2003年度 採集記(茨城県 カミキリ編 -10-)

ネキダリス@茨城県

さて、前回、前々回と贅沢な採集をしてしまったため、いよいよ今回から「宿題」にとりかかろうと思う。

で、その第一弾は「茨城県産」のネキダリス。

カミキリムシをやっている以上、自分のフィールドでこいつを採らないといつまで経っても落ち着かない...。

ということで、今回は「ネキ」狙い撃ちでございます...。



2003.07.15 (Tue)

茨城県 某所

   天気:晴れのち曇り
   気温:23.6 度
   湿度:非計測
   風力:1〜2
茨城県、へなちょこカミキリロード... 編(7)
特別編:「常陸の國」のネキダリス

● 予想外...

昨晩の天気予報ではあまり良いことを言っていなかったのだが、今日は朝から強い陽射しが降り注ぐ絶好の採集日和...。

また、星座と血液型占いはいずれもグッドであり、なんだか胸騒ぎがする。

ちなみに、占いによれば「自分の判断で行動して吉」らしい。

ということで、昼過ぎに職場を飛び出す...。

本日の採集のお供...。

頼むぞ、フィル...。

一応、ここでおさらい。

茨城県では、これまでに2種類のネキダリス(ホソコバネカミキリ属)が採集されている。

オオホソコバネカミキリ(通称ソリダ)と、ヒゲジロホソコバネカミキリ(通称オダイ)だ。

で、オダイは私にはちょっと荷が重すぎるので、今回の狙いは他県にて採集経験のある「ソリダ」ということになるだろう。

さあ、ポイントに到着だ。

天気、いいね〜!


● 狙い撃ち!

適当な場所に車を停め、完全防備で鬱蒼と茂る林内へ突入。

冬場の下見と友人からの「立枯情報」を参考に、ブナの立枯を巡回していこう。

なんか暗いね...。

で、最初に見たブナ立枯には小さなゴミムシ(↓)が着いていた程度...。


メダカチビカワゴミムシ
[ Asaphidion semilucidum (MOTSCHULSKY) ]

なかなか良いゴミムシかも...。

で、次の立枯へ行ってみる。

さあ、どうよ?

基本的にソリダは比較的新しい立枯の樹皮の禿げた部分に♀が産卵するそうなので、そのような箇所を入念にルッキングする。

腰の高さまで茂った笹をかき分けながら立枯の回りをぐる〜〜〜〜っと舐めるように見ていくと...。

あああああああ!

あれは絶対そうだ!!

いたっ、いたっ、いたぁ〜〜!!

ちょうど2mほどの高さのところで、大型の♀がゆっくりと産卵場所を探している。

ああああ、どうしよう...。

撮る?、それとも採る?

う〜〜〜ん、今回だけはまず採っちまおう...。

足掛け3年追い求めた貴重な茨城産、背に腹は代えられない...。

垂直にそびえ立つ立枯に対して、微妙な角度でネットを当て、微妙な力加減でヤツをこそぎ落としてみることにした。

万が一スプリングが跳ねてしまったらどこかに飛ばしてしまいかねない「かなりリスキー」な方法だが、手が届かない以上それしかない。

ゴリゴリという樹皮の凹凸を擦る小さな振動が、シャフトを握る手まで伝わってくるのが判る。

よ〜〜し、跳ねるなよ...。

ああああああああああ、跳ねた...。

スローモーションで観る「月面宙返り」のように、ヤツが回転しながらゆっくり落ちていく...。

が、着地は運良くネットの底でばっちり決まり、10点満点!のナイスキャッチ。

ああああ、採った...。

やった、やったんだ...。

とうとう採ったんだ...。

ああああ、久々に手が震える....。

[ Necydalis solida BATES, 1884 ]

しばらく放心状態...。

で、その後、この立枯では追加は得られなかった。

さあ、まだまだ下見してある立枯は何本かある。

もう一丁いってみよう。

これはどうかな?

ちょっと古すぎるのか、ネキの姿はない...。

その近くにあるもう一本に視線を移す。

あああああああ!

今度は落ち着いて「採る前に撮る」が、ちょっと遠い...。

あれは...、まさしく...。


別角度から...。

ただ、コイツをどうやって採るかが問題だ。

下の写真を見ても分かる通り、キツツキか何かが開けた穴に半分入り込んで産卵しているのである...。

下手に突っついたらどこかへ落としてしまうだろう。

う〜〜ん、でもやってみるか...。

一応、念のため、足下にビーティングネットを置いて、先程と同じように微妙な角度でネットを当ててみた。

が、心配していた自分が馬鹿と思えるほど簡単にネットの底へ転がり落ちてきた。

なんと呆気ない...。

うっしっし...。

今日はツイているなぁ...。

やったぞ、フィル!


オオホソコバネカミキリ
[ Necydalis solida BATES, 1884 ]

ああああ、感無量...。

ああああ、涙...。

今日ここへ来て良かった、そして、マメに下見してきて良かった...。

ああああ、ムシ採りという趣味は本当に素晴らしい。

他の趣味では味わえない「独特の感動」がある。

あああ、とにかく今は涙...。

〜 しつこいので後略...。

さて、その後、2〜3本の立枯を巡回してみたが、残念ながら追加はなし...。

また、♂がまったくいないことから、発生後期なのかもしれない。

ということで、下山...。

寄り道しながら帰ろう。

イワガラミ...。


チャボハナカミキリ
[ Pseudallosterna misella (BATES, 1884) ]


アカハナカミキリ
[ Corymbia succedanea
(LEWIS, 1879) ]

ヨツスジハナカミキリ
[ Leptura ochraceofasciata
(MOTSCHULSKY, 1861) ]


材...。


まいど!


まいど!


まいど!


まいど!


ん!


君はだれ??

う〜〜ん、新種かなぁ?

触った感じが軟らかいので、テネラルかな?

検索図説で調べてみたけど、シロオビチビ??

ああああ、すぐに〆なきゃ良かった...。

↓ ここでの主な成果...。


アオスジカミキリ
[ Xystrocera globosa
(OLIVER, 1795) ]

ビロウドカミキリ
[ Acalolepta fraudatrix
fraudatrix
(BATES, 1873) ]


シロオビチビカミキリ(テネラル)
[ Sybra subfasciata subfasciata (BATES, 1884) ]


エリザハンミョウ
[ Cicindela elisae MOTSCHULSKY ]


マルガタツヤヒラタゴミムシ
[ Synuchus arcuaticollis (MOTSCHULSKY) ]


ヒメオオキバハネカクシ
[ Oxyporus basicornis CAMERON ]


チャマダラヒゲナガゾウムシ
[ Acorynus latirostris
(SHARP) ]

セマルヒゲナガゾウムシ
[ Phloeobius gibbosus
ROELOFS ]

また来週...。


● エピローグ

ということで、久しぶりに熱くなってしまった...。

ともかく、やっとのことで茨城県産のネキダリスを1種採集できた。

今回の採集行は生涯忘れることはないだろう。

本当に嬉しかったし、稀に見る運の良さだった。

さあ、次回は何を狙い撃つかな...。


★★ 採集成績 ★★

カミキリムシ科:Cerambycidae

● ハナカミキリ亜科:Lepturinae

アカハナカミキリ 1 ex.
[ Corymbia succedanea (LEWIS, 1879) ]

チャボハナカミキリ 1 ex.
[ Pseudallosterna misella (BATES, 1884) ]

ヨツスジハナカミキリ 1 ex.
[ Leptura ochraceofasciata (MOTSCHULSKY, 1861) ]

● ホソコバネカミキリ亜科:Necydalinae

オオホソコバネカミキリ 2 exs.
[ Necydalis solida BATES, 1884 ]

● カミキリ亜科:Cerambycinae

アオスジカミキリ 1 ex.
[ Xystrocera globosa (OLIVER, 1795) ]

ウスイロトラカミキリ 1 ex.
[ Xylotrechus cuneipennis (KRAATZ, 1879) ]

エグリトラカミキリ 1 ex.
[ Chlorophorus japonicus (CHEVROLAT, 1863) ]

● フトカミキリ亜科:Lamiinae

ビロウドカミキリ 2 exs.
[ Acalolepta fraudatrix fraudatrix (BATES, 1873) ]

アトジロサビカミキリ 1 ex.
[ Pterolophia zonata (BATES, 1873) ]

シロオビチビカミキリ  1 ex.
[ Sybra subfasciata subfasciata (BATES, 1884) ]

ヒメヒゲナガカミキリ 1 ex.
[ Monochamus subfasciatus subfasciatus (BATES, 1873) ]

総計:11 種(含初採集 1 種) 13 頭

ハンミョウ科:Cicindelidae

エリザハンミョウ 1 ex.
[ Cicindela elisae MOTSCHULSKY ]

オサムシ科:Carabidae

● ミズギワゴミムシ亜科:Bembidiinae

メダカチビカワゴミムシ 2 exs.
[ Asaphidion semilucidum (MOTSCHULSKY) ]

● ナガゴミムシ亜科:Pterostichinae

マルガタツヤヒラタゴミムシ 1 ex.
[ Synuchus arcuaticollis (MOTSCHULSKY) ]

ハネカクシ科:Staphylinidae

ヒメオオキバハネカクシ 1 ex.
[ Oxyporus basicornis CAMERON ]

ヒゲナガゾウムシ科:Anthribidae

セマルヒゲナガゾウムシ 1 ex.
[ Phloeobius gibbosus ROELOFS ]

チャマダラヒゲナガゾウムシ 1 ex.
[ Acorynus latirostris (SHARP) ]

ゾウムシ科:Curculionidae

ガロアアナアキゾウムシ 3 exs.
[ Dyscerus galloisi KONO ]


記載日:2003.07.16
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