未記録地を既知産地に変えていく旅
- スギカミキリ編 -
 

 
2006.04.18 (Tue)
 
茨城県北地域では、ようやく早春のムシが動き出す頃合いとなってきた。

ということで、毎年恒例、茨城県北の探索を今年もそろそろスタートさせようと思う。

ただ、例年のようにやみくもに出かけて適当にムシの状況をチェックしていくだけではメリハリがないので、今季はなるべく予めターゲットを決めておき、そのムシの採集記録が無いエリアを中心に探索していこうと考えている。

で、初回となる今回は、時期的にちょうど良いスギカミキリを狙ってみる予定だ。

それでは、出発しよう。



皆さんご存知のように、スギカミキリはスギの生木を食害するカミキリムシで、林業関係者からは「穿孔性害虫」というありがたくないレッテルを貼られている存在だ。

今回、新産地を探すとは言っても、実際にはすでに研究機関(茨城県林業技術センター)がスギカミキリによる被害状況を茨城県全域に渡って調査しており、その報告では県内340ヵ所の調査林分で、寄生率が0〜55%(平均7.8%)、被害率が0〜29%(平均2.4%)、被害木の合計脱出孔数が0〜79個(平均6.4個)などという結果が具体的に示されている。

したがって、私ごとき素人の1ムシ屋が今更探したところで、何の役にも立たないかも知れないが、せっかく探索できる機会があるのだから、無駄を承知で駆け回ってみることにした。

まあ、将来的に自分なりの記録をまとめ、それが 0.000000000000001ミリでも世の中のプラスになるのであれば御の字であろう。

一方、採集記録については、県北部、県西部に比較的多く、県南部に散見される感じであるが、報告されている採集地の数や個体数はさほど多くない。

ということで、本日回るルートは県北部で記録のないニッチなエリアを串刺しにするような形にしようと思う。

まずは、以前から目をつけているポイントへ行ってみることにした。

サクラ咲く峠道を爽やかに、そして麗らかに越えつつ到着。


スギカミキリといったらサクラの季節だよね...


へぇ〜、茨城にもこんな風情のある場所があったのか...

今回はスギカミキリがいるかどうかの確認がメインなので、デジカメだけ持ってスギ林へ突入...。


ここはなかなか立派なスギが多い...

1本1本スギの樹幹をチェックしていったところ、羽脱孔らしき孔はいくつか見つかったのだが、どうにも古いものが多く、現在進行形でリアルタイムに食われているような雰囲気が全く感じられない...。

スギ林としても、やや鬱蒼としており、カミキリムシが好んで住み家にするような場所ではない印象である。

う〜〜〜ん、ここはイマイチかな...。

ということで、素直に移動...。

途中、何ヶ所か貯木場(土場)があったため、一応、見ておくことにした。

基本的にはヒメスギカミキリの楽園天国なのだが、稀にスギカミキリがいることもあるため、無視するわけにはいかない...。


ヒメスギカミキリ [ Callidiellum rufipenne (Motschulsky,1860) ]

 
↑ 動画 ↑
QuickTime: 約0.4MB ( 10 sec. full version ), Windows: 約1.2MB ( 5 sec. short version )

いや〜〜〜、右を見ても、左を見ても、上を見ても、下を見ても....、全方向的にヒメスギの楽園天国であった...。

次へ行こう...。

「ここは本当に国道なのか?」と心配になるほど道幅の狭い国道を走っていると、道路脇に食痕のあるスギが数本生えているのが視界に入った。

わ〜〜お、これは見ておかんとね。


さあ、どうだ、いるかな?

何ヶ所か浮き上がった樹皮があるので、それらを順にゆっくり捲っていく。

が、全く雰囲気なし...。

おかしいなぁ、もしかするとシーズンが終わってしまっているのだろうか?

う〜〜ん、浅いながらこれまでの経験ではまだ大丈夫なはずなんだけどなぁ...。

まあいいや、とにかく次を探そう。


かなりのスピードで走っていても食害が分かったスギ林...

が、ここもヌ〜ルヌル...。


ここはどうだ?

ここもヌ〜ルヌル...。

ひえ〜〜〜、けっこう見つからないものなのね...。

その後も10ヶ所ほど食害された形跡のあるスギ林を探索してみたが、どこも同じように主の姿を拝むことはできなかった...。

ちなみに、ここまでで見つけたムシといえば、ヒメクロトラカミキリ(採集せず)と、ヒメマイマイカブリぐらいか...。


ヒメクロトラカミキリ [ Rhaphuma diminuta (Bates,1873) ]

 
↑ 動画 ↑
QuickTime: 約0.4MB ( 11 sec. full version ), Windows: 約1.0MB ( 5 sec. short version )


これからどうすっべ...

う〜〜〜〜む、もう疲れたから止めちゃおうかな、「ぎゃふん」と言っちゃおうかな...。

え〜〜〜〜い、ぎゃふん!

あああ、「ぎゃふん!」って言っちゃった...。

ここでギブアップ...。

もう少し簡単に見つかると思っていたのだが、害虫と言えども相手は野生の生物、そう思い通りにはいかないようだ。

ということで、一路、帰る方向へハンドルを切った。

どよ〜〜〜〜んと重い空気がのしかかる中、やや大動脈的な国道を走る。

・・・走る.com・・・

で、すっかりスギカミキリのことなど忘れ去ってしまった頃、何となく「ピンとくる」スギな一角が右手に見えた。

が、「優柔不断な判断」でそのまま通り過ぎる...。

う〜〜む、やっぱり見といた方がいいのかな?

どうよ? >るどるふさん

「おいおい、あれだけ似たような場所を探してヌルだったんだから、ここも同じだよ。そんな馬鹿なこと言ってないでとっとと帰ろうぜ! もう見るのめんどくせーよ」

悪いるどるふがそう囁く。

でもなぁ...、なんとなく気になるんだよな。

ぷわ〜〜〜〜〜〜ん!! ぷお〜〜〜〜〜〜ん!!

突然の急ブレーキとUターンで、思いっきりクラクションを後続車と対向車に鳴らされてしまった...。


ここなんだけどね...


うむむ...


うむむむむ...


うむむむむむむむむ...


おおおお、倒れてるぞ...


やはり...


 
↑ 動画 ↑
QuickTime: 約0.6MB ( 16 sec. full version ), Windows: 約1.7MB ( 8 sec. short version )

 

 

 

 

 

 

っしゃ〜〜〜〜〜〜〜!

いた〜〜〜〜〜〜〜〜!

男泣き、涙、男泣き、涙.........。

もう採集記で「害虫」呼ばわりしないからね...。

ああああ、見に来てよかった...。

っしゃ、まだまだいるかもしれないぞ。

とたんに気合いが入り、1本ずつ丁寧に見ていくことにする。

おや?

幹に何かへばり付いてる!?


スギカミキリ [ Semanotus japonicus (Lacordaire,1869) ]

が〜〜〜〜ん...

サシガメに捕食されているではないか...。

ちなみに、まだ生きている...。

まさに「ムシの息」...。

思わず目を覆いたくなる光景だが、これも自然の営み。

何気にスギカミキリの天敵なのかもしれないな。

サシガメ君には申し訳ないが、謹んで採集させていただいた。

ふぅ〜〜、ともかく、これで未記録地が既知産地に変わった。

ということで、また来週...。  


 

う〜〜ん、最後の最後でなんとか目的を果たすことができた。

思い掛けない光景も見ることができ、貴重な採集行であったと言える。

今後もこんな感じで茨城県内を走り回ってみたいと思う。

★★★ 採集成績 ★★★

スギカミキリ、ヒメマイマイカブリ。

その他、ビミョーなムシなど。

記載日:2006.04.22

 
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