2002年度 採集記(栃木県 カミキリ編 -1-)
2002.07.14 (Sun)

栃木県 某所

   天気:晴れ時々曇り
   気温:27.0 度
   風力:3〜4
● 真剣勝負

さあ、再びポイントへ戻ってきた。午後からは本格的に勝負の時間となる。

幸い、雨の降る気配は全くなく、相変わらず風がやや強いだけだ。しかし、その風も常時吹き荒れているというわけでなく、間欠的であり、カミキリムシの飛来を完全にシャットアウトする類いのものではない。

まずは、何をおいてもヤマブドウをチェックしたい。

すでに本命のハセガワトラカミキリがいるかもしれないという、強迫観念にも似た感覚が頭の中を支配する。

ああああっ!!!

と思ったが、アカネトラカミキリだった...。


う〜〜ん、ぬか喜び...。


死ぬほどいます...。


こちらは頑張ってます...。

[ Brachyclytus singularis KRAATZ, 1879 ]

アカネカミキリに至っては、比較にならないほどベタベタと張り付いている始末。

いくら未採集種であったとは言え、ここまでいるとげっそりする...。

しかし、次回いつ採れるか分からないので、初回である今回はある程度の数を確保しておいた。

人の気配、それも「殺気」があると本命が飛来しないかもしれないので、他の材を見回ることにする。

むむむ、シラカバの伐採木上に見慣れないトラカミキリがいる...。

やつも私に気がついたのか、ぱっと体を固めて身構えている。

目線を合わせながら、じ〜〜っとデジカメを背後から近づける。

逃げるなよ〜〜。

よし、やった〜〜!

ツマキトラカミキリじゃないか。

生涯初採集。


くっ〜〜、いいカミキリ。

立て続けに2頭ゲット。

トラカミキリ類の場合、今まで見たことのない上翅の紋様が目に入った瞬間に、脳の中で麻薬様物質がスパークするのである。

そして、今度はやっと念願のカミキリムシとの出会い(=自力採集)が叶った。

嗚呼、ヤツメカミキリ。

嬉しいことにたくさんいる。


普通種だが、めっちゃうれしい。


ああああ、感激...。


ああああ、涙...。

[ Eutetrapha ocelota (BATES, 1873) ]

感動の波に酔いしれている最中、向こうの方からSさんが私を呼んでいるのに気がついた。

「これ写真撮りますか〜〜?」

は〜〜い、撮ります。ということで、速足で行ってみると...。

だぁぁぁ〜〜!


なんと、モミの枯れ枝上にヘリグロアオカミキリがちょこんと静止していた。

約3年ぶりの出会いとなる。

ここの個体はやや黒っぽく、小さい。

[ Saperda interrupta GEBLER, 1825 ]

勢い余って地面に落ちてしまったが、かろうじて逃げられずに採ることができた。

ありがとうございました。 >Sさん

さらに、近くの材で未採集種を追加。

一見、シラケトラカミキリと区別がつかないが、これはシロオビトラカミキリという種類。

シラケトラとは、前胸背板と上翅後端部の形態が微妙に異なる。

[ Clytus raddensis PIC, 1904 ]

再び、ポイント内を巡回していると、細目のヤマブドウの枯れ蔓があり、そこにスレンダーなカミキリムシが静止していた。

フトオビカンボウトラカミキリ。

やっとベストショットが撮れ、「指つかみ写真」とお別れすることができた。


その後、本種は近くにあるカエデか何かの立ち枯れに、大量にベタベタ張り付いていることが分かった。

南会津産は黄色い個体が多かったが、ここのは白いのばかりだ。

[ Hayashiclytus acutivittis inscriptus (BATES, 1884) ]

で、駄目押しのニセヤツボシカミキリ。

ハルニレの切り株で産卵中。

ちなみに、けっこうたくさんいる。

[ Saperda mandschukuoensis BREUNING, 1943 ]

さて、もう何巡しただろうか?、その度に例のヤマブドウを丹念に観察するのだが、一向に「流星」は現れない。

時間はすでに午後3時半を過ぎてしまっている...。

相棒はここで疲労が限界に達しリタイア。車の中で休むことに。

う〜〜ん、さすがに駄目かなぁ。

条件的には、晴れたり曇ったり、時折強い風が吹き抜けるという感じで、終始大きな変化はないのだが...。

Sさんに聞けば、ハセガワトラが採れた日は、だいたい午後3時ぐらいに飛来していたとのことで、もう少し粘ってもいいか。

よし、午後4時まで待ってみて駄目なら諦めよう。

あと30分ということで、ヤマブドウの前に張って飛来を待ってみたが、白い流星はとうとうそのエレガントな姿を殺気立った私に見せることはなかった...。


● エピローグ

う〜〜ん、結局、大本命のハセガワトラカミキリとは出会えなかった。

さすがは「珍品」と呼ばれるだけのことはある。

まあ、そう簡単に採れてしまってもハングリーさが無くなってつまらないというものだ。「幸運の女神の微笑み」はまた次回に持ち越しである。

そう負け惜しみを言いつつ、今回の採集記を終えるとしよう。

それにしても「最強のカミキリポイント」にて、数々の未採集種をゲットできたことは一生忘れられない経験であった。本当はこれだけでも十分な成果である。

今回快く情報を提供していただいたSさん、そしてずっと付き合ってくれた相棒、お疲れさま、そしてありがとうございました。


★★ 採集成績 ★★

アカネカミキリ  28 exs.
[ Phymatodes maaki (KRAATZ, 1873) ]

アカネトラカミキリ  17 exs.
[ Brachyclytus singularis KRAATZ, 1879 ]

ナカネアメイロカミキリ  7 exs.
[ Obrium nakanei OHBAYASHI, 1959 ]

エゾサビカミキリ  6 exs.
[ Pterolophia tsurugiana (MATSUSHITA, 1934) ]

ニセヤツボシカミキリ  5 exs.
[ Saperda mandschukuoensis BREUNING, 1943 ]

ヤツメカミキリ  5 exs.
[ Eutetrapha ocelota (BATES, 1873) ]

フトオビカンボウトラカミキリ  4 exs.
[ Hayashiclytus acutivittis inscriptus (BATES, 1884) ]

オオヒメハナカミキリ  3 exs.
[ Pidonia grallatrix (BATES, 1884) ]

ゴマダラモモブトカミキリ  3 exs.
[ Leiopus stillatus (BATES, 1884) ]

ハンノアオカミキリ  3 exs.
[ Eutetrapha chrysochloris (BATES, 1879) ]

ヒトオビアラゲカミキリ  3 exs.
[ Rhopaloscelis unifasciatus BLESSIG, 1873 ]

シロトラカミキリ  2 exs.
[ Paraclytus excultus BATES, 1884 ]

ツマキトラカミキリ  2 exs.
[ Xylotrechus clarinus BATES, 1884 ]

ウスイロトラカミキリ  1 ex.
[ Xylotrechus cuneipennis (KRAATZ, 1879) ]

カラカネハナカミキリ  1 ex.
[ Gaurotes doris BATES, 1884 ]

キスジトラカミキリ  1 ex.
[ Cyrtoclytus caproides caproides (BATES, 1873) ]

キッコウモンケシカミキリ  1 ex.
[ Exocentrus testudineus MATSUSHITA, 1931 ]

クワサビカミキリ  1 ex.
[ Monochamus grandis (WATERHOUSE, 1881) ]

シナノクロフカミキリ  1 ex.
[ Asaperda agapanthina agapanthina BATES, 1873 ]

シロオビトラカミキリ  1 ex.
[ Clytus raddensis PIC, 1904 ]

ヒメマルクビヒラタカミキリ  1 ex.
[ Asemum punctulatum BLESSIG, 1872 ]

ヘリグロアオカミキリ  1 ex.
[ Saperda interrupta GEBLER, 1825 ]

総計:22 種(含初採集 7 種) 98 頭


記載日:2002.07.16
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