コバネカミキリ  Psephactus remiger remiger HAROLD, 1879
カミキリムシ科
ノコギリカミキリ亜科
コバネカミキリ族(属)

今回はコバネカミキリを選ぶことにした。

これは青森県にてブナの立ち枯れより採集した個体で、採集時の同定はコバネカミキリである。

ネキダリスに似て上翅が短いカミキリムシだが、本種の方がより原始的でノコギリカミキリに近い仲間である。

ほぼ日本全国に分布し、活動期は6−8月となっている。

【採集データ】
青森県 2001.07.25 ブナ立ち枯れ

体長は20.0ミリ

 → 採集記


頭部側面、符節

カミキリムシ科→ノコギリカミキリ亜科を判定するため、頭部側面を観察してみる。

フトカミキリ亜科以外のカミキリムシの頭部は、「斜め前下方へ向く」とある。

本個体では、矢印の通り斜め前下方へ向いており、フトカミキリ亜科ではないことが判る。

もう2点、「前胸の側縁は角陵になる」「発音板がない」というのをチェックする。

緑線のごとく「角陵」が見られる。

発音板は確認できなかったため、「ない」とした。

次に符節の形態にて、ニセクワガタカミキリ亜科とノコギリカミキリ亜科を分ける。

ニセクワガタカミキリ亜科は、符節が「5節で葉片状にならない」とあり、この個体はそれと異なっている。

本個体の場合、専門的には「擬4節で葉片状」となるらしい。

ここまでで、ノコギリカミキリ亜科に属することが判明したことになる。


後胸前側板

そして、「後胸前側板」と呼ばれる部位に着目する。

「●」で記した部位が、後胸前側板である。

これが後方へ行くに従い、「狭まるか」「平行か」にて区別するようだ。

この個体では、矢印のごとく後方にて狭まっている。


この所見から、ウスバカミキリ族かコバネカミキリ族(属)ということになる。


触角、前胸背板

この2族を鑑別するためには、まず触角の形状を見る。

コバネカミキリ族の場合、「触角第3節と4節がほぼ同長」となるそうだ。

本個体では、まさにその通り(矢印)。

そして、前胸背板の形態も一応確認する必要があるようだ。

「前胸背側面に顕著な突起があり、前・後角は丸い」というのがコバネカミキリ族(属)の特徴であるそうだ。

矢印はその「突起」である。

これも矛盾しないと思う。

これで後は、コバネカミキリか、オガサワラコバネカミキリか、ということになる。


上翅長、後肢脛節

コバネカミキリの特徴は、「上翅は短く、後肢脛節は先に向かって広がる」となっている。

一方のオガサワラコバネカミキリは本土産のコバネに比較して、「上翅が長く、後肢脛節は先に向かって広がらない」とのことである。

比較写真がないため、なんとも言えないが、とりあえず上翅は短い。


後肢脛節は、明らかに「先に向かって広がる」としても良いだろう。

これで、同定作業は終了である。

結果、コバネカミキリということになり、誤同定ではないことが判明した。


エピローグ

今回もけっこう楽勝パターンであった。

近々、採集時の同定が怪しい種類に取り掛かろうと思う。

記載日:2001.09.06

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