ウォームアップの旅
 

 
2006.04.15 (Sat)
 
長い長い冬もようやく終わりを告げ、東京ではサクラもあっという間に咲き終わった。

私もそろそろ本格シーズンに向けて重い(最近は痛い)腰を持ち上げなければならないかもしれない...。

などと言うのは真っ赤なウソで、実際はムシよりも極めて敏感に春の到来を察知し、いち早くフィールドに出たくて仕方がなかったのである...。

重い腰どころか、まさにウズウズと腰が勝手に浮き上がり、もう少しで危うく空を飛ぶところであった...。

いや〜〜、危ない危ない。

ということで、見かけよりもフットワークの軽い びおさんを誘って、ウォームアップがてらフィールドへ飛び出すこととなった...。

さあ、フェイスオフだ。



う〜〜ん、超久々の「デジタルな覚醒」...。

やはり「真性・野外成虫採集」ができそうな日は、自ずと覚醒の質が高まる。

軽やかな足取りで愛車に乗り込み、一路、びおさんとの待ち合わせ場所へ直行した。

今週はずっとビミョーな空模様が続き、本日の採集もビミョーであったのだが、とりあえず雨は降らないようだ。

まあ、それはよいのだが、気になるのは気温である。

とても寒い...。

朝のニュース番組にて、ファンの一人であるキレイなアナウンサーが「今日はコートが必要な寒さになりそうです」と言っていたこともあり、素直にダウンジャケットを引っ張り出してきたほどだ。

実際、高速を走行中も外気温は9度と表示されており、これじゃ「ウォームアップ」というより「クールダウン」になりそうで先が思いやられる...。

ああああ、下手をすると今日は「ヌル」かもしれないな...。

本気で心配になってきた...。

でも「行って後悔する」というのが私の昔からの性分であるため、ブレーキを踏むことはなかった。

そうこうしているうち、待ち合わせ場所に到着。

びおさんの車がすぐ視界に入り、音を立てないようにゆっくり、こっそり脇に停めた。

どうやら、びおさんは車内で仮眠をとっているようだ。

ところが、私が到着する予知夢を見ていたかのごとく、私がサイドブレーキを引いた瞬間に びおさんがむくっと起き上がった。

ち〜〜っす...。

ということで、本日の段取りをおおまかに決めた後、最初のポイントを目指すこととなった。

さて、本日のお題であるが、早春から野外活動を始めるカミキリムシ3種(アテミア、クリストフ、メディオ)を中心に、あとは びおさんの言うところの「BSE」なムシとそれなりに出会えれば満足、といった感じである。

で、まずは最初のポイントに到着。

ここは若干の伐採木と数本のネズミサシのあるポイントだ。

まあ、気温は相変わらず低く風もやや強いため、ムシ的には絶望な感があるが、ここまで来たからには採集らしいことを何かしらやって帰らないと後悔するだろう...。

昨年の秋以来出番のなかったネットを荷台からガサゴソと発掘して早速ルッキングを開始した。

すると、古めの乾燥した伐採木の上に何やら動く黒い生き物が...。


ヒメツチハンミョウ [ Meloe coarctatus Motschulsky,1857 ]

 
↑ 動画 ↑
QuickTime: 約0.7MB ( 18 sec. full version ), Windows: 約4.7MB ( 8 sec. short version )

おおおお、ヒメツチハンミョウじゃん。

ただ、今まで遭遇したツチハンミョウの中で、最速と言えるほど動きが俊敏だ。

エレキングのような触角のピラピラも合格である...。

う〜〜〜ん、さすが「BSE」だけあって良いムシだ。

で、ぜ〜〜〜ったいに採れないと思うけど、念のため、ネズミサシをば...。


寒々しく揺れる掬い難いネズミサシ...

何本かのネズミサシをかなり執拗にスイープしてみたが、どれもまったくダメだった...。

それにしても、ネズミサシのスイーピングはしんどい...。

結局、ここでの成果はヒメツチハンミョウとケヤキについていた小さなナガタマムシのみなのだが、まあ、何であれムシが野外に出ている姿を見られただけでも気分が高まるというものだ。

シーズンオフにはそれすらないのだから...。

一応、ナガタマムシを採ったケヤキ材の樹皮が浮いていたので記念にめくっておく...。


食痕はあるものの、ムシの姿はなし...

びおさんも私と同じような状況なので、ひとまず場所を移動してみることにした。

数年前から目をつけていたあのポイントはどうだろうか?

確かあそこにはネズミサシがあったはずだ。

ああああ、アテミアねぇ、アテミア、アテミア、アテミア...。


っしゃ〜〜〜!

おおおおおっと、運転しながら「幻覚」を見ていた...。

※ 写真は昨年の10月、中国地方の出張時に採集した個体

あああ、こんなシーンがもう一度現実のものとなったらいいなぁ...。

で、到着。


おおお、あるある...

私の記憶ではネズミサシがあっても1〜2本ぐらいだったのだが、実はかなりの本数が生えていた。

何だか無性に嬉しくなって、次々にネットをかけていく。

しかしながら、やはりアテミアは一筋縄ではいかず、まったくもって雰囲気がなかった...。

ひえ〜〜〜。

ふと びおさんの方を振り向くと、すでにネズミサシよりも足元のアカマツ材と格闘しているし...。

う〜〜〜ん、アテミアには時期が遅かったかな...。


黄昏時には早いけど、黄昏ちゃうよね...

ということで、再び場所を移動する。

今度はメディオがいるかもしれないちょっとしたモミの群生地へ向かった。

ポイント内へ入ると、むわ〜〜っとモミな良い香りが鼻をくすぐる。

気がつくと、暖かい陽射しが差し込むようになり、気温も現在進行形でどんどん上昇している。

予報が良い方向へ外れてくれたようだ。

何だか「初夏の採集」を思い出させる雰囲気になってきたぞ。

そんな陽気に浮かれつつ、びおさんと二人で、モミの枯れ枝や周辺の草木の叩き網に精を出す。

小一時間やってみたところ、さすがにメディオのゲットはならなかったが、「BSE」でビミョーなムシはそこそこ採ることができた。

まだ4月だというのに、けっこう小型の甲虫が出てきているのには驚いた。


・・・ 昼食.com ・・・

さ〜〜て、これだけ暖かくなってくると、アレが出てきてるかもしれないな。

ということで、先ほどのポイントへトンボ返り...。

途中、「ああああ、あんなところにもネズミサシ」的な場所をいくつか発見したのだが、「ああああ、あとで見に来るからね」的な判断でスルー...。

はやる気分を抑えつつ、ポイントの脇に車を停めた。

おおおお、風がやや強いものの、日照と気温は申し分ない。

果たしてアレはいるだろうか?

しばらく二人で伐採木やソダを観察してみたが、残念ながら何もいないようである...。

う〜〜〜ん、そんなに甘くないか...、と諦めかけた矢先...。

「いた〜〜〜、クリストフ!」と びおさんの声が背後から聞こえた。

おおおお、マジですか?


マジのようです...

「撮る人を撮る」を終えた後、びおさんが採集したクリストフを見せてもらうと、本当にクリストフであった。

わ〜〜〜お、こりゃ完全にシーズンインだ。

それにしても、カサカサに乾燥したしょぼいソダにもいるもんだね。

私も同じようなソダを丁寧にルッキングしてみる。


っしゃ〜〜〜!

ああああ、この夏のような採集、嬉しい。

と、懐かしい嬉しさに浸っているのもつかの間、さらにもう1頭発見した。


クリストフコトラカミキリ [ Plagionotus christophi (Kraatz,1879) ]

 
↑ 動画 ↑
QuickTime: 約0.3MB ( 7 sec. full version ), Windows: 約1.7MB ( 3 sec. short version )

思わず動画で撮影してしまったが、まったく動かないのであまり良い画にならず残念...。

仕方なく、私の方が動いてみた...。

この個体も落ち着いてゲットすることができ、本日の採集的には大満足。

さて、あとは「ああああ、あとで見に来るからね」的な場所へ戻るとしよう。

ということで、心残りであった数本のネズミサシを帰る道すがら順に掬っていく。

で、2本目のネズミサシにて、クモでもない、ハムシでもない、ガでもない、ハチでもない、触角の長い小さなムシがネットの底にいるのを発見した。

う〜〜む、限りなく「っしゃ〜〜〜!」な予感...。

大きな期待感とともにソレをむんずと摘んでみた。


トガリバアカネトラカミキリ [ Anaglyptus niponensis Bates,1884 ]

あちゃ〜〜!

まあ、違ったけど、これも立派な真性・野外成虫採集なのでいいかな。

ムシより季節に敏感過ぎて空回り気味だった感もあるが、この時期にクリストフと出会えたのだから十分である。

というわけで、ウォームアップは終了。

この後 適当に数ヶ所下見して、今季初の採集らしい採集は幕を閉じたのであった。

びおさん、お疲れさま。

結局、ダウンジャケットは必要なかったなぁ...。


 
う〜〜ん、久しぶりに「カミキリムシの採集」をすることができた...。

もちろん、冬季の材採集もそれなりに面白みがあるし、分布調査の有用な手段でもあるのだが、私の性分としては、やはりフィールドで活動しているムシとの出会いと採集に持てる全てのパワーと時間を注ぎたい。

さあ、これからが楽しみだ。

★★★ 採集成績 ★★★

クリストフコトラカミキリ、トガリバアカネトラカミキリ。

その他、ビミョーなムシなど。

記載日:2006.04.20

 
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