2004年 アカガネの旅 編

コロコロ、コロリン...

あれだけ暑かった今年の夏もようやく落ち着いてきたようで、すっかり初秋の雰囲気が漂ってきた。山々も徐々に秋の装いに変わっていくことだろう。

暖色系に彩られた美しい秋の山並みを観るのが今から楽しみである。

さて、今年の採集シーズンも残りわずかとなってきた。

このところ好調が続いていて正直怖いのだが、あまり深く考えず気楽に次の目標へ挑戦したいと思う。

今回は以前から狙ってはいたものの、何かと出撃できずにいた「ホンドアカガネカミキリ」を採りに行く予定である。

あまり「マイ・フェチ」とは関係なさそうなムシに見えるが、実際はどうなのだろうか?

まあ、実物を見ないと何とも言えないか...。

ということで、行ってきます。



2004.09.12 (Sun)

亜高山帯かも

   天気:快晴
   気温:18〜32 度

2004年 アカガネの旅 編

● 登山なのよね...

秋季の採集といえばコブ叩きが有名だが、コブヤハズカミキリ以外にも同様の方法で採れるカミキリムシがいる。

そう、アカガネカミキリだ。

小さくてとても地味なムシであるが、コロっとしていて可愛らしいく、何故か魅かれてしまうチャーミングさをもっている。

図説によると日本にアカガネカミキリは2亜種いるそうで、北海道に生息する方が基亜種となっており、本州に産するものはホンドアカガネカミキリとして区別されている。

ちなみにコブヤハズカミキリと同様、翅の退化した飛べないカミキリムシである。

本種は通常、いわゆるブナクラス域よりも上のコケモモ−トウヒクラス域を生息域としているようで、気が重いのだが今回行くポイントはそこまで登山をしなければならない...。

うむむ、登山かぁ...。

私はラクチンな採集が好きなので、できれば「登山」というハードな行程は避けたいところなのだが、まあ、採りたい以上は仕方ないか...。

ということで、久しぶりの登山採集をすることになった。

では、出発〜〜!

ちょっと寝坊したので登山開始の予定時刻よりやや遅れてしまったが、駐車場に着くやいなや準備をして登山道へ向かった。


朝からドピーカンざます

オオトラをもう一回狙いに行けばよかったと後悔するほどの好天。朝というのに気温も高く、これからの「汗だく」の行程が思いやられる...。

まずは順調に標高を上げ、早々にブナ林へ突入した。


眩いほど美しいブナの森

このぐらいの標高ではまだ秋の雰囲気はさほど感じられず、見た目には今にもネキが飛んできそうな「夏」そのものといったところである。

きっとタダコブはいるんだろうけど、とりあえずは後回しだ。

その後も針葉樹林帯を目指し黙々と歩き続けるが、徐々に息が上がってきた。

う〜〜ん、なかなかブナ帯を抜けることができない。

地図で見るよりけっこうな距離があるのね...。

久しぶりの登山に私の大腿四頭筋が悲鳴をあげている...。

所々で小休憩を交えながら歩いていくと、目の前の視界が開けてきた。

どうやら尾根へ出たようだ。


絶景でございます

風景写真をパチパチ撮りながらまた休憩...。

さあ、もうひと息だ。

15分ぐらい歩いただろうか、オオシラビソがぽつぽつと見えはじめ、ようやく針葉樹林帯の入り口へ差し掛かったようである。


やっぱり針葉樹はいいねぇ

で、辺りの景色が次第に針葉樹林に切り替わった。

けっこうドラスティックな変化で素晴らしいかも。


やっと着いた、かも...

この亜高山域の針葉樹林というのは一見単調な景色で殺風景なのだが、なかなか荘厳な雰囲気があってとても好きである。

台風で倒れたと思われるオオシラビソからは、これでもかというほどフィトンチッドが発散されているようで、それを吸い込むととても気分が落ち着く。

さて、すっかり呼吸も整ったので、ハリブキを探しましょうかね。

ハリブキとはウコギ科の植物で、外見上はフキに似ているのだが、茎や葉に針状のトゲがあることでそう呼ばれている(と思われる)。

アカガネカミキリはこの植物でなければ採れないということはないそうだが、このポイントでは効率良く落ちるとのこと。

うむむ、あれがそうじゃないかい?


ハリブキ様

まだ青々としていて、その辺に生えている株を一通り見てみたが、何もいなかった...。

ということで、もう少し標高を稼ぐ。

おおお、徐々にハリブキが増えてきたぞ。

枯れ具合もちょうど良さそうだ。

ああああああああ、葉の上に何かいるかも!


コブヤハズカミキリ
[ Mesechthistatus binodosus binodosus (WATERHOUSE, 1881) ]

あうちっ、タダコブ様じゃないか...。

それも一心不乱に枯れた部分をムシャムシャと食っている...。

ここで一句。

「ニョキニョキと、右手が伸びて、泣きゲット...」

ふ〜〜む、でも最近はフジコブやセダカを見ていたので、このスレンダーな体形は新鮮でけっこういいかも。

うん、カッコイイよ。

で、一応、ハリブキの各部をクローズアップで撮影しておいた。





う〜〜ん、見るからに痛そうだが、本当に痛い...。

さて、さらにハリブキを求めて彷徨う。

しかし、ハリブキはそこそこあり、枯れ方も申し分ないにもかかわらず、どうもおかしい...。

すなわち、叩かれた直後のような状態であり、私がいくら叩いても何も落ちてこないのである...。

そう、ゴミムシすら落ちてこないのよ...。

これは先行者がいた可能性が高い。

登山によってかいていた汗が、途端に冷や汗に変わってきた...。

あああ、こんな思いまでして登ってきたのに、ボーズなのかなぁ...。

でも、どこかに採りこぼしがあるはずだよね。

ちょっと本気で探すぞなもし。

可能なら生態写真に収めたいところだが、最初の1頭だけは確実におさえたいので、とにかく良さそうなハリブキ、そしてオオカメノキの枯れ葉を見つけては叩いていく。


オオカメノキ

しばらくして1本の枝道を見つけたため、駄目元で突入してみる。

おおお、あるぞ、ハリブキ!


神様、仏様、アカガネ様、お願いしま〜〜す!

さあ、今日も連呼しますよ〜!

「ツイテル、ツイテル、ツイテル!」

ビシ、バシ〜〜〜〜〜〜〜っ!


へけ...

ちょっと暗くて分かりにくいのですが、もしかしてアカガネ様でしょうか?

もっと光を〜〜〜!


ホンドアカガネカミキリ
[ Plectrura metalica yoshihiroi TAKAKUWA, 1984 ]

っしゃ〜!

おおおお、やった、採れたぞ。

それにしても可愛いなぁ。

ほのかに赤いところがいい。

一目ぼれ!

でも「マイ・フェチ」の範疇からはちょっと外れるかな...。

で、すぐ近所のハリブキからもう1頭ゲット!


食べちゃいたいです

ふぅ〜〜、これで一安心。

あとは落ち着いて生態写真用の個体を探そう。

中腰になりながら丁寧に葉を1枚1枚チェックしていく。

場所によっては笹の合間を縫うように生えているハリブキもあったりして、なかなかシンドイ作業だ。

あああ、もう腰がもたん...。

諦めかけた矢先、ハリブキの枯れた部分をちょこまか動く小さなムシを発見した。

もしや...。


いてくれてありがとう

ただ、気温が高いせいでなかなか静止してもらえず、これが精いっぱいでした...。

まあ、いいか、よし帰ろう。

一応の目的は果たせたので、欲張らずこれで下山することにした。

で、帰りがけにちょっとだけ撮影。


シータテハ
[ Polygonia c-album hamigera (BUTLER, 1877) ]


ツリフネソウ
[ Impatiens textori Miq. ]

う〜〜ん、満足かも。


● エピローグ

登山はけっこうキツかったが、初秋の採集を十分に満喫することができた。

日本の自然に今日も感謝。


★★ 採集成績 ★★

ホンドアカガネカミキリ(*)
[ Plectrura metalica yoshihiroi TAKAKUWA, 1984 ]

コブヤハズカミキリ
[ Mesechthistatus binodosus binodosus (WATERHOUSE, 1881) ]

その他、ビミョーなムシなど。

(*):生涯初採集...。


記載日:2004.09.13
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