2005年 コブの旅
 

 
2005.09.23 (Fri)
 
暑さ寒さも彼岸まで...、その言葉の通り今年の猛烈な残暑もデジタルにパタっと終わり、一気に本格的な秋へ突入したようである。

さて、この秋分の日は年に1回のムシ屋の祭典「インセクトフェア」が東京の大手町で開催され、それはそれは貴重な日なのであるが、スケジュールの都合上どうしてもこの日しか採集へ行ける日がない...。

というわけで、今年は断腸の思いでフェアをあきらめ、林道でコブを叩くことにした。コブ叩きも個人的には重要なイベントなのである...。

さ〜〜て、本日デビューするピッカピカの「テン印の叩き網」にどんなムシが落ちるのだろうか。

いつもより1つ多い「楽しみの種」を車に乗せてポイントへ向かった。



夜明け前に自宅を出発。

首尾よく高速へ乗り、ガラガラの道をアイスホッケーのパックのごとく滑走する。

ちなみに、ETCを利用しているとこの時間の通行料金が半額になるのがうれしい@うれしすぎる。

で、コブと言っても場所によって採れる種類がビミョーに異なるため、いろいろとポイントの選定に迷ったが、コブ以外にもいくつかの種類が狙えるということで、今回行くエリアを決定した。

今回同行する びおすけさんとは現地集合ということになっているので、ひたすらその場所を目指して滑走し続ける...。


夜明け寸前...

高速を走っている途中で夜明けを迎えた。

ポイント周辺の天候は遠くにある台風のためか、秋雨前線の影響か、曇りで時折小雨が降るようなコブには持ってこいの状況である。

ポイントが近づくにつれ、自然と心の底から高揚感が湧いてくる。

予定の時間より30分早く現地へ到着。

とりあえず、ただ待つのも何なので、びおすけさんを出し抜くためとっとと「抜け駆け採集」を始めることにした...。

何となくコブの匂いがする方向へランブリング...。

道沿いの目ぼしい場所をルッキングするが、先ほど降った雨のためどこもびしょ濡れである...。

う〜〜ん、せっかくのテン印ネットをのっけからビシャビシャに濡らすのも気が引けたので、まずはいつもの叩き網(@補修後)にて採集を行うことにした。

軽快なテンポを刻みながら要所要所をビーティング@ビーティング。

ゴミムシ、ハサミムシ、クモ、イモムシ、ケムシ、ウンカ、超ビミョーなムシなどなど、いつもの外道がわんさか落ちてくる...。

本日のような濡れぎみの天候の日は、あまり濡れない場所や低い場所にいることが多いので、そのようなポイントを探しながらさらにビーティングを試みる。

ちょうど待ち合わせの時間を少し過ぎた頃、遠くの方から私よりもやや早いテンポの乾いたビート音が風に乗ってやってきた。

うむむむ、誰だ!

振り返ると...、なんと大柄な体型がすっぽり隠れてしまうほどの大きな叩き網を持った びおさんが私の来た道を追いかけてきている...。

おおおお、今回は特に暗号文を残していなかったのだが、やはり同じ穴のムシ屋、私がどちらの方向へ歩いて行ったかが鋭い嗅覚で分かるようである。

で、ここまでで結局コブは落ちず、抜け駆け採集ははかなくも失敗に終わったが、このままこの林道を進んで行こうという暗黙の了解のもと、採集を続けることにした。


何気に近くにあったブッシュを叩いてみると...


フジコブヤハズカミキリ [ Mesechithistatus fujisanus HAYASHI, 1957 ]

うっしっし、ビンゴでございました...

よ〜〜し、追加を採るぞ〜〜〜!

ということで、二人で林道を練り歩く。

というか、ネットに風を受けグイグイびおさんが前進していく...。


まるで帆船のびおさん...

しばらくはまったく甲虫が落ちてこない状況が続いたが、ある一角に幼木が植えられているような場所があり、なかなか雰囲気が良さそうである...。

キイチゴのブッシュが散在していたので、枯れぎみな場所を選んでビートをかましていく。

すると、何叩き目だったか、何やら季節外れな色彩を眩しく放つ物体が落ちてきた...。

私の「体内甲虫カレンダー」を参照すると全く答えが出てこなかったので一瞬目を疑ったが、何度目をこすって確認してみてもヘリグロリンゴそのものであった...。


ヘリグロリンゴカミキリ [ Nupserha marginella (BATES, 1873) ]

まあ、ある意味貴重な9月下旬ラベルということで、標本箱の準VIP席にお座りいただくことになった。

ここで びおさんを追い抜きどんどん先へ進むが、徐々に環境がしょぼくなってきたので敢え無くUターン...。

再び びおさんと合流し車のところまで戻ることにした。

林道1本を攻めた成果としては、私1♀、びおさん2♂♂というなかなかの貧果...。

当然このままでは帰れないので、別の方向でトライしてみる。


っしゃ〜、ちょっと晴れてきたっす...


タテハチョウも飛んでくるようになった...

連日の晴れでカラカラに乾燥するのもコブにはダメだが、雨の中を叩くのもシンドイものがあるのでちょうど良いタイミングかもしれない。

で、ここでいよいよテン印の叩き網をデビューさせようと思う。


これがテン印ネットの全貌

とても丈夫なキャンバス地、四隅にお洒落な色合いの三角ポケット、布の両面にアヒルとコブのワンポイントプリントが施されたこの世に2枚とない私専用の貴重なネットだ。


一瞬、本物が落ちたかと間違えたりして...


まあ、実際はこれだけ違うんだけどね...

作者テンプルさんのサイトにあるBBSにて、このような採集用具を作るという話題で盛り上がり、私にも作っていただいた次第である。

さ〜〜て、この素敵なネットに最初に落ちるのは何カミキリなのだろうか。

大きな期待感を抱きつつ林内へ迷入した。

で、ネットを替えたからと言って、見るべき場所や叩くべき場所が異なるわけではないので、いつものようにビーティング...。


う〜〜ん、秋ですねぇ...

おおおお!


一撃でございます...


もう一丁でございます...


わ〜〜お! でございます...


マヂですか! でございます...

今回は念願の生態写真も撮れて嬉しい...。


イタドリの葉上に佇む♀...


キイチゴの枯れ葉を後食する♂...

この後も数頭のコブが立て続けに落ちてきた。

先ほどのマイネットによる採集はいったい何だったのかと言うほどの連続落ち...。

採集行為自体は何も変わらないのだから、これはネットの持つマジカルパワーとしか言いようがない。

ただ、改善するともっと良くなるところもあり、一応、書いておこうと思う。

まずは布の厚さなのだが、今回使ったネットの場合、多少生地が厚めなので、水を吸うとけっこうな重さになる。長時間の採集になると腕が疲れて痛くなったり、竹製の骨を持つ指にマメができたりするので、もう少し薄めの生地の方が良いかもしれない。

また、四隅の三角ポケットなのだが、採集の途中に骨がすっぽ抜けることが多かった。濡れて重くなると益々抜けやすくなり、イバラや枝に引っかかって四隅すべてが丸々抜けてしまうこともあった。布と骨のサイズは各々きちんと合っているので、骨に合わせたポケットを作るなど抜けない構造にすると良いと思う。


こんな感じですっぽ抜けます...

さて、少々ネットが重くなってきたので、ここで再度マイネットに持ち替え、びおさんとともに別の方向を攻めてみることにした。


うっし!


ぞっし!

う〜〜ん、一応、落ちるには落ちたがこの2頭で精いっぱい...。

やはりテン印ネットほどのパワーがないということだろう...。

その後はどんなに頑張っても、毒ビンの重さが1mgも変わらないので車に戻ることにした。

すると、どこかで見覚えのある方がおられた。

おお、TさんとHさんだ。

今回はコブ狙いではなく、暫定シロオビドイを採りにこられたとのこと。

いくつか自分の知らないコツを伺ったので、それを試そうと獲物を急きょ変更することにした。

ということで、暫定シロオビドイを落とすコーナー!


これはイイかも!


ありゃ...

もう一丁、ビシ、バシ、ブシ、ベシ、ボシ!!


シロオビドイカミキリ(仮) [ Mimectatina fuscoplagiata (BREUNING, 1939) ]

ひっひっひ、今回も出逢えました。

何度見てもめちゃくちゃ良いカミキリムシだ。

青々とした葉だけではなく、枯れ葉やまったく葉のない枯れ枝でも落ちることが分かった。

びおさんと二人で目からウロコが落ちまくる昼下がりなのであった...。

コツを教えていただきありがとうございます。 > T&Hさん

その後、運良く4頭を落とすことができ、そろそろ体力の限界...。

全身が痛くなってきたし、なによりキイチゴのトゲで両腕が大変なことになってしまった...。


痛いっす...

ということで、念のため気になる場所を数ヶ所回り、ポイントを後にした...。

う〜〜ん、心と体両面で秋を存分に満喫できた採集行であった。

とにもかくにも、ネットを提供していただいたテンプルさんに感謝。

そして、びおさんお疲れさま。

★★★ 採集成績 ★★★

フジコブヤハズ12、暫定シロオビドイ5、エゾサビ1、ヘリグロリンゴ1(順不同)。

その他、ビミョーなムシなど。

記載日:2005.09.25

 
back | home