2005年 ぶらり四国へキマルの旅 編

 

 
2005.05.14 (Sat) 四国地方
 
キマル...。

いつか機会があれば、この純情を絵に描いたようなカミキリムシを採ってみたいと思っていた。

ムシ自体も「純」なイメージが強いのだが、その採れるシチュエーションもまたこの上なく「純」なのである。

山の斜面に一見ひっそりと可憐に、その実しっかりと広げた葉の真中に力強く咲く純白の一輪。

そのやわらかな花弁に優しく包まれた「あなた」に一目遇いたい...。

・・・ 後略 ・・・

う〜〜ん、こんな書き出しでは後が続きそうにもないな...。

ということで、ぶら〜〜り、行ってきます。
 



さてさて、昨年に引き続き、今年もどれだけ採集へ行けるのだろうか。

仕事が忙しいのはもちろん喜ばしいことではあるのだが、イコール自分の時間が削られることに等しいため、もろ手を上げて喜んでもいられない...。

一応、今季もいくつかの採集予定を立てているものの、実現打率は低いかもしれない...。

そんな悲観的なことを思っていた矢先、急に淡路島への出張が入ることとなった。

仕事はとても気が重いが、できれば採・撮(=採集+撮影)を組み合わせて楽しい出張にしたいと思うのは当然の流れといえる。

まあ、場所が場所なので四国に渡ってもいいかなと漠然と考えてはいたものの、実際に何を狙えるのかさっぱり見当がつかなかった...。

そこで数名の方にアドバイスを求めたところ、キマルことフタスジカタビロハナカミキリがいけるかもしれない、という今季も多忙を理由に諦めかけていたカミキリムシの名前が目前のメールの中に記されていた。

冒頭にも書いたように、機会があれば一度は狙ってみたかった憧れのカミキリムシである。

う〜〜〜ん、これは行くしかないでしょ...。

ということで、前日の13日の昼過ぎ、仕事を控えてやる気の出ない1/2の私と、採・撮に向けてテンションが猛烈に高まる1/2の私は二重らせんのごとく複雑に交錯しながら神戸の地に降り立った。

まずは新神戸駅でレンタカーを借りて、一路、仕事の待っている淡路島を目指す。

神戸の町を走るのは久しぶりである。

でも、だいたいの道は覚えているし、相棒から借りた地図もあるからなんとかなるだろう....と思っていたのだが、最近のレンタカーはすごい。

カーナビは当然のごとく装備されていて、なおかつETCの端末まで付いていた...。

時間がない中、高速代をおろすため銀行のATMを探すこともなかったか...。

余計な準備で30分ぐらいロスしてしまった...。

カーナビの指示に従いながら迷うことなく高速へ乗り、まもなく明石海峡大橋を通過。

とりあえず、淡路島へ到着した...。


まあ、極めてありがちな写真...

その後、本日の仕事場となる会場へ一旦潜入する。





仕事開始...。

あうあう...。

ビシッ!!

バシッ!!

痛てててて...。

ああああああ...。

おいおい...。

仕事終了...。





無事に仕事が終了したので、島内のホテルへチェックイン。

四国をドライブして回ってきた後輩夫妻と夕食をとって、3時間ほど仮眠...。





仮眠開始...。

あうあう...。

ビシッ!!

バシッ!!

痛てててて...。

ああああああ...。

おいおい...。

仮眠終了...。





無事に仮眠が終了したので、採・撮へ出発でございます。

夜明け前に鳴門海峡を通過、生涯2度目の四国へ上陸を果たした。


夜明けを迎えた吉野川...

いただいた詳細な地図をもとに、今回のポイントとなる山へ直行する。

事前情報では採・撮の重要なキーであるヤマシャクヤクの花期が絶妙に微妙であったが、もうここまで来たからには引き返すわけにいかない。

咲いているのか、終わっているのか、咲いているのか、終わっているのか...。

終始、この答えの出ない自問自答をリフレインし続けた。

で、ポイント近くの駐車場に車を停め、採・撮の準備を黙々と整えて、ヤマシャクヤクが咲いているであろう斜面まで緊張しながら一歩一歩前進した。

さあ、着いたぞ。

ヤマシャクはどうかな...。


これかな...? ああああ...、花がないぞ...


もしや...


ジ・エンド...、なのか...

慌てて周囲を見回しても、花が咲いている光景は見当たらない...。

ああああ、無駄足で終わった...。

最悪の事態を覚悟していたとは言え、この瞬間は凍りつかざるを得なかった...。

もう、百寸釘で背中を刺された思いだ...。

あうあうあう...。

い〜〜〜〜や、きっと日陰の部分なんかに少しは咲き残っているはずだ。

そう自分を信じて奮い立たせ、花の探索を始めた。

しばらく歩きながら斜面の上と下を交互に見ていくと、実は身近な場所にポツポツと白いものが点在しているのが分かった。

おや?

もしかして...、あれがそうなのかな?


ああああ...


神様...


仏様...


ヤマシャク様...

なんと、けっこう咲き残っていた。

つまり、今まで目が慣れていなかっただけだったのである...。

ここだけの話、あまりの嬉しさに「あああっっっっっ!!!、咲いてる、咲いてる、咲いてるよ〜〜!」と大人げもなく大声を上げてしまった...。

絶対にナイショですよ...。

でも、これでなんとかなりそうである。

どっと安堵の冷や汗...。

時間は9時を回ったところ、眩しい朝日が林内を照らし、周囲にムシも飛び始めているようだ。

まあ、とりあえず、各花を観察して回ろう。


これはキマル君が食べた跡なのかな?

おそらく食痕と思われ、キマルがいることは確実のようだ。

う〜〜ん、自信が湧いてきた。

その時、比較的大きなムシがヤマシャクヤクの中へダイブする影が見えた。

っしゃ〜〜〜〜!

キマルゲット〜〜〜!

う〜〜〜ん、さすが、るどるふさん!!


あれ....、ずいぶん黒いキマルだな...


へけ...、キマルじゃないじゃん...

なんだよ、もう名前調べないもんね。

あ〜〜あ、ぬか喜び、また探し直しだよ...。

1時間ぐらい斜面を右往左往しただろうか、寝不足もたたってさすがに疲れてきた。

それにしても、いないなぁ、キマル君。

当たり外れの年があるって聞いたことがあるけど、今年は外れなの??

それとも探し方が下手なの?

単独の採集って、無答の自問自答ばかりだからツライよね...。

と、一番近くにあったヤマシャクの花びらをそっと広げてみると...。


いてくれてありがとう... >最敬礼


なんて良いムシなんだろう...


今日のことは一生忘れません...、一生...


[ Brachyta bifasciata japonica (MATSUSHITA,1933) ]

ということで、「準日帰り」の四国行は無事に幕を閉じたのであった。

ご協力いただいた方々に、この場を借りて心より御礼申し上げます。

本当にありがとうございました。

 

★★★ 採集成績 ★★★

フタスジカタビロハナカミキリ(*) [ Brachyta bifasciata japonica (MATSUSHITA,1933) ]

(*):生涯初採集...。

記載日:2005.05.22

 
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