2002年度 採集記(静岡県 ホソツヤ編)

今年最後の遠征

さあ、いよいよ今年最後の遠征だ。

今回は、あ〜さん、ピイさん、相棒、そして私の総勢4人という「最後を飾る」には申し分のないメンバー構成で出撃することになっている。

悪天候と積雪が予想されるが、ホソツヤルリクワガタを狙って雪山に挑もうと思う。



2002.12.22 (Sun)

静岡県 某所

   天気:雪のち曇り
   気温:多分氷点下
   湿度:非計測
   風力:1〜2
静岡県、私をスノボにつれてって 編

● 雪...

早朝の5時半、ほぼ予定どおりに4人で集合し、堅牢なピイ車に乗って一路ポイントの山を目指す。

道中、弱いながらも雨が降りっぱなしで現地の積雪に一抹の不安がよぎるものの、車内の熱気はボルネオよりも遥かに暑く、それで山の雪を溶かしてしまおうというほどのすごい盛り上がり方である。

普通はこんな日にムシ採りをするなんて「暴挙」以外の何物でもないが、このメンバーだと、そう思えなくなってくるのだから不思議でならない。

渋滞に見舞われることもなく、「火の玉」のような4人は登山口と思わしき場所に到着した。

う〜〜む...。

すごい積雪と霧で登山口がどこにあるのかすら分からない...。

下界とはあまりに異なる光景に少々足が怯むが、それぞれ「完全防備」の防寒体勢で雪をかき分け登山を開始した。

端から見たら、4つの「ダルマ」が歩いているようにしか見えないだろう...。

しばらく雪道を歩いていると、手ごろな位置に雪をかぶった材が転がっていたので叩いてみた。

宇宙のどこにでもありそうな赤枯れ材。

すると、永い眠りを遮られたような「ぎこちない動き」の寝ぼけたマイマイカブリがボトっと雪の地面に転がり落ちた。

うひょひょひょ〜。

もう採っちゃった。

[ Damaster blaptoides oxuroides SCHAUM ]

そして、さらに嬉しい悲鳴。

っしゃ〜〜!

ルイスオサムシじゃないか。


前回の神奈川県ではスカを喰らっていたので、「快感のマグマ」が湧き出んばかりに嬉しい。

[ Carabus lewisianus lewisianus BREUNING ]

もうこれで今日の採集は終わりにしてもいいぐらいだ。

って、何を採りに来たんだか...。


ヒメマイマイカブリ
[ Damaster blaptoides oxuroides SCHAUM ]



ルイスオサムシ
[ Carabus lewisianus lewisianus BREUNING ]

ちなみに、オサムシの雌雄は、前脚フセツの形態で見分けるらしい。

後日、びおすけさんに教えてもらった...。

さあ、先を急ごう。

とは言っても、雪に足を取られるため、なかなか歩くのも大変な状況...。

雪の無い道を歩くのに比べたら、おそらく2〜3倍の無駄なエネルギーを使っているに違いない。

まるで自衛隊の訓練だ...。

とてもホソツヤ材を探す気力はなく、地面をひたすら見て、いつの間にかオサムシ材を探している始末...。

そんなことをしているうちに、皆に置いてかれてしまった...。

あああああ、待って〜〜〜。

新雪に刻まれた足跡を追いかける。

雪を踏みしめる音だけが聞える中、ようやくあ〜さんに追いついた。

る:どうですか〜?

あ:きっついわ〜〜

その後、2人とも無言...。

所々に道の細い箇所があり、一歩足を踏み外せば「滑落」は必至という難所をバランスの悪い「安物のヤジロベエ」のような格好をしながら恐る恐るクリアしていく。

目的とするエリアへは、あとどれぐらい歩けばよいのだろうか。先が見えないだけに気が遠くなってしまう...。

とりあえず、4人が集まった場所にそれなりの斜面があったため、そこでしばらく格闘してみようということになった。

遠くを眺めると、もしかしたら「幻覚」かもしれないが、立枯れ混じりの「良好なアブラチャン」が見えるような気がするので、そこを目指して何度も転びながら斜面をよじ登る。

ビンゴ〜〜!

思わず頬擦りしたくなるような見事なホソツヤ材だ。

我を忘れて削りまくる。

しかしながら、衿の隙間から上がってくる「汗の蒸気」で眼鏡が曇ってなかなか削りにくい...。

完全防寒は良いのだが、服の中と外気との温度差は「40℃」近くあるのではないだろうか...。

そんな苦労をしつつも出てきたのは「こいつだけ」であった...。

ということで、この時点で私の「ホソツヤ採りたい遺伝子」は失活し、「オサムシ採りたい遺伝子」のスイッチがオンになったまま壊れてしまった...。

ひたすら古い腐朽材を求め、転びながら雪の斜面を彷徨う。

そして、ようやく「オサムシの充満」を予感させる材と巡り会った。

サウナに1時間ぐらい入った後のようにフラフラしながら、かつ思いっきり眼鏡を曇らせながらオノを振り下ろす(← 危ないったらありゃしない...)。

がお〜〜〜。


がおがお〜〜〜。

[ Carabus lewisianus lewisianus BREUNING ]

私のしょぼい見立てながら、材の隅っこから合計6頭ものルイスオサムシがこぼれ落ちてきた。

「棚からぼたもち」ならぬ「材からオサムシ」、何の駄洒落にもなってないところが私的に大吉。

ということで、私の「採集満腹中枢」は閾値を超え、私は単なる「雪山にいる人」になってしまうのである。


ミヤマジュウジアトキリゴミムシ
[ Lebia sylvarum BATES ]
このゴミムシ、ナイスかも! >あ〜さん

さて、すっかり疲労の限界を超えた駄目駄目な私。

その後、記憶にある出来事といえば、あ〜さんがトウカイコルリ1♀を割り出したことと、このゴミムシと極小のゾウムシをあ〜さんから貰ったことぐらいだろうか。

で、朦朧とした意識のまま車へ乗り込み、途中でピイさんと運転を替わり、ふと気がついたら高速のサービスエリアでメシを食っていたという感じかもしれない。

もうこれ以上後のことは覚えていないのであった。 ← んなわけないよな...。

面倒くさがらず、採集記は最後まで責任をもって書きましょう...。 >私


● エピローグ

ということで、今年最後の遠征は「日帰り南極越冬隊かも」というわけの分からない強行軍となってしまったが、ルイスオサムシを採れたので個人的には満足な結果であった。

いずれにしても、次回はスノボ持参で行かねばならないだろう。

なにはともあれ、お疲れさまでした。 >ALL


★★ 採集成績 ★★

ルイスオサムシ 8 exs.
[ Carabus lewisianus lewisianus BREUNING ]

ヒメマイマイカブリ 1 ex.
[ Damaster blaptoides oxuroides SCHAUM ]

ミヤマジュウジアトキリゴミムシ 1 ex.
[ Lebia sylvarum BATES ]

他、ゾウムシの一種 1 ex.

ホソツヤルリクワガタ 0 ex.
[ Platycerus kawadai FUJITA et ICHIKAWA, 1982 ]


記載日:2002.12.31
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