2005年 ヒラヤマコブハナの旅 編

 

 
2005.04.08 (Fri) 快晴 25℃
東京ではサクラが満開を迎え、どうにもこうにも体が疼く...。

ポン!

これまで力任せに封印していた「採集意欲」が、とうとうその内圧に耐えきれず自然破裂してしまった...。

というわけで、ぶら〜〜り...、行ってみましょうか...。
 



ヒラヤマコブハナカミキリといえば、まさに「春」の代名詞的なカミキリムシである。このカミキリムシの活動開始が、シーズンインを告げるといってもいいぐらいだ。

その昔はかなり「珍」なカミキリムシと位置づけられ、林間の飛翔個体をネットで採る(争奪)しかなかったのだが、現在では生態が明らかにされたことにより比較的採集は容易となった。

つまりブナ、カエデ、アカメガシワなどの樹幹に形成された樹洞内でライフサイクルを繰り返す種類であることが分かったのである。

ただ、当の私は2年ほど前から記録をもとに茨城県で孤軍奮闘してみたものの、結局採集するには至らなかった...。

そんなわけで、今回は既知のポイントにお邪魔して、基本的なスキルを身に付けさせていただくことにした。

ここ数年異常気象が続いている関係上、正確な発生時期が読めないが、まあ、こればかりは行ってみなければ分からない。当然一か八かの出撃となるが、正直、生息環境の勉強ができさえすれば採集の成果などはどうでもいい。

早朝、相棒に迎えに来てもらい、そのままポイントを目指す。

てぇ〜〜〜〜〜っ、てっ、てっ、てっと車を走らせ、滞りなくポイントに到着した。

ぴょんと車を降りて周囲を見渡すと様々な花が咲き始めており、里山はすっかり春の装いである。

フィールドへ出るのが久しぶりの私にとっては、もわ〜〜っと漂う草むらの匂いが懐かしく感じられる。


サクラは5分咲き程度か...

 


濃厚な黄色が眩しい...

 


タツナミソウというらしい...

 

春の温かい日差しを背中に浴びながら、まずは御神木を探してみることにした。

ビロウドツリアブが乱舞する中、相棒とともに沢沿いを歩いていると、それらしきアカメガシワが向うに佇んでいた。

遠目ながらも根元に大きな樹洞が開いていることが分かり、おそらく間違いないだろう。

ということで、その御神木へ歩み寄る。

ほほ〜〜、なかなか立派な樹洞ですな...。


吸い込まれそうだ...

 

内部を覗いてみると、腐朽部は多少の湿度を保っているようだ。

すでに発生してくれていると良いのだが...。

とりあえず、ヒラヤマ様のお姿はないようなので、モクモクモクと紫煙の力を借りて燻り出しを試みる。

ほわほわと洞内から煙が立ち上りそよ風に揺らめく...。

ん!


ああああああ...、いきなり出現...

 

このシーンを拝むまで何年かかかったが、最後はあっけなく出会えた...。

御神木というものは果てしなく偉大だ。

でも、一体どこからはい出してきたのだろうか?

基本的に動きは遅いようだが、まったく気がつかなかった。

まあそれでも、これで「発見、撮影、採集」という目的は一通り達成できてしまった。

しばらく粘ってみたものの追加が無いようなので、他にも発生木があるかどうかを探索してみることにした。

相棒と談笑しながら歩いていると、有望そうな樹洞の開いたカエデ?を発見。

う〜〜ん、なかなか良いかもしれないぞ。

まずはゆっくりと樹洞の周囲を舐めるように見渡す。

おや?


ちょうど樹洞から出てきたところのようだ...

 

せっかくなのでそのまま観察してみようかな。

最悪、逃げられてもいいや...。

ヒラヤマ様はゆっくりと樹洞から離れていく。


で、どこ行くのよ...?

 

追いかけながらひたすらシャッターを押すのだが、腕が未熟なためか大半がピンボケ...。

それでも、そのうちの何枚かが使えることを祈って撮りまくる。


歩みは遅いが、力強い歩調だ...

 

そうこうしているうちに、ヒラヤマ様は道中で出会ったアリ様から襲撃を受けて立ち往生...。

そこにアリ様の仲間達が続々と集結し、寄ってたかってヒラヤマ様に総攻撃を喰らわす。

差し詰め「渡る世間は蟻ばかり」といった感じだろうか...。

それでもやはり体格差からくるパワーの違いは絶大なようで、アリ様をことごとく振り払い、触角に噛み付く「えなりかずき似」の1頭と最後のバトルを繰り広げる。


必死に食い下がるアリ様...

 


勝負あったか...

 

結局、アリ様は退散し勝負には勝ったが、勢い余ってヒラヤマ様も下に滑り落ちてしまった...。


見事な着地で悦に入るヒラヤマ様...

 

それにしても、弱肉強食の世界を生き抜くのは大変だ...。

さて、次に樹洞の内部を覗いてみる。

この洞はしっとりと湿っていて状態が良さそうである。

アクロバティックな姿勢で奥の方まで見てみると...。


おはようございます...

 

しかしながら、この1頭の他はいないようだ。

紫煙による援護射撃を加えるもスカ...。

う〜〜ん、各樹洞に1〜2頭っていうのは、まだ発生初期なのかもしれないな。

ということで、次の御神木を探す。

で、あっけなく発見。


体格の良い♀...

 

だが、ここも1頭だけであった...。

ふぇ〜〜〜、まあ、何頭か採れたからこれでいいかな。

ちょっち休憩です...。


まいど!

 


アセビに飛来したアカタテハ

 

今度は違う方向に延びる道へ突入してみる。

「あれはどうですかね?、いい感じの洞が開いてますけど...」

相棒が指さす方向を見てみると、その先にはまさに「御神木」の風情のある1本が鎮座しているではないか...。

早速その御神木にがぶり寄る。

ああああああああ...。


ペアでございます...

 

で、背後から相棒の歓声が聞こえた。

頭上をおびただしい数の赤いムシが乱舞しているという。

うわ〜〜〜、こりゃすごい!

で、相棒が空中キャッチに成功したので早速見てみると、それはヒラヤマ様であった。

乱舞しているヒラヤマ様の大群を観察していると、新芽に止まったり、交尾したり、御神木へ戻ってきたり、なかなか面白い。

ありゃ...。


いつの間にか指に止まっていた...

 

ネットを持ってきていなかったので諦めたが、これらを全部採ったらすごいことになっていただろう...。

採れないものは仕方ないので、樹洞の観察に戻る。


またいた...

 


ここにも...

 


続々と出てきます...

 


まさに...

 


パラダイスです...

 


こんなとこにも...

 

う〜〜ん、採りきれない...。


でも、そろそろ...

 


お腹がいっぱいです...

 

足るを知る。

というわけで、我々も退散...。

とても貴重な経験ができたことに感謝する次第です。

熱い想いを秘めつつ、また来週...。

★★★ 採集成績 ★★★

ヒラヤマコブハナカミキリ(*) [ Enoploderes bicolor OHBAYASHI, 1941 ]

(*):生涯初採集...。

記載日:2005.04.10

 
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