆け登っていくと、小さな駐車場に びおすけさんらしき人が立っているのが見えた。こちらに向かって手を上げているぞ。

ああああ、きっとあの方だ。

ということで、難なく びおすけさんをゲット。滞りなく無事に初対面を果すことができた。

車を降りるやいなや、挨拶もそぞろに現場の状況を聞いてみると、先ほどのルッキングにてラミーカミキリをすでに数頭見掛けているとのことだ。

う〜〜ん、そりゃぁ私も早く見たいというものだ。一気に火の着いた私は、少々びおすけさんを急かしながら、そのポイントへ案内してもらうことにした。


● 採集開始

いや〜〜、それにしても今日は暑い。

予報によれば、「真夏日(30度以上)」になる地域もあるそうで、カミキリムシの採集には申し分のない条件だ。

まずは、とぼとぼと2人で歩いていく。

少し先の畑脇に、ラミーカミキリの好物である「カラムシ」がたくさん生えているという。

う〜〜ん、緊張してきた。

いるかなぁ?


びおすけさんが、「これがカラムシですよ」と教えてくれる。

ふ〜〜む、これがカラムシか...。


ラミーカミキリは、この生葉を後食するのである。

びおすけさんの言う通り、畑脇には多数のカラムシがみられるため、とりあえずそれらを端から順に見ていくことにしよう。

おおおおおおおっ!

いた〜〜!!

生涯初、ラミー発見の瞬間。

う〜〜ん、綺麗だ。

ただ、葉の陰になって写真の発色はいまいち...。

[ Paraglenea fortunei (SAUNDERS, 1853) ]

「やりました、お陰様で採れ(撮れ)ました」と、びおすけさんに報告すると...。

なんと、私が初ラミーの採集&撮影に夢中になっている間に「リンゴカミキリ」を隣のサクラでゲットされていた。それもけっこうな大型個体である。

う〜〜ん、さすがだ。

と、感心していたのもつかの間、手が滑って逃げられてしまったようだ...。

ああああ、もったいない。

ところがその後、数分も経たないうちに別の個体をゲットされ、その運の良さには本当に驚いた。

よし、とりあえず私はリンゴを後回しにして、もっとラミーカミキリを探すとしよう。この機会を逃せば、次がいつになるか分からない。

ざ〜〜っと、カラムシを見渡してみると....。

っしゃ!


ここにも。


うひひひ。


いくらでもいる。


いや〜〜、


収拾がつきません...。

ふぅ〜〜、とりあえずは満足。

この辺でちょっと気分転換するために他のカミキリムシも探してみよう。

至る所にソダがある。

大半はサクラ、ウメ、クリの枝と思われるが、なぜかカミキリムシがほとんどいない...。

ここでは、なんとかシナノクロフカミキリをゲット。


サクラの切り株には、ナガゴマフカミキリ。

こいつは写真を撮っている間に逃げてしまった...。

[ Mesosa longipennis BATES, 1873 ]

で、キスジトラカミキリ。

コメントは省略...。

[ Cyrtoclytus caproides caproides (BATES, 1873) ]

その後、私もリンゴカミキリを狙ってサクラの葉裏をまんべんなくルッキングしてみたが、見つけるには至らず。

単に首が痛くなっただけであった...。

ちなみに、これがリンゴカミキリが飛来するサクラ。


● 探索@散歩

さて、昼飯までは少々時間があるため、2人でホシベニカミキリを探すため「タブノキ」を見に行くことにした。

その途中にマテバシイの花が咲き誇っているのを発見。

早速、網を伸ばしてみる。


おっ!

多数のハナムグリに混じって、キイロトラカミキリが採れた。

神奈川県では、さほど個体数が多くないとのことなのでラッキーだ。

[ Demonax notabillis notabillis (PASCOE, 1862) ]

で、かつてホシベニカミキリが採集されたというタブノキを実際に見てみたのだが、これがどうにもいまひとつな雰囲気。

周囲に多数のギャラリーもいることから、早々に退散した...。

まあ、これは仕方がない。

今の時期、このエリアではクリの花が満開を迎えているようで、周辺はその香りで充満している。咲き誇っている以上、掬わないで帰るのはもったいないというものだ。

ということで、2人でスイープを開始する。

これがクリの花。


異常なまでにハナムグリが多く、少なくともカミキリムシの姿はなさそうだ。

フタコブルリハナカミキリはいないかなぁ、などと「ほのかな期待感」を抱きつつ、ネットを花へかぶせる。

数ヶ所を掬った後、ネットの中を覗いてみると、いくつかのカミキリムシが入っていた。

結局、クリの花では下記のカミキリムシを採集することができた。

キイロトラカミキリ
ヒメクロトラカミキリ
トガリバアカネトラカミキリ(写真)

[ Anaglyptus niponensis BATES, 1884 ]

むむむ、やはり実際に掬ってみなければ分からないんだなぁ。

びおすけさんも、めでたくキイロトラカミキリをゲットできたようだ。

さて、そろそろ腹も減ってきたので、一端コンビニへ買い出しへ行くことにした。

駐車場にてさくっと昼食を済ませ、私はまたまたカラムシをルッキング。

どうしても気になってしまうのだ...。

う〜〜ん、どこにでもいる。


神奈川ではこんなにたくさんいるのに、どうして茨城では全くいないのだろうか?

早く茨城へも北進してきてもらいたいものである。

待ってるからね。

ここで再び、びおすけさんと先ほどのリンゴカミキリのポイントへ行ってみる。

何を隠そう、私の未採集種なのだ。

その途中の路上では....。

30分ぐらいルッキングを続けただろうか、リンゴカミキリ特有のスリムなシルエットは私の視界へ一向に入ってこない...。

やつらも私の殺気を察したのかもしれない。

もうこうなったら、本日はとことん「ラミー」に染まろう。

ということで、殺気を殺しつつカラムシのもとへ。

が、殺気など殺す必要はなさそうだ...。


ガンガンの殺気にもかかわらず、どんどん飛来してくる。


この一帯は、まさに「ラミー牧場」だ。

さすがにお腹いっぱい...。

ラミーはここで「打ち止め」としよう。

びおすけさん発見のチャボヒゲナガカミキリ。

ミカンの立ち枯れにしがみついていた。


超普通種とのことだが、私は未採集種なため記念にいただいて帰ることにした。

ラッキー!

[ Xenicotela pardalina (BATES, 1884) ]

その後、もう一回リンゴカミキリを探してみたが、結局得ることはできず...。

というわけで、この辺でタイムアップ。

またの再会を誓い、びおすけさんと別れた。


● エピローグ

それにしても、ものすごい数のラミーカミキリと遭遇し、「いるところにはいる」ということを身をもって痛感した。

なにはともあれ、納得のいく写真を多数撮影することができ、本当に大満足な採集行であった。

何をおいても びおすけさんのお陰である。

ありがとうございました。 >びおすけさん

今度はどこかへ遠征しましょうね。


★★ 採集成績 ★★

ラミーカミキリ  20 exs.
[ Paraglenea fortunei (SAUNDERS, 1853) ]

キイロトラカミキリ  2 exs.
[ Demonax notabillis notabillis (PASCOE, 1862) ]

チャボヒゲナガカミキリ  2 exs.
[ Xenicotela pardalina (BATES, 1884) ]

ヒメクロトラカミキリ  2 exs.
[ Rhaphuma diminuta diminuta (BATES, 1873) ]

エグリトラカミキリ  1 ex.
[ Chlorophorus japonicus (CHEVROLAT, 1863) ]

キスジトラカミキリ  1 ex.
[ Cyrtoclytus caproides caproides (BATES, 1873) ]

シナノクロフカミキリ  1 ex.
[ Asaperda agapanthina agapanthina BATES, 1873 ]

トガリバアカネトラカミキリ  1 ex.
[ Anaglyptus niponensis BATES, 1884 ]

総計:8 種(含初採集 2 種) 30 頭


記載日:2002.06.02
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