霊峰、亜高山帯に宿る神々...
へなちょこカミキリロード 2008 
 

 
2008.07.19 (Sat) 〜 2008.07.20 (Sun)
 
ということで、今年もあの山へ行く時期がやってきた...。

う〜〜ん、イヤだなぁ...。

もう何度目になるだろうか...、私にとっては大変相性の悪い山で、この5年間、行けばドシャブリ、晴れても採れない、遠すぎる、そんなイメージしかない...。

できれば、もう二度と行きたくない山である...。

では、なぜ行くのか...。

そもそもは「三種の神器」などと、この山の特産種を自ら名付けてしまったことが原因で、こんな名前を付けさえしなければ、採らないでこっそり諦めることもできたかもしれない...。

そうなんだよねぇ、名前を付けさえしなければ、ゴニョゴニョ言ってごまかせたのに...。

言い出しっぺだからね...。

 

でも、そう名付けたくなるほど、その3種は今もなおその山を代表するカミキリムシとして何より輝いて見えるのである。

ちなみに、その3種とは、S:スミイロハナカミキリ、O:オトメクビアカハナカミキリ、S:サハリン(カラフトホソコバネカミキリ)...。

そう、「S.O.S」だ。

「S」が紛らわしいとの突っ込みはなしということで...。

私の場合、そのうちの1種「O」は、幸いにも昨年辛うじて採集することができたため、あと2種「S」と「S」ということになる。

もちろん、こんなことに一喜一憂しているようではダメなのだろうが、大目に見ていただければと思う...。

なので、遠くて行くのはツライが、今季も「脳脊髄液」を振り絞って行くこととした...。

 

最近、こういう有名ポイントに通うことが問題視される機会が増えたが、大人になってから始めた私のようなズブズブの素人はそういう場所にてある程度の経験(少なくとも目的のムシが採れるまで)を積まないと感覚が養えない気もするので、今しばらくはこんな調子が続きそうである...。

その点は大変心苦しく申し訳なく思うものの、反面、こういう時期もないと趣味として成立しないのではないかとも思う...。

ともかく、1日も早く、そういうポイントに負担をかけないムシ屋になりたい...。

 

さて、我が家からその山はいわば「ファー・ウエスト(極西)」、それはもうファーファーに遠いので、前日の晩に出発した。

時間的には沖縄や北海道に飛んだ方が近いぐらいだ...。


ファーファーです...

 

・・・ ファーファー.com ・・・

 

で、山への道すがら、知人のご好意にて教えていただいたポイントへ寄り道...。

近年、各地で減っていると言われるヨツボシカミキリを見に行ってみる。

実は恥ずかしながら、まだ生きている個体を見たことがないのだ...。

ポイントに到着して、早速探してみると、カブトムシ様、クワガタ様、各種コガネなどはすぐに見つかったが、肝心のヨツボシカミキリの姿は見えない。

というか、クロカミキリ以外、カミキリムシがいない...。

う〜〜ん、これはちょっとタイミングが悪かったかな...。

まあ、残念だけど、また来年来るか...、そう諦めかけた矢先、目の前の壁にソワソワしながら歩く茶色いムシを発見した。

おおお!、あれはそうかもしれんよ!

背中から誰かが叫ぶ(ように聞こえた)。

 

エリトラに悩ましげな白紋が4つ...。

ちょっと震える手をお椀型にしてパックリとゲット...。


っしゃ〜〜! まさに HOT LIMIT@ナマ足魅惑のマーメイド...


ヨツボシカミキリ
[ Stenygrium quadrinotatum Bates,1873 ]

 

持っていた標本とは全くイメージが異なり、四つの紋がとても目立つ。

想像していた以上に大変美しいムシであった...。

貴重な情報をご教示いただいたことに深く感謝申し上げます。

 

さてさて、ここからは一気に標高を上げよう...。

カーブの度に各種の石碑が不気味にライトに照らし出される...。

さすがは霊峰、様々な文字が刻まれた巨大な石碑が点在している。

私に霊感などというものが皆無で良かった。

 

1,000m、1,500mと順調に標高が上がり目的地が近づいてきた。

で、毎度のことながら、最後に水銀灯サロン「ヒロコ」をチェックしておくことにした。

こんばんは〜。

 

うおおおおお!! 水銀灯の周りには無数のムシが狂喜乱舞しているぞ。

うひひひ、これぞ「亜高山帯の熱帯夜」、いつもの島よりムシがいる...。

相変わらずこの山に来るのが何度目か数えられないが、こんなことは未だかつて経験したことがない...。

まあいいや、ネットを出して近所の樹木をスイープしまくる...。

すると、ムシが入る入る...。

信じられない数のムシがネットにどっさり...。

もう真っ黒、すごい重量感だ。

とりあえず、触角の長いムシ、コガネ類を優先してピックアップ...。

選別している最中も、次から次へとムシが湯気のようにむわ〜〜っと、ちょっとした風を作って飛び去っていく。

コガネ、コガネ、カミキリ、カミキリ、コガネ、変なムシ、コメツキ、変なムシ...。

ぬおおお! 嬉しいことにヒトオビチビカミキリも入っていた...。

コガネ類もなかなか面白そうなのや、見たことのないのも数種混じっていた。

ムシより私の方が狂喜乱舞。

こんな夜中に、こんな山の中で、いい大人が何をやってんだか...。

で、ここで採集したムシの標本写真をいつものように列挙したいところであるが、とある事情によりそれが叶わなくなった...。

その事情は後述する。

 

・・・ ド寝.com ・・・

 

おはようございます...。

天気予報では本日の天候は晴れ、気温も上がるようで、「三種の神器」の残る2種を狙うには、まったく申し分のない条件である。

とっとと身支度を整え、完全防水仕様で「ハイマツの花園」に身を投じた。


鼻息が荒くなるような好天...

 

で、いつもの定位置に陣取り、ヤツの登場を待つことに...。

「うおっ!」

「うざいっ!」

「ふざけんな!」

あっという間に無数のブヨの大軍勢に包囲され、総攻撃を受ける...。

私も60cm枠のネットで身の回りのブヨを掬って対抗するが、間髪入れずに次の大軍勢が怒濤のように押し寄せてくる...。

結局、1時間それを繰り返したが、さすがに採集に専念できないので、ここで粘るのは諦めることにした...。

ここ数年では最も発生が多いのではないかと思う...。

ネットの底には「ブヨ玉」が出来てしまった...。

次回来ることがあれば、対ブヨ装備も考慮せねばならないだろう。

 

ふと、ここでムシを入れた容器がないことに気がつく...。

ああああああ、やばい...。

昨晩の成果がどっさりと入っていたのに...。

とりあえず、これまで歩き回った場所だけはリターンして見てみるが、この深い笹原、まず見つからないだろう...。

 

・・・ サーチ.com ・・・

 

ああああ、やっぱり見つからなかった...。

ああああ、「亜高山帯の熱帯夜」の成果が....。

すべて吹っ飛んだ...。

「イヤよ! 写真なんて撮らないで! あなたの目にしっかり焼き付けておいてね!」

女神様のイタズラか、与えられた試練か...。

 

う〜〜ん、まあ、無いものはしょうがない。

次回から気をつけよう。

と、気を取り直していたところ、向うの方から じごまる氏が歩いてきた。

ども〜〜、ということで久しぶりの再会。

挨拶もそぞろに状況を伺うと、「S」は採れていないとのこと。

というか、驚いたことに、ふさひげさんが遥々ここまでいらっしゃっているとのことだった。

しばらく立ち話をしていると、ヒゲを蓄えられ「髭男爵」な ふさひげさんが颯爽と現れた。

これは「S」を採るよりレアなことかもしれない。

いろいろと状況を勘案した結果、ここで「S」を待つのは厳しそうなので、「S」を採りに行こうかということになり、一路、「S」の場へ移動する。


ちなみに、ここでのムシはこれだけ...

 

 

・・・ 移動.com ・・・

 


鼻息が荒くなるような好天...

 

該当エリアに到着すると、さすがは「有名ポイント」、何名かのムシ屋がすでにカラマツの前で陣取っていた。

ビミョーに殺伐とした雰囲気だ...。

後からズカズカ入っていくわけにはいかないので、ちょっと場所をずらしてみることにした。

が、どこもかしこも「S」を狙うムシ屋さんだらけで、どうにもラチが開かない。

ウロウロしていても仕方ないので、あるカラマツの前で粘っているムシ屋さんに本日の状況を尋ねてみることにした。

すると「今日は1頭も採れていません...」とのことであった。

こんなに天気がいいのに採れていないとは、まだ発生していないのだろうか...。

と、その場を立ち去る際、少し離れたカラマツに何やら動く陰が...。

 

私の情報処理系は普段そんなに素早い処理を行わないが、このときばかりは尋常でない速度で処理を行い、全てを一瞬で把握、気がついたらムシを掴んでいた...。  

 

 

 


っしゃ〜〜!


カラフトホソコバネカミキリ
[ Necydalis sachalinensis Matsushita et Tamanuki,1927 ]

 

やった〜〜!

やった! やった! やった〜〜!

相変わらずここに何度来たか思い出せないが、や〜〜〜っと採ることができた...。

ここまで本当に長かった....。

 

うむむ、ちょっと待てよ、ソリダじゃないだろうな...。

万が一があるとマズイ、落ち着いて再確認...。

よし、このツマグロでオシャレなコバネ、コバネの開く角度、間違いなく「S」...。

まあ、ソリダも「S」だけどね...。

 

う〜〜ん、もしかすると、今年は「ツイている」のではないだろうか...。

先日も最後の最後でエゾな「S」を採ることができたしね。

正直、今回はこれで満足して帰ってもいいと思ったのであるが、そんな変な自信に後押しされ、恐れ多くもこの山のもう一つの孤高の「S」に挑戦してみたくなった。

別の場所で粘る ふさひげさんに無事「S」が採れたこと、そして「S」を採りに行くことを伝え、再度、自分の位置エネルギーを増加させた。

 

・・・ 位置エネルギー増加.com ・・・

 

さて、今朝の場所はブヨが多くまっぴらゴメンなので、適当な場所からショウマなどの花をひたすら見ていく採集法を選択した。

かなり効率の悪い単純な採集法で、アホかと思われるかも知れないが、もうやってみるしかない。

ということで、スタート...。


ひたすら見る...


このゴトウさんは優良物件だったが、ネットに入るムシの9割以上がアオジョウカイ...


そして、ひたすら見る...

 

いね〜〜〜、いね〜〜よ。

もういい加減イヤになってきた...。

う〜〜む、やはりそう簡単には見つからないか...。

この採集をする際、ツヤケシハナ、ホンドアオバホソハナ、クロハナなどは本当に紛らわしく、途中からみんな「S」に見えてしまう...。

採集経験者は口を揃えて「Sは違う、一目見ただけで明らかに違うことが分る」と確固たる自信を持って言うが、経験のない私には、これまでその感覚がまったく理解できなかった...。

しかしながら、今年はエゾな「S」の採集経験があり、確かに一目で他種とは違うことが何となく分ったので、まあ、いれば間違うことはないだろうと思っていたのだが、ここまで見つからないと、やはり見逃していないか心配になる...。

かれこれ、かなりの距離を歩き、相当数の花をチェックしてきたが、それらしきムシが1頭たりともいないのだ...。

もう足がガクブルで、あと一面歩けば限界だろう...。

先ほど「今年はツイている」などと感じもしたが、実はそれは錯覚に他ならず、現実は厳しいということか...。

天気もちょうど雲がかかってきたし、このままガスってしまいそうだ。

ダメだったら潔く帰ろう、そう決心し、次の一面を最後として、改めてルッキングを開始した。

一端車道を横切り、勝負の最終斜面に突入...。

いない...。

いない...。

いない...。

いない...。

いない...。

見る株、見る株、どれも不発である...。

いや〜〜〜、もうダメ...。

次の一株を見て居なければ下ろう....。


どれどれ...

 

 

 

 

 

 

 

 


あ...


あ...


スミイロハナカミキリ
[ Nivellia extensa yuzawai Shimomura et Toyoshima,1988 ]

 

ご降臨いただき、ありがとうございます...。

 

 

 

 

 

 

そういえば、スミイロハナって日陰のショウマを好むんだっけか...。

いい感じで曇ってきたよね...。

なるほどねぇ...。

 

ということで、「三種の神器」への長い長い挑戦にはひとまずピリオドを打てた。

しかし、この山にはカミキリムシだけではなく、まだまだ私を魅了して止まないムシが数多く生息しており、今後もしばらくは通うことになるだろう...。

私にとってそれらのムシは、この山に宿る神々そのものなのである。

そんな私をお許しいただきたい...。

 

ここまでお読みいただき、ありがとうございました。

 

というわけで、山を下るまでに採集したムシを一気に列挙する...。

 

スクロールのご準備を....。

 


ツヤケシハナカミキリ
[ Anastrangalia scotodes scotodes (Bates,1873) ]


ホンドアオバホソハナカミキリ
[ Strangalomorpha tenuis aenescens Bates,1884 ]


クモマハナカミキリ
[ Evodinus borealis (Gyllenhal,1827) ]


モモグロハナカミキリ
[ Toxotinus reinii (Heyden,1879) ]


ルリハナカミキリ
[ Anoplodermorpha cyanea (Gebler,1832) ]


オオバヤシヒメハナカミキリ(male)
[ Pidonia limbaticollis ohbayashii (Matsushita,1933) ]


オオバヤシヒメハナカミキリ(female)
[ Pidonia limbaticollis ohbayashii (Matsushita,1933) ]


カクムネヒメハナカミキリ
[ Pidonia orientalis Matsushita,1933 ]


ミセンヒメハナカミキリ
[ Pidonia misenina S.et A.Saito,1992 ]


ツマキトラカミキリ
[ Xylotrechus clarinus Bates,1884 ]


ヒゲナガビロウドコガネ
[ Serica boops Waterhouse,1875 ]


カタモンコガネ
[ Blitopertha conspurcata (Harold,1878) ]


セマダラコガネ
[ Blitopertha orientalis (Waterhouse,1875) ]


ナガチャコガネ
[ Heptophylla picea picea Motschulsky,1857 ]


アイヌコメツキダマシ
[ Farsus ainu Fleutiaux,1922 ]


コメツキダマシの仲間


ヒメコメツキの仲間


クチブトコメツキ
[ Silesis musculus musculus Candeze,1873 ]


ドウガネヒラタコメツキ
[ Corymbitodes gratus (Lewis,1894) ]


チャグロヒラタコメツキ
[ Calambus mundulus (Lewis,1879) ]


ヒメアオツヤハダコメツキ
[ Mucromorphus miwai miwai Kishii,1962 ]


ルイステントウダマシ
[ Panamomus lewisi Gorham,1873 ]

 

ふぅ〜〜。

ということで、下山方向へ車を走らせる。

すると、「S」のポイントで、ふさひげさんらが粘っておられた。

なんとか「S」を採ったことを報告し、しばらく私も休憩を兼ねてこの場でゆる目に「S」探しをすることにした。

で、30分ぐらい談笑などを交えカラマツを見ていると、まずBAJAさんが1つ、そして ふさひげさんが1つ、見事「S」をゲットされた!

うおおおお、なんという絶好のタイミングだろうか。

さっきまで居なかったので、談笑しているスキに飛んできたのだろう。

おめでとうございました! >お二人

 

・・・ さらに談笑.com ・・・

 

さて、私は本日までの日程のため、そろそろタイムアップ...。

麓で適宜土場などをチェックしながら帰ろうと思う。

明日まで残る ふさひげさんとがっちり握手し、明日の幸運を祈った。

 

・・・ 下山.com ・・・

 


なんかいるっしょ...


いた...


いた...

 


コトラさんがいそうだけどね...


いませんでした...

 


ナガフトヒゲナガゾウムシ
[ Xylinada striatifrons (Jordan,1895) ]


ケヤキナガタマムシ
[ Agrilus spinipennis Lewis,1892 ]

 

 

というわけで、さようなら〜〜〜〜。

また来年!

 


帰りもファーファーです...

 

 

 

 

 

事前にお世話になった皆さま、現地でお会いした皆さまには、この場を借りて御礼申し上げます。

ありがとうございました。

 

★★★ 成 果 ★★★

ハイイロハナカミキリ、マルガタハナカミキリ、スミイロハナカミキリ(*)、クロルリハナカミキリ、ルリハナカミキリ、ツヤケシハナカミキリ、ホンドアオバホソハナカミキリ、ムネアカクロハナカミキリ、クロハナカミキリ、ヤツボシハナカミキリ、オオバヤシヒメハナカミキリ(*)、ミセンヒメハナカミキリ(*)、ニセフタオビヒメハナカミキリ、カラフトホソコバネカミキリ(*)、ヨツボシカミキリ(*)、ミドリカミキリ、キスジトラカミキリ、ツマキトラカミキリ、シロトラカミキリ、ゴマフカミキリ,センノキカミキリ、ヒメヒゲナガカミキリ、シラフヒゲナガカミキリ、キッコウモンケシカミキリ、ハンノアオカミキリ、セミスジニセリンゴカミキリ。

その他、ビミョーなムシなど。

*コメツキムシの同定には、今回もコメツキ屋の皆さまより助言をいただきました。この場を借りて御礼申し上げます。

*:生涯初採集...。

記載日:2008.09.08

 
back | home