2003年度 採集記(長野県 カミキリ編 -3-)

秋の遠征第一弾

今回は長野県在住の「Sさん」が地元のポイントを案内してくれるとのことで、お言葉にどっぷりと甘えさせていただく採集行。

最初にメールをいただいて以来、とても楽しみにしていた遠征だ。

Sさんのお話によると、毎年ご近所でアカジマトラがコンスタントに発生しているそうなのである。

アカジマトラと言えば山梨県に私でも知っている有名なポイントがあるものの、有名なだけに競合者が多いことが玉にキズで、総じてタイミングの悪い私に採れる代物ではないと半ば諦めていたカミキリムシであった...。

これは貴重なチャンス、行ってみるしかないだろう。

他にも足を伸ばせば楽しめるポイントがあるそうだが、とりあえずの目標をアカジマトラとだけして、一路、長野県を目指した。



2003.09.14 (Sun)

長野県 某所

   天気:晴れ
   気温:26.4 度 
   湿度:非計測
   風力:1〜2
長野県でも へなちょこカミキリロード... 編 (2)

● 「ぜ〜〜んぶお任せコースな採集」

早朝、東京の自宅をこっそりと発ち、ガラガラに空いた下道、そして高速をひた走る...。

で、今日使うかどうかは分からないのだが、一応、途中で高度計の目盛りを合わせておく。

まあ、新しく手に入れたものは何であれ、色々いじってみたいのが男心かも...。

さて、いつもなら「あそこを回ってここへ行ってみよう」など、その日のルートや段取りをいろいろ考えながら車を走らせるのだが、今日は基本的に「お任せコース」なため大船に乗った気分だ。

全自動洗濯機のように、朝イチでボタンをポンと押せば、帰るころにはアカジマトラがたくさんビンに入っていることだろう。

古い情報と自分のカンを頼りに、一か八かで出撃する茨城の採集とはまったく正反対の状況かもしれない。

そんな感じで、まったく何も考えないまま最寄りのICまで来てしまった...。

で、下道も滞ることはなく、やや早い時間に待ち合わせ場所へ到着...。

空いているところに車を停め、ざっと周囲を見渡してみる。

う〜〜ん、なかなか素晴らしい場所かも。

天気も最高...。

駐車場からはアカジマトラカミキリのホストのひとつ「ケヤキの木」があちこちに垣間見え、ムシ的な雰囲気も抜群といったところである。

若干、居ても立ってもいられない軽い衝動に駆られたため、Sさんを待っている間、近くをルッキングしてみることにした。

わ〜〜お...。

樹齢何百年というケヤキ...。

この近辺には、このようなケヤキの大木が多くある。

どの木も樹勢に威厳があり、思わず後ずさりしてしまいそうだ...。

う〜〜ん、アカジマは採れたも同然かも...。

そうこうしているうち、Sさんから電話が入った。

ここへ向かっているところで、本日は友人の「Oさん」も来る、ということだった。

しばらくしてSさんが到着。

そして、Oさんも到着。

軽く朝の挨拶を済ませ、早速、アカジマポイントの探索を開始した。

で、気になる今年のアカジマトラの発生状況であるが、どうも例年とは異なるようで、この時期になってもほとんど姿を見せていないという。

夏場の日照不足と低気温が原因で羽化が遅れているのかな?

まあ、頭の中であれこれ理屈をこねるより、何はともあれルッキングだろう。

今まさにこれから羽脱してくるかもしれないのだ。

1本2本とケヤキを見ていく。

一応、下草などにも視線を配るがアカジマ君はいないようだ...。

時間的にも活動帯に入っているし、どの木に居てもおかしくなさそうなのだが、なかなか赤地に黒のストライプは目に入らない。

う〜〜ん、やっぱり今年は単に「不作」なのか...?

さらに車で移動して、別のポイントもチェックしに行く。

今度の場所もたいそう立派なケヤキがいくつもあり、周りには良さそうな材がゴロゴロしていて申し分はない。

最近切られた新鮮な枝もあって、まさに絶好な場所だと思うんだけど...。

なぜか居ないのよね...。

材割りも含め、3人で手分けしてアカジマを探してみるが、結局ここも×みたいだ...。

う〜〜む、私が来たから駄目なのか(=疫病神な私)?

S:次、行ってみますか?

る:そうですね、そうしますか...。

Sさんが、車にネットを仕舞おうとした瞬間....。

S:あっ、るどるふさん、いました...。

る:えっ!、どこですか?

S:ここです...。

ああああああああああ!!

ほんとだ...。

なんと、Oさんの車に止まっているではないか...。

っしゃ〜!

成功的捕獲!!

ああああ、なんて美しいカミキリムシなんだろう...。


アカジマトラカミキリ
[ Anaglyptus bellus bellus MATSUMURA et MATSUSHITA, 1933 ]

う〜〜ん、あっけない出会いであったが、これでもう思い残すことはない。

ちなみに、これがOさんの車。

この車で移動していなければ、アカジマはボーズだった可能性が高いかも。

アカジマトラはグリーンがお好き?

さて、もう一ケ所有望なアカジマポイントがあるらしいので、そこを見に行くことに。

おおおお!

ここもちょっとしたケヤキの林になっていて良い雰囲気。

Sさんから毎年アカジマが発生しているという「ご神木」を教えていただいた。

ふ〜〜む、これは大変勉強になった。

ただ、野外活動している成虫の姿はないようだ...。

また、林床にはこれまでのポイント以上に材が落ちており、可能なかぎり削ってチェックしてみたが、残念ながら追加の個体&情報は得られなかった...。

長野のバッタ...。

まあ、私は1頭でも採れていれば十分なため、アカジマはこれにてお終いとした。

その後、いくつか採集地の候補を出していただき、結局、タニグチコブヤハズカミキリ&ムフフなムシを狙ってみることに決まった。

途中、Oさんの職場で車を1台にまとめ、ダートの狭い林道をひたすらガリガリと爆走。

車窓から見たかぎりは、カラマツの植林を背景に所々天然林が残っているような山である。

まずは、過去に記録のある場所へ。

こんな感じです...。

それでは叩きましょう...。

(ビシ、バシ、ビビビッパ)×30ぐらい...。

日当たりが良いせいか、乾燥がきつくコブはまったく落ちない...。

こいつは落ちてきたけど...。

これじゃ「マル叩き」ですね...。


マルガタハナカミキリ
[ Judolia cometes (BATES, 1884) ]

そもそも、時期がまだ早いのか枯れた葉が少なすぎる...。

ラチが開かないということで、適宜ポイントを移動していく。

ここはどうかな?

(ビシ、バシ、ビビビッパ)×50ぐらい...。

ちょっと開けすぎているためか、まったく×...。

さらに移動...。

オオカメノキ...。


ホソバトリカブト...。

いろいろな樹種の枯れ葉を叩いてみたが、ぜ〜〜〜〜んぜん×...。

なかなかタニグチ君も手ごわい...。

キリの良いところで、一端休憩を兼ねて昼食タイム。

食後、少し標高を稼いで、ムフフなムシの痕跡があるかどうかをチェックしに行くことになった。

亜高山帯...。


基本的にはツガ、シラビソな林...。

で、ムフフなムシとは秋の大物的カミキリムシなのだが、今回の探索では生息の痕跡を見つけることはできなかった...。

↓ 地面を這っていたところを成功的捕獲!


ミヤマクロナガゴミムシ
[ Pterostichus karasawai TANAKA ]

で、少々諦めモードで帰る方向へ走っていると、どうにも怪しげな一角が目の前に...。

沢沿いでほど良く湿っており、コブがいるとするとこんな感じの環境なのではないだろうか...。

そんな素人の直感(←当たらないことが多い...)が働いた。

頼んで叩かせてもらう。

(ビシ、バシ、ビビビッパ)×100ぐらい。

今度は逆に湿度が高すぎるためだろうか、沢を登りながら叩いていくもコブはまったく落ちない...。

本当にこの山にタニグチはいるのか?

さすがに半信半疑...。

で、さらに沢を登ったところで、1本の細い林道とぶつかった。

これ以上、沢伝いに行っても同じと判断したため、この林道に沿って叩いていくことにする。

(ビシ、バシ、ビビビッパ)×10ぐらい...。

ほよ??

もしかして、来た??

一緒に落ちた葉が邪魔で確認しづらかったが、葉の脇から「ひゅっ」と出ているものがある。

恐る恐る葉を取り除くと....。



きた〜〜〜〜〜!!

やった、やった、やった、やった!

まさか本当に落ちるとは思わなかった。

う〜〜ん、ラッキー!

叩いたのはこんな感じのオオカメノキ。

状態としては「半枯れ」かな。

このことを一刻も早く「S・Oコンビ」に知らせたくて、来た道を大急ぎで下り、車の窓越しに採りたてホカホカのタニグチを見せる。

するとお二人とも目の色が変わり、採れた近辺を3人で再探索することになった。

で、Oさんが見事1♂を追加。

聞けば、このエリアでは初めて採れたとのこと。

まあ、それ以前にこの山自体がタニグチの分布辺縁域にあり、そもそも密度が薄いらしい...。

さて、これでアカジマ、タニグチと初採集種が2種も採れてしまったので私は大満足。

そろそろ山を下りることにした。

ところが下山の途中で、またまた怪しい場所を見つけてしまった...。

せっかくなので見ておかなきゃ損、今度は満場一致で決定。

遠くでシカの鳴き声が聞こえる中、本能に従って叩きまくる。

(ビシ、バシ、ビビビッパ)×∞ぐらい...。

あああ、今回は駄目かも...。

さすがに手が痛くなってきた...。

数百メートル叩き続けてこれといった成果はなし。

やっぱ、そうは簡単じゃないよな...。

時間も時間なので、諦めて車へ戻ろう...。

おおお!

これ、さっきと同じような感じじゃない?

見落としてた...。

(ビシ、バシ、ビビビッパ)×1...。

くわっ!!


くわっ、くわっ!!



っしゃ〜〜〜〜〜!!

っしゃ〜〜〜〜〜!!

っしゃ〜〜〜〜〜!!

今度は♂だ!



タニグチコブヤハズカミキリ
[ Mesechthistatus taniguchii (SEKI, 1944) ]

ああああ、なんということか、1ペア採れてしまった...。

ということで、ここで本当に終了。

下山後、解散したのであった。

30キロの渋滞もなんのその...。

なわけないか...。


● エピローグ

いや〜〜、本当に楽しい1日であった。

数こそ採れなかったものの、貴重な経験がたくさんでき、私としては大満足。

お世話になった「S・Oコンビ」に心より感謝いたします。

ありがとうございました。

今後も機会がありましたら、ぜひご一緒させてください。

よろしくお願いいたします。


★★ 採集成績 ★★

カミキリムシ科:Cerambycidae

● ハナカミキリ亜科:Lepturinae

マルガタハナカミキリ 1 ex.
[ Judolia cometes (BATES, 1884) ]

● カミキリ亜科:Cerambycinae

アカジマトラカミキリ 1 ex.
[ Anaglyptus bellus bellus MATSUMURA et MATSUSHITA, 1933 ]

● フトカミキリ亜科:Lamiinae

タニグチコブヤハズカミキリ 2 exs.
[ Mesechthistatus taniguchii (SEKI, 1944) ]

総計:3 種(含初採集 2 種) 4 頭

オサムシ科:Carabidae

● ナガゴミムシ亜科:Pterostichinae

ミヤマクロナガゴミムシ 1 ex.
[ Pterostichus karasawai TANAKA ]


記載日:2003.09.15
採集記(総目次)2003年度 採集記(目次)長野県 カミキリ編 -4- へ続く....