2003年度 採集記(長野県 カミキリ編 -2-)

「三種の神器」

前回の長野採集行にて、とことん惨敗を喰らった「三種の神器」....。

一時は「また来年...」と思ったものの、やはり今季、梅雨明けを迎えてから再挑戦したくなってしまった...。

悪天候だけはどうすることもできないのだが、悔しいものは悔しい...。

ということで、あれだけボロボロになって1週間しか経っていないが、満身創痍、リベンジするとしよう。



2003.07.27 (Sun)

長野県 某所

   天気:晴れ〜雨
   気温:12.2 〜 26.6 度 
   湿度:非計測
   風力:1〜4
長野県でも へなちょこカミキリロード... 編

● で...

そういえば、日記にて「三種の神器」と度々書いてきたが、それらが何であるのかを紹介していなかった...。

その3種とは「オトメクビアカハナカミキリ」「スミイロハナカミキリ」「カラフトホソコバネカミキリ」のことである。

まあ、私ごときがいちいち書かなくても分かる人はたくさんいると思うが...。

以下、順に「オトメ」「スミイロ」「サハリン」と略す。

さて、今季は長梅雨の影響で季節が大幅に狂っている印象がある。

茨城県の1000m 以下のちょっとした低山地でもそうなのだから、標高2000m 前後の亜高山帯ではどういうことになっているのか、素人の私には想像することすらできない...。

しかし、あまりに事前情報ばかりに気を取られて自分の行動が制限されてしまっては元も子もない。

幸か不幸か、私の場合は最低限、その場所へ行ってみないと分からない「リスク」というか「スリル」といった要素も求めてしまうので、無謀な出撃が増えてしまいがちだが、行かないで後悔するよりは行って後悔しようと思っているフシがある。

こんなことだから時間的にも金銭的にも不経済で仕方がない、と言えばその通り...。

まあ、趣味なんだからいいかな...。

少々つまらない方向へ話がそれた...。

ということで、夜間、先週と同じ道をひたすら走り続けることとなった...。

途中、後を追いかけてきた びおすけさんと合流。

今夜のネグラまで、街灯下などを物色しながら残りの距離を踏破した...。


● サハリン

おはようございます。

朝です...。

そんな感じで目が覚めた。

一足先に起きていた びおすけさんの話によると、天気はさっきまで晴れていたとのことだ。

が、私が起きた途端どんよりと曇ってきてしまった...。

まずはサハリンを採るべく、カラマツを巡回することにする。

簡単に言うと、こんな感じのカラマツをチェックしていくことになる。

副産物としてムナミゾハナやミドリヒメスギなども採れるそうで、こちらも楽しみだ。

1本、2本、3本と、サハリンが飛来しそうな「美味しそうな」カラマツを確認していくも、な〜〜〜〜〜んもいない...。

せいぜい、ネキに擬態したハチがいる程度...。

う〜〜〜〜んと、うな垂れていると...。

おやおや??

カラマツの樹皮上を1頭のオサムシが「右往左往」しているではないか。

明らかに「未採集種」だ。

今にも落ちてしまいそうだったので、ビンを下にあてがってそこに落とした。


セアカオサムシ
[ Hemicarabus tuberculosus DEJEAN et BOISDUVAL ]

なんと、セアカオサムシだった...。

まあ、こんなところで出会えるとは思ってもいなかっただけに、とても嬉しかった。

で、次のカラマツでは...。

わ〜〜お!

ミドリヒメスギ!

[ Palaeocallidium kuratai YOKOYAMA, 1972 ]

早春にいち早く出て来るヒメスギに比べると、グリーンメタリックが上品で格調が高いかも...。

で、もう1頭採れたが、それは びおさんにプレゼントした。

今回の経験上、ミドリヒメスギは樹皮上をたくさん這っているわけではないようだ。

その他の追加としては、同じくカラマツ樹皮上からオオマルクビヒラタが採れたぐらいであった。

さて、草叢のわだちを遮るように生える一株の大振りなショウマを覗いてみることにした。

実は前回の採集行でチェックを入れていたショウマなのだ。

さあ、何か来ているかな。

ああああああ!


キベリカタビロハナカミキリ
[ Pachyta erebia BATES, 1884 ]

やった!、やった!!

何を隠そう、ず〜〜っと採りたかったけど、採集記をご覧いただいた方はご存知だと思うけど、昨年は見事に採れなくて、今年はもう一度埼玉のポイントへ行かなきゃかなと心配していて、本当にせっぱ詰まった状況って感じで、まさかこんな場所で採れるとは思ってもいなかった念願のパキタだ〜〜!

ああああ、信州の自然に感謝、そして涙...。

興奮冷めやらぬ中、他のカミキリムシを探してみる。

ピドニア on マルガタハナ...。

異文化交流の最中のようです...。

あとは、ここでなくても採れるハナカミキリが中心であった。

ということで、サハリンは諦め、オトメを探しに行くことにした。


● オトメ

オトメクビアカハナは高標高地に分布するカミキリムシのようで、クビアカハナカミキリにそっくりなのだが、前胸背板の光沢がより強いなどで判別できるそうだ。

で、その採り方は、亜高山帯上部に生えるハイマツに訪花したところを採るとのこと。

いずれにしても、天気が良くないと厳しいらしい。

が、案の定、標高 2,000m あたりから濃霧となり、なんだかヤバイ雰囲気...。

気温も13〜14度と信じられない寒さだ...。

う〜〜ん、今日も駄目かな?、でも、雨が降っていないだけマシかも...。

そんな揺れ動く心境でポイントへ突入した。

ど〜〜〜ん!

前回、見回ったエリアを中心に探していくと、花はまだそこそこ残っていた。

「もう終る寸前だよ」と言っていたカミキリ屋さんもいたため心配していたのだが、そんなこともないようだ。

いるかな?

ああああああ!

もしかして...、

これがオトメか?


ああああ...。

カラカネハナだった...。

[ Gaurotes doris BATES, 1884 ]

なんでこんな標高の高い場所にもいるんだよ〜〜〜。

その後も びおさんと2人でびしょ濡れになりながらオトメを探してみたが、どうにも駄目なようだ...。

シャクナゲ...。


その中から外を窺うピドニア氏...。

う〜〜ん、しょぼい...。

他は、いつのまにか採れていたキヌツヤミズクサハムシがせめてもの救いで、最近、ネクイハムシに食指が伸びている私としては嬉しかった。

さて、ここで びおさんと話し合った結果、この後はスミイロのポイントを見て、駄目ならそのまま下山しようということになった。


● スミイロ

で、そのポイントへ着いた。

先週教わった通り、ショウマの生える斜面をひたすらルッキングしてみたのだが、このような気象条件ではハナカミキリの仲間が飛来するわけがない...。

でも、見ないと採れない...。

私@採集中の頭の中はいつもこんな感じだ...。

で、草叢に何やら茶色いカミキリムシがいるのを発見した。

おおおおおお!

シラフヒゲナガカミキリじゃん、これは。

生涯初採集なので嬉しいかも。

[ Monochamus nitens (BATES, 1884) ]

で、目玉はこれだけ...。

やっぱり、今日の条件では駄目なのかもしれない...。

チョウチョはたくさんいるんだけどね...。

というわけで、三種の神器はまた来年...。

一気に下山しよう。


● 下山

げざ〜〜〜ん、ということで下山完了...。

山の上の曇天がウソのように麓は晴れている...。

夏の陽射しに肌が痛い...。

ちなみに、このノリウツギを掬ってみると...。

クスベニが1ペア...。

[ Pyrestes nipponicus HAYASHI, 1987 ]

早速、土場や集材所などを求めて走り回ってみる。

このあたりでは昔からコトラカミキリが採れているようなので、できるなら私もご相伴に与りたいなぁ。

で、材置き場を見つけた。

まあ、何の変哲もない、どこにでもある材...。

エグリトラ、クロトラ(ちょっと嬉しい)、ゴマフ、カタシロゴマフなどを適宜摘みながら歩いていると...。

しょぼいコナラの材上を急ぎ足で震えながら走り回る黄色っぽいカミキリムシ...。

まさか...。

あああ、その「まさか」だった..。


あああ、やっと...、


会えたね...。


で、もう1頭採れた...。

ああああ、コトラカミキリってなんて良いカミキリムシなんだろう...。

ため息しか出ない...。

ちなみに、こんなお方も採れてます...。

同時に採れるなんてラッキー!

[ Plagionotus christophi (KRAATZ, 1897) ]

シラカバの材からはツマキトラ。

でも、随分黒っぽいなぁ...。

[ Xylotrechus clarinus BATES, 1884 ]

で、ナイスな副産物。

クロホシタマムシ。

小楯板が台形のような形をしており、マスダクロホシと簡易的に見分けることができる。

[ Ovalisia virgata (MOTSCHULSKY) ]

ここで場所を移動。

しばらく走った後、別の集材所へ到着。

一見、古い材が多いようである。

半信半疑で材の表面を観察していくと...。


コトラカミキリ
[ Plagionotus pulcher (BLESSIG, 1879) ]

がちょ〜〜ん!

ここにも居たぞ!

で、この集材所は「当たり」だったようで、コトラがいるわいるわ、あっという間に10頭ほど採れてしまった。

うひひひ、ラッキーだわ...。

と、思っているのもつかの間、またまた今まで採ったことのないカミキリを発見!

クビアカトラカミキリ。

[ Xylotrechus rufilius BATES, 1884 ]

おおお!

これまた初採集@私のキモンカミキリ。

[ Menesia sulphurata (GEBLER, 1825) ]

さらにはこんなお方まで...。


なんだかたくさん居ます...。

[ Chloridolum thaliodes BATES, 1884 ]

う〜〜ん、上よりも下の方が面白いぞ!

しかしながら、ここで諸事情のタイムリミット...。

最後にオニグルミの葉を掬って、ナガタマムシを幾つかゲットして泣きながら帰路についたのであった。

後ろ髪引かれまくりで、るどるふの頭はカッパみたいになったとさ...。


● エピローグ

あああ、調子に乗って10日のうちに2回も「大遠征」をかましてしまった...。

でも、一生採れないと諦めていたコトラカミキリが採れたことは本当に嬉しかった。

本命の3種については、また来シーズン長野を訪れて再挑戦するほかないだろう。

まあ、私に採れる気はまったくしないが、少なくとも行かねば採れないのだから...。


★★ 採集成績 ★★

ホソカミキリムシ科:Disteniidae

ホソカミキリ 1 ex.
[ Distenia gracillis gracillis (BLESSIG, 1872) ]

カミキリムシ科:Cerambycidae

● クロカミキリ亜科:Spondylinae

オオマルクビヒラタカミキリ 2 exs.
[ Asemum striatum (LINNAEUS, 1758) ]

● ハナカミキリ亜科:Lepturinae

ヤツボシハナカミキリ 5 exs.
[ Leptura arcuata mimica BATES, 1884 ]

カラカネハナカミキリ 4 exs.
[ Gaurotes doris BATES, 1884 ]

ツヤケシハナカミキリ 3 exs.
[ Anastrangalia scotodes scotodes (BATES, 1873) ]

ミヤマクロハナカミキリ 3 exs.
[ Anoploderomorpha excavata (BATES,1884) ]

フタスジハナカミキリ 2 exs.
[ Leptura vicaria vicaria (BATES, 1884) ]

ムネアカクロハナカミキリ 2 exs.
[ Leptura dimorpha BATES, 1873 ]

アカハナカミキリ 1 ex.
[ Corymbia succedanea (LEWIS, 1879) ]

キベリカタビロハナカミキリ 1 ex.
[ Pachyta erebia BATES, 1884 ]

キヌツヤハナカミキリ 1 ex.
[ Corennys sericata BATES, 1884 ]

タテジマハナカミキリ 1 ex.
[ Parastrangalis shikokensis (MATSUSHITA, 1935) ]

ヒメアカハナカミキリ 1 ex.
[ Brachyleptura pyrrha (BATES, 1884) ]

マルガタハナカミキリ 1 ex.
[ Judolia cometes (BATES, 1884) ]

ミヤマホソハナカミキリ 1 ex.
[ Idiostrangalia contracta (BATES, 1884) ]

ヨツスジハナカミキリ 1 ex.
[ Leptura ochraceofasciata (MOTSCHULSKY, 1861) ]

● カミキリ亜科:Cerambycinae

コトラカミキリ 15 exs.
[ Plagionotus pulcher (BLESSIG, 1879) ]

オオアオカミキリ 5 exs.
[ Chloridolum thaliodes BATES, 1884 ]

クビアカトラカミキリ 3 exs.
[ Xylotrechus rufilius BATES, 1884 ]

クスベニカミキリ 2 exs.
[ Pyrestes nipponicus HAYASHI, 1987 ]

ミドリカミキリ 2 exs.
[ Chloridolum viride (THOMSON, 1864) ]

ルリボシカミキリ 2 exs.
[ Rosalia batesi HAROLD, 1877 ]

ウスイロトラカミキリ 1 ex.
[ Xylotrechus cuneipennis (KRAATZ, 1879) ]

エグリトラカミキリ 1 ex.
[ Chlorophorus japonicus (CHEVROLAT, 1863) ]

キスジトラカミキリ 1 ex.
[ Cyrtoclytus caproides caproides (BATES, 1873) ]

クリストフコトラカミキリ 1 ex.
[ Plagionotus christophi (KRAATZ, 1897) ]

クロトラカミキリ 1 ex.
[ Chlorophorus diadema inhirsutus MATSUSHITA, 1934 ]

ゴマダラモモブトカミキリ 1 ex.
[ Leiopus stillatus (BATES, 1884) ]

シラケトラカミキリ 1 ex.
[ Clytus melaenus BATES, 1884 ]

ツマキトラカミキリ 1 ex.
[ Xylotrechus clarinus BATES, 1884 ]

フトオビカンボウトラカミキリ 1 ex.
[ Hayashiclytus acutivittis inscriptus (BATES, 1884) ]

ミドリヒメスギカミキリ 1 ex.
[ Palaeocallidium kuratai YOKOYAMA, 1972 ]

● フトカミキリ亜科:Lamiinae

ゴマフカミキリ 3 exs.
[ Mesosa myops myops DALMAN, 1817 ]

カタシロゴマフカミキリ 3 exs.
[ Mesosa hirsuta hirsuta BATES, 1884 ]

エゾサビカミキリ 1 ex.
[ Pterolophia tsurugiana (MATSUSHITA, 1934) ]

シラフヒゲナガカミキリ 1 ex.
[ Monochamus nitens (BATES, 1884) ]

キモンカミキリ 1 ex.
[ Menesia sulphurata (GEBLER, 1825) ]

ナカジロサビカミキリ 1 ex.
[ Pterolophia jugosa jugosa (BATES, 1873) ]

総計:38 種(含初採集 6 種) 79 頭

オサムシ科:Carabidae

● オサムシ亜科:Carabinae

セアカオサムシ 1 ex.
[ Hemicarabus tuberculosus DEJEAN et BOISDUVAL ]

コガネムシ科:Scarabaeidae

ヒメトラハナムグリ 4 exs.
[ Trichius succinctus (PALLAS) ]

アオアシナガハナムグリ 1 ex.
[ Gnorimus subopacus MOTSCHULSKY ]

タマムシ科:Buprestidae

クルミナガタマムシ 13 exs.
[ Agrilus kurumi Y.KUROSAWA ]

クロナガタマムシ 2 exs.
[ Agrilus cyaneoniger E.SAUNDERS ]

クロホシタマムシ 1 ex.
[ Ovalisia virgata (MOTSCHULSKY) ]

コメツキムシ科:Elateridae

ハネナガクシコメツキ 1 ex.
[ Melanotus matsumurai SCHENKLING ]

ルリツヤハダコメツキ 1 ex.
[ Athous subcyaneus (MOTSCHULSKY) ]

コクヌスト科:Trogossitidae

ゴマダラコクヌスト 1 ex.
[ Leperina squamulosa GEBLER ]

カッコウムシ科:Cleridae

クロダンダラカッコウムシ 1 ex.
[ Stigmatium nakanei IGA ]

ハムシ科:Chrysomelidae

キヌツヤミズクサハムシ 1 ex.
[ Plateumaris sericea LINNE ]

ゾウムシ科:Curculionidae

シラホシヒメゾウムシ 1 ex.
[ Baris dispilota (SOLSKY) ]

→ 標本写真へ


記載日:2003.07.29
採集記(総目次)2003年度 採集記(目次)群馬県 カミキリ編 -1- へ続く....