2003年度 採集記(神奈川県 カミキリ編 -1-)

アサカミキリ

カミキリムシを始めたころから、このムシにはとても興味があった。

と言うのも、本種は「草原」という解放感あふれる環境に生息し、ほど良い小ささで、モノトーンなカラーリング...、そう、関することすべてがお洒落なのだ。

当然、機会があればいつかは採ってみたい。

個人的には、そんな「良いムシ筆頭」のカミキリムシなのであった。

で、今回、いよいよその機会が得られたため、恥ずかしながらこっそり挑戦してみることにした。

果たして私のようなど素人に採集できるのだろうか?



2003.06.21 (Sat)

神奈川県 某所

   天気:晴れ
   気温:32.2 度
   湿度:非計測
   風力:2〜3
神奈川県でも へなちょこカミキリロード... 編

● 前夜

今回は虫友の びおすけさん、そのまた虫友(蝶屋)の うめちゃん氏との採集行だ。

普段単独採集ばかりやっている私にとって、同行者のいる採集はやはり嬉しい。出発前の気分の盛り上がり方が明らかに違う。

ちなみに、3人ともアサカミキリにメロメロになっているのは言うまでもなく、各自がそれぞれの「オレの夢」を持って挑むことになる。

ああああ、とにもかくにも楽しみだ。

さて、私は若干の遠路を強いられるため、前夜に東京を発つことにした。

夜の高速をひたすら走り続け、深夜にポイント付近へ到着。

で、ひとまず爆睡...。

しばし「オレの夢」の夢でも見るとしよう...。


● アサ@朝

チュンチュン、ホーホケキョ...。

野鳥の声で目が覚めた。 ← 確実にウソ、この私がそんな「優雅」に目覚めるわけがない...

とりあえず空腹を満たし、その辺をルッキングしてみるが、なんだか朝っぱらから「ムシ蒸し」していて良い感じだ。

で、何の変哲もないソダに神奈川なヨツキボシカミキリがとまっていたので、ここは黙って泣きゲットしておく...。

その後、ほぼ予定時刻に「びお・うめ」コンビと無事に合流。

一路、アサカミキリの棲む草原を目指すこととなった。

で、どか〜〜んと到着...。

うひょ〜〜〜!!

草原...。

早速、アサカミキリ探索へ出発!

本種のホストはアザミらしいので、まずはそれを探してみる。

すると日当たりの良い場所にポツポツとアザミが生え、なんとなく雰囲気の良さそうな一帯を発見。

とりあえず、手前から順に観察していくと...。

ああああああああ...。

いきなり「いた」...。

慎重に手を伸ばす。

アザミのトゲがちょっと痛かったが、難なくゲット!

早くも「オレの夢」ここに成就!!

まったく心の準備もなしに採れてしまったので、正直、拍子抜けかも...。

それにしても、なんというエレガントなカミキリムシなのだろう。

もう一目でメロメロ...。

[ Thyestilla gebleri (FALDERMANN, 1835) ]

図鑑でみるより何百倍も、いいや何千倍も良いカミキリムシだ。

そこに何も知らない びおさん登場。

で、私のアサを見て仰天...。

頭の中がおそらく「※■○▲、※■○▲...」のようになっていると思われる びおさんに、「日当たりの良い、こんな感じのアザミにいましたよ」と状況を説明...。

で、その直後.....。

わ〜〜お!

また採れた..。

今にも飛びそうだったため生態写真は撮れなかったが、今度のは黒い個体でこれまた渋い。


ヒマワリの種そっくりだ。

ああああ、嬉しい。

さて、道沿いの目ぼしいアザミは全部見てしまったので少々移動してみる。

その途中、うめちゃん氏と出会ったが、なんと氏もすでにアサをゲット済みとのこと。

そして、歩きながら採れた際の状況を聞いてみると、なるほどなかなか狙いのつけ所が鋭い。

そういえば、蝶屋さんがど珍品のカミキリムシをゲットしたという話は今までにも何度か聞いたことがある。

蝶屋さんは植物を見慣れているだけあって、やはりセンスが良いのかもしれない。

さあ、私も追加を見つけねば。

しばらく歩いたところに再び良さそうな一帯を見つけたので突入する。

ちょっと勇気がいるかも...。

ガサガサ、あああ痛て!、ガサガサ、痛ててててて...。

時折四肢に突き刺さるアザミのトゲが難儀...。

そんな痛い思いをしたのだが、この斜面ではアサを発見できなかった...。

気を取り直して、さらに先へ行くと再び良さそうな一角を見つけることができた。

幸い、モッコリといい感じのアザミも点在しており、気合いを入れてルッキングを再開する。

ああああ!

いた〜〜〜〜!

これまた清楚なグレーの個体。

そして驚いたことに、この付近で立て続けに3頭を追加することができた。

午前中だけで合計5頭も採れてしまった...。

う〜〜〜〜〜〜ん、満足!!

幾分、精神的にも余裕ができたため、ここで腹ごしらえ&水分補給のため一端車まで戻ることにした。

その道すがら、飛翔中のヘリグロリンゴとラミーをネットイン...。

う〜〜む、今日はなんだか調子が良いかも...。

駐車場でむしゃむしゃ食べながら近辺をうろついてみると、どうでもいい葉っぱや広葉樹の立枯にけっこうムシが着いている。

カミキリムシこそいなかったものの、コメツキ、コメツキダマシ、ハムシ、ゾウムシなどを採集することができた。

ということで、再度アサ探しへ。

それにしても、めちゃくちゃ暑い...。

チョウ様や...、


カメムシ様も...、

あまりの暑さに人(虫)生疲れ気味のようだ...。

で、朝一番のルートをもう一度巡回し直してみたのだが、何やらムシの気配がなくなっている...。

梅雨とは思えないほどの「猛暑」に引っ込んでしまったのだろうか?

そんな炎天下を歩き回る私もそろそろ限界が近づいてきた。

日陰を求めて歩いていると、向こうの方で「びお・うめ」コンビが地べたに座り込んで休憩していた。

3人で一服しつつ今後の予定について話し合う。

で、ここの他にも見たいポイントがあるということで、車で移動することになった。


● 放浪の旅...

まず、一番最初に目に留まったのは満開のクリの花。

これは問答無用で「掬い」だろう。

しかしながら、何度かネットをかけてみて採れたカミキリムシは、トゲヒゲトラぐらいでかなりしょぼい...。

あとはコガネムシ、ハナムグリ、その他「〜〜様系」ばかり...。

う〜〜〜〜〜ん、こりゃだめかな?

と思った矢先、左の方からものすごいスピードで飛んでくる甲虫を発見。

幸いなことに、目の前のクリの木の私からも見える位置にとまった。

そのムシの全体像は見えないが、脚が長くてスレンダー、明らかに大型のカミキリムシだ。

う〜〜ん、アオかオオアオしか考えられないぞ!

一気に緊張感が高まる。

ただ、ネットをかけるにはちょっとしんどい場所な上に、ヤツも動く気配がない...。

仕方ないので、イチかバチか、すくい上げるような格好でネットをかけてみることにした。

ガサゴソ、ガサゴソ...。

入ったかな?

が〜〜〜〜〜〜ん...。

網の中は空っぽだった...。

そして、木からも姿を消してしまった...。

またまた、が〜〜〜〜〜〜ん...。

ああああああああ、涙...。

で、結局、ここで採れたのはトゲヒゲトラと...。

こいつのみ...。

アオだったはずが、ベニになってしまった...。

それも、触角欠け...。

まあ、素人っぽくていいか...。

[ Purpuricenus temminckii (GUERIN-MENEVILLE, 1844) ]

ということで、さらに移動する。

その後、びおさんが目をつけたポイントにてアオカミキリ探索 → びおびお林道にて叩き網という感じで回ってみたが、どこもあまりの「酷暑」にムシの勢いが今一つであった...。

でも、びおさんゲットのハスオビヒゲナガカミキリを貰ったので結果はオーライかも。

先を行く うめちゃん氏。

さて、この段階で全員体力的にボロボロなのだが、帰路につくには少々中途半端な時間。

ということで、もう一度アサカミキリを採りに行くこととなった。


● アサ@夕

最後の力を振り絞って、アザミポイントを巡回する。

しかしながら、やはりムシの姿には乏しい...。

う〜〜ん、無謀だったかな...。

肩をガックリ落とした瞬間...。

あああああああああ...。

ど〜〜ん!

頭の中で富士山が大噴火!

いてくれてありがとう!

ああああ、良かった〜〜〜。

で、この1頭を摘んだ数秒後、いきなり目の前にもう1頭飛んできた...。

ええええ、マジ?

これも落とさずにゲット!

ど〜〜ん!、ど〜〜ん!、ど〜〜ん!

という感じで、およそ30分の間に合計5頭採集することができた。

ふ〜〜む、やっぱり気温が下がってくると活動するんだな。

飛来がおさまった辺りで潮時と判断。

駐車場へ戻ることにした。

道沿いの植物を見ながら歩いていると、オレンジ色のカミキリムシが多数乱舞している光景が目に入った。

おおおお、リンゴちゃんたちだ。

無心でネットを振る。

ど〜〜ん!

またまた頭の中で富士山が大噴火!

ヒメリンゴカミキリ@生涯初。

[ Oberea hebescens BATES, 1873 ]

本種はソボリンゴに似るが、雌雄ともに触角が上翅端を越えることで判別可能。

う〜〜ん、今回は2種も初採集が叶った。

で、フタを開けてみると、アサカミキリは3人で30頭。

初挑戦にしてはなかなかの成果ではないだろうか。

ということで、日に焼けた肌がなんとなくこそばゆい3人はホクホクと帰っていったのであった...。

また来週...。 ← 行けないって...。


● エピローグ

感無量...。

それぞれの「オレの夢」がバランス良く実現した。

こんなハッピーエンドな採集も珍しいかもしれない。

本当にいろんな意味で「熱い」一日であった。

またご一緒しましょう。 >びお・うめコンビ

末筆ながら、今回の採集行に際しアドバイスをいただいた方に心より感謝いたします。

ありがとうございました。


★★ 採集成績 ★★

カミキリムシ科:Cerambycidae

● ハナカミキリ亜科:Lepturinae

ツヤケシハナカミキリ 1 ex.
[ Anastrangalia scotodes scotodes (BATES, 1873) ]

● カミキリ亜科:Cerambycinae

トゲヒゲトラカミキリ 2 exs.
[ Demonax transillis BATES, 1884 ]

ベニカミキリ 1 ex.
[ Purpuricenus temminckii (GUERIN-MENEVILLE, 1844) ]

● フトカミキリ亜科:Lamiinae

アサカミキリ 10 exs.
[ Thyestilla gebleri (FALDERMANN, 1835) ]

ヘリグロリンゴカミキリ 4 exs.
[ Nupserha marginella (BATES, 1873) ]

ナカジロサビカミキリ 3 exs.
[ Pterolophia jugosa jugosa (BATES, 1873) ]

ヒメリンゴカミキリ 2 exs.
[ Oberea hebescens BATES, 1873 ]

ラミーカミキリ 1 ex.
[ Paraglenea fortunei (SAUNDERS, 1853) ]

ヨツキボシカミキリ 1 ex.
[ Epiglenea comes comes BATES, 1884 ]

総計:9 種(含初採集 2 種) 25 頭

オサムシ科:Carabidae

● ナガゴミムシ亜科:Pterostichinae

ニセマルガタゴミムシ 1 ex.
[ Amara congrua MORAWITZ ]

● ゴモクムシ亜科:Harpalinae

オオホシボシゴミムシ 1 ex.
[ Anisodactylus sadoensis SCHAUBERGER ]

● アオゴミムシ亜科:Callistinae

アトボシアオゴミムシ 1 ex.
[ Chlaenius naeviger MORAWITZ ]

ハネカクシ科:Staphylinidae

クロガネハネカクシ 1 ex.
[ Platydracus inornatus (SHARP) ]

コガネムシ科:Scarabaeidae

オオセンチコガネ 1 ex.
[ Geotrupes auratus MOTSCHULSKY ]

ヒメアシナガコガネ 1 ex.
[ Ectinohoplia obducta (MOTSCHULSKY) ]

コメツキダマシ科:Eucnemidae

オニコメツキダマシ 2 exs.
[ Hylochares harmandi FLEUTIAUX ]

コメツキムシ科:Elateridae

クロツヤクシコメツキ 2 exs.
[ Melanotus annosus CANDEZE ]

クロコハナコメツキ 1 ex.
[ Paracardiophorus opacus (LEWIS) ]

テントウムシダマシ科:Endomychidae

ルリテントウダマシ 1 ex.
[ Endomychus gorhami (LEWIS) ]

ハムシ科:Chrysomelidae

アカクビナガハムシ 1 ex.
[ Lilioceris subpolita (MOTSCHULSKY) ]

アカクビボソハムシ 1 ex.
[ Lema diversa BALY ]

ゾウムシ科:Curculionidae

カグヤヒメキクイゾウムシ 1 ex.
[ Pseudocossonus brevitarsis WOLLASTON ]

ヒメシロコブゾウムシ 1 ex.
[ Dermatoxenus caesicollis (GYLLENHAL) ]

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記載日:2003.06.23
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